短編2
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鬼〇郎

あれは高崎線に乗っていた時の事だ。

車内は静かで客もあまりいない。

緩やかなアフタヌーンの一時が流れていた。

俺は優雅に読書(ヤンマガ)を楽しんでいた。

そして…

大宮駅あたりだろうか。

一人の男が入ってきた。

ジーンズとGジャン。

紙袋にポスターがささり、

額にはハチマキ?のようなものが巻かれていた。

異界…

昭和の時代からやってきた彼は偉大なるタイムトラベラーだろうか。

大して興味もないので華麗にスルーしたが、

駅一つ、二つ越えたあたりで「ボソボソ」

声が聞こえた。

「だよね…とうさん。わかってるよ」

えらく高い謎の声「ゴニョゴニョ…」

聞き取れない。

あん?電車ん中で電話してやがんのか?と思って睨むと、

彼は手に何も持ってはいない。

不思議に見ていると、彼の胸ポケットだろうか。

小さな脹らみから白い頭のようなものが見えていた。

人間の眼球のような…それでいて明らかに安っぽい、

ソフトビニールの様な質感…

そう。親父の人形に間違いなかった!

彼はその人形と心を通わし、

自身の裏声によってリアリティを出して会話するという、

高度な降霊術を使っていたのだ!

彼は何か仕事の愚痴みたいなのを親父に話すと、

慰められ満面の笑みと共に電車を降りて行った。

俺は気を取り直し、読書を続けたが…

その後で読んだアゴ無しゲンさんは、

いつもより笑えなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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