中編3
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涙の理由

20歳の夏に祖父が亡くたった、私はおじいちゃん子で男ながら嗚咽が出る程泣きじゃくった…

亡くなる寸前に祖父は祖母に『〇〇(私の名前)には知らせるな』と言ったらしい

祖母は『〇〇に自分の死んでいく所を見せたくなかったんだよ』と言っていた

私は亡くなってから病院に呼ばれ大勢の親類の居る中、

『どうして俺だけ…何で俺だけおじいちゃんが危ない事を知らせなかった』

と祖母と両親を責め立てた

大人になった今にして思えばその晩の両親の様子はおかしかった

病院の祖母からの電話の時にヤケに慌てる様子もなく、冷静過ぎていたように思う

留守番を任された時に『何もないかもしれないけど、絶対にドコにも出掛けるな』と言われていた

お通夜は自宅でやる事になり、大勢の慰問客が来てくれた

私もその頃には冷静になり、親戚の小さな子供達の面倒とかみていた

夜遅く慰問客も居なくなり、遠くから来た親戚は祖母の部屋に泊まる事に

お通夜の間中、祖母は祖父が亡くなった時に取り乱した私をずっと心配していたらしい

(後から親類達から聞かされた)

祖母は亡くなる祖父の看護から、お通夜の今まで私が見ていても気丈に振る舞っていた

そんな祖母を若い私は少し不満に感じていた

自分の旦那が死んだのに涙ひとつも流さない祖母…

お通夜で慰問客相手に笑顔で相手し、時には祖父の悪口ともとれる愚痴を言ったりしていたからである

祖母が『アタシも少し疲れたよ、ちょっと横になりたい』と言った

祖母の部屋は既に寝ている親戚の子供達や荷物でイッパイであった為、2階にある私部屋で仮眠を取る事に

祖母が2階の私の部屋に行きしばらくして皆、仮眠を取る事になった

お通夜は線香を絶やしてはいけない、長時間燃え続けるお線香に火を着け両親は両親の部屋に、親戚は祖母の部屋に、私は祖母が寝ているはずの自分部屋に向かった…

2階に行き、自分の部屋のドアに手をかけ、半分程開きかけた時…何気にベッドで寝ているはずの祖母見た

『!?』

寝ている祖母の上を光る玉みたいなモノが(電球のような感じ)ぐるぐる回っていた

その玉を見た瞬間、私は胸が苦しくなり2階のトイレに飛び込んで、ゲェゲェと戻した

トイレを出た後部屋には行かず亡くなった祖父の所に…直ぐにあの玉みたいなモノは祖父だと感じて、皆が居なくなったから寂しいんだ、私を呼んだんだと思ったからである

線香を一本たて祖父の亡骸と頭を合わせるように、平行に横になり、じっと祖父が入っている木箱を見詰めていた

間もなく祖母が2階から降りて来た、私は起き上がり座り直した

祖母は祖父に線香をあげ、私の隣にチョコンと座った

祖父の方を見詰めながら小さな声で…

『〇〇、アタシは寂しくないよ、寝ている時におじいさんが来てくれた…大丈夫…ありがとう…』

隣の祖母を見た…祖母は泣いていた

祖母の『ありがとう』は私に言ったものなのか亡くなった祖父に言ったものなのかは分からない

分からないけど、一緒に泣いた…

きっと今は…

2人で仲良くケンカでもしていると思う。

怖い話投稿:ホラーテラー アックマンさん  

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