短編2
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ふ…す…ま

いきなりだが、貴方は『ふすま』をご存知だろうか?

勿論、日本人なら知らない人はいないだろう。

中には、小さい頃ふすまに指で穴を空けて遊んだ人もいるのではないだろうか?

ちなみに私も小さい頃やった方で、20歳になった今でもやった後親に怒られた苦い思い出がある。

さて、今回は、そんなふすまのお話。

ことは私が就職し、会社の寮に入ったばかりの頃までさかのぼる。

――――――――――

「うへぇ、ぼろっちぃ部屋だなぁ」

私が、その部屋を訪れて開口一番に言ったのは、落胆と徒労を含んだ、なんとも新生活には向かない言葉だった。

おまけに顔は汗だくで、首にはタオル、シャツは湿り気があり、汗を吸い所々色が変わっていた。

無理もない…なにせ、引っ越しの最中に、寮の玄関まで鉛のように重い段ボールを運び、その足で新居である213号室まできたのだ。

普段力仕事をしない自分にとっては、かなりこたえる。

その上、肝心の部屋は夢のかけらもありはしないボロ部屋だった。

具体的にいうと、布団と机を置くと、残るスペースが猫の額になりそうな六畳一間。壁には汚れやら亀裂やらが、至るところにあり、とてつもなくボロ。おまけに床が畳で窓にはふすま。

むしろ、これで「よし!頑張るぞ!」と言えたら大したものだ。

しかし、文句を言っても仕方がない。

肩を落とし、ため息をつくと、私は玄関まで荷物を取りに戻るのだった。

トボトボと私が玄関まで戻ると、何処からが人の話し声が聞こえる。

盗み聞きはいけないとわかってはいるが、無意識の内に私は耳を澄ませていた。

『…の部屋に、また……よ…』

『でも…は、……じゃない!…なの?』

『どうせ…で…になるでしょ』

いまいち、良くは聞こえないがどうも噂話らしい。噂話を信じないタイプの自分としては、興味がないことなので、聞かなかったことにして私は、荷物を持ってさっさと自室に戻ることにした。

だが、自室に向かう途中、小さくなっていく声の一部が、やけにはっきりと聞こえた。

『やめるさ、すぐに』

つづく……予定

怖い話投稿:ホラーテラー とある夜勤の寝不足野郎さん  

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