これさえあれば人の心が丸分かり、新世界の扉を開いてみませんか?使い方次第ではあなたは神にもなりえる!お気に召さない場合一年以内でしたら直ぐさまご返金致します。
玄関先に押しかけてきたセールスマンの口車にまんまとのせられ、30年ローンで購入した読心機能搭載型眼鏡。
ようするに
この眼鏡をかけて人前に立った時、読心機能が《人の心》を読み取ってくれる。
そして、レンズ内側に読み取った《人の心》が表示されるという商品。
馬鹿げているけれど、もし本当だとしたら、、
あんなことも、、
こんなことも、、
『説明書はとりあえず、眼鏡をかけてみてからだな、、』
っと。
ニヤつきながら箱を開け、俺は眼鏡をかけてみた。
耳元でピピピと小さな電子音、そしてこんなものが視界に現れた。
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…顔検出»
開始▶▶▶▶▶▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷
検出中…
《対象の正面に移動して下さい》
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どういう原理なのか、眼鏡の数㎝先に立体的に上のような文字表示がされた。
SFチックなそれに、まず感激。
そして、よく見ると《顔検出》という文字の下にある矢印▶▶が点滅しながら右にゆっくりと動いていた。
『おお!!スゲー!!
っつーか、え?
もう始まってんの?
顔検出ってなに?
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…顔検出»
開始▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▷▷▷▷
検出中…
《レンズが汚れている可能性があります》
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何となく感じからして、この眼鏡が何かを読み込んでいる雰囲気は分かった。
点滅する矢印はもう後半に差し掛かり、何かがギリギリ、時間切れ寸前という感じだ。
『もしかして今コイツ、一所懸命相手を探しているのか?
や、やべっおもろい。
おもろいもの買ってしまったかもしれんw
つー事は反応するよな?
っと。
俺は機転を利かせ、洗面所の鏡の前に立ってみた。
ピピピっと小さな電子音が耳元で鳴ると、鏡に映る俺の顔の周りに黄色いマークが現れた。
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…顔検出»ok
検出完了»
読み込み中…76%
《機能開始…4秒前》
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鏡に映る俺はそれに驚き、目をまん丸くしていた。
『おお!!顔検出できた!!
スゲー!!
機能開始?
4秒前ぇ
3秒
2
1
おお!?
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アナタが見ているワタシはアナタだからアナタの考え
はワタシの考えでアナタを見ている。アナタが見ている
ワタシはアナタだからアナタの考えはワタシの考えで
アナタを見ている。アナタが見ているワタシはアナタだ
からアナタの考えはワタシの考えでアナタを見ている。
アナタが見ているワタシはアナタだからアタシが見て
…error
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急に視界が暗転し何も見えなくなると、ボーボーという変なノイズと共に赤い文字で上のような言葉が視界いっぱいに広がった。
『おい!ざけんなよ!!
ぶっこわれてんぞ!!
何だよこれ!!
体の感覚がなく、意識だけが暗闇に取り残され、視界の端で《error》という文字が永遠と点滅していた。
おわり
怖い話投稿:ホラーテラー ハミーポッポーさん
作者怖話