中編3
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過去が残った部屋

私は、大学へ通いながら夜12時までアルバイトをしています。

これはつい先月末に体験した話です。

とあるバイトの帰り道、私は人通りの少ない道に建っている廃ホテル(廃ラブホテル)の前で足を止めました。

いつも私がこの廃ホテルの前を通る時に毎度同じくらいの背丈をした人影が二人で中へ入っていきます。

気になっていた私は好奇心から独りで中に入ることにしました。

中に入ると先ず受付があり、受付の扉は開いていて客室の鍵が床に散乱していました。

探索をするために鍵を拾い集めているとホテル内のどこかから「ギシ・・・ギシ・・・」と物音が聞こえてきました。

この音は移動しているわけではなく同じ場所で何度も何度もなっていました。

これが何の音なのか気になった私は、階段を上がって音の聞こえる部屋を探しました。

二階に上がりましたが、その音はまだ上の階が聞こえます。

その音が聞こえてくるのは三階の一番奥に位置する客室でした。

持ってきた鍵を確認しても、私が持ってきた鍵で該当するものはありません。この客室の番号はフロントの鍵かけにもありませんでした。

念のためノブを捻ると鍵は閉まっておらず中へ入る事ができました。

部屋に入った瞬間、空気が異様であることに気付き部屋から出ようとしましたが、ドアがあった場所には外側から塗り固められたような壁があって出られなくなりました。

このホテルを外観で見る限り音のするベッドルームに窓があるため、そこを通らなれば外へ通じる道はありません。

廊下の陰から音がする場所を覗いてみると、ベッドの上でグローブを着けた男性が裸の女性の上に馬乗りになってロープで首を絞めていました。

助けたい一心で私は教科書がでかなりの重さがあった鞄を使い、男性を背後から殴りました。

しかし、男性には当たりません。それ以前に私は相手にさえされていなくて、まるで私がそこに存在していないようでした。

やがて女性は苦しむ素振りをしなくなり、手はブランとしていました。

男性はその女性の首を縛ったロープを天井のシャンデリアの様な装飾に吊るして、颯爽とベランダから下の階のベランダへと降りていきました。

そうして男性はホテルの駐車場を抜けてどこかへ行ってしまいました。

私は部屋に女性の死体と二人きりになって、どうしていいか分からず女性の死体を下ろそうとしました。

しかしこの女性にもやはり触れることができませんでした。

私は取り合えず何がなんだか分からず、さっきの男性と同じようにベランダから下のベランダに降りて外に出ました。

家に帰りましたが、あれだけ不思議な体験をしたのが初めてで眠りにつけず、次の日に廃ホテルの責任者であった人を調べました。

経営者であったであろう人を特定すると、実際に会って話をしてくれました。

元経営者の方に会って顔を見た瞬間、私は凍りつきました。女性を殺した男とよく顔が似ていた気がしたのです。

私は辛うじて平静を保ちながら元経営者の話を聞きました。

経営者の男(以後:男)は、あの部屋で女性の自殺があってから私と同じように幻を見る客がいて不気味がられ、本当は殺害されたのでは?っと噂が流れ始めたので、あの部屋のドアを壊して塗りつぶしたと言いました。

フロントの鍵かけに部屋番号と鍵が無かったのもそれが理由だそうです。

因みに客が見た幻の内容は実際に男も耳にしていたようです。

女性が自殺してから五年でホテルは閉館したと被害者面をしていましたが良い気味でした。

今考えると死んだ女性の無念があの幻を見せていたのかもしれません。

自殺があったとされていましたが、女性に身内はおらず幻が無ければ警察や関係者、一部の客しか知らないはずだったでしょう。

私がこの出来事で一番怖かったのは男が言った意味深な発言です。

「君は男の顔を見たのかな?」

帰りに後ろから突き刺さるような視線を感じたのをよく覚えています。

…最後に…

皆さんもお気付きだと思いますが、この男が犯人なら自分のホテルで人を殺した意味が分かりません。

興味があるので男にばれない様に探っていきたいと思います。

乱雑な文章と長文にも関わらずここまで読んで下さった方々、有難うございました。

怖い話投稿:ホラーテラー げこさん  

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