中編4
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赤木さんと青木さん

※コピペ

二年前のある夏の日の話です。

私は本当に怖い話が好きなのですが、とても怖がりというなんとも矛盾したヤツなんですけれども、しかしこれといって幽霊を見たり、霊現象にあったりという体験は一度もありませんでした。

その日はいつものように怖い話を明るい内に見て、夜はあんまり怖い話を思い出さないようにしてなんなりやっていました。

そして寝ようとしたときには2時近くで、怖いから飼っている犬を部屋に入れて寝付きました。

しかし夏ですから暑いんですね。

なかなか寝れません。

しかも怖がりな私は夏でも厚めの重い布団を頭以外、体全部隠すようにして被せないと安心できないんですよ。

部屋の温度を下げても布団の中は暑いから意味もなく、しょうがないのでちょくちょく腕や足だけを出しては引っ込めを繰り返して、多少は暑さをしのいでいました。

思い出さないようにしてもやはり頭ん中はその日見た怖い話のフラッシュバック。

そういえばちょうどこの時間に・・とか考えながら犬が出した音にびっくりしたりしてました。

犬意味ない・・・笑

その日見た話ではないんですけど、ふとある話を思い出したんです。

その話は、

「青木さん足元」と言いながら足元を見ると男の人が座っていて、

「赤木さん枕元」と言いながら枕元を見ると女の人が座っていて、

先に青木さんが帰ると次の日絶対鏡を見てはいけないらしく、

赤木さんが先に帰ると次の日は絶対床に物を落としてはいけないという。

両方、もしくはどちらかが先に帰るのを見たら眠りに落ちる事も思い出した。

そんな話を思い出した時、あなたはどうしますか?

その時の私はもちろんそんな事試そうなんてみじんも思いませんでした。

が、しかし。

声に出すなんて事は出来ないけど、恐怖で気になってしまい足元を見てみました。

誰かいました。

数秒後に恐怖が込み上げて来ました。

しかし声も出ないし首以外動かない。

気づけば布団の中なのに寒い感じがする。

あれは青木さん?

という事は、上には赤木さんが・・・?

いや、枕元には人が座れるスペースはな・・・

横にいました。

二人とも俯いてて顔が見えない。

声に出して言ってないのになんでいるんだ・・・

思っただけでもダメなの!?

とパニック状態。

目で犬を探すと、机の下の座布団の上に幸せそうに寝てました。

ふざけんなと心の中で一喝。

そして、この話の最悪なパターンを思い出す。

&quot二人とも帰らず、時間にだんだん俯いた二人の顔が上がっていき、顔が真っ正面を向いてしまう事があるという&quot

私が見たこの話を書いた人はあと一回で正面って時に、さっと青木さんが帰って助かった。

嫌な事を思い出してしまった。

目は閉じれない状態。

二人を見る。

帰る様子はない。

頼むから帰ってください・・・。

と必死に思いながら時が経つのを待った。

もう10分はいるなー。

恐怖心が一周回ったようでそんなに怖くなくなった。

すると突然、二人の首が同時にカクッと少し上がった。

やばい!!

瞬時に感じた。

一回でこの角度だからあと何回だ!?

ていうか何分に一回!?

バクバクと高鳴る心臓。

嫌だ嫌だと心の中で連呼。

そして、恐怖に包まれ数分が過ぎた。

二人の首がさっきと同じようにカクッと上がった。

何分後だったかはわからない。

だけどなんとなく時間の感覚は少しだけわかった。

暗くてよく見えないが、顔はほとんど露わになっている。

もしかしたらあと一回で正面を向くかもしれない。

このまま帰らなかったらどうするんだろう。

死にたくない!

それでも時間は経つのだった。

そして、時間の感覚を覚えた私は、あともう少しで二人の首が上がる時間が来る事を感じ取った。

もう後がない。

最後だったらどうしよう。

もしこれが最後だったら・・・。

すると、二人の体が震え始めた。

機械のような動きだった。

それに私はとてつもない恐怖を感じたのでした。

今までにない動き。

これはきっと最後だという事だと。

嫌だこっち向くな!!

二人の動きがピタッと止まった。

そしてゆっくりと顔を上げていく。

嫌だ・・・嫌だぁあ!

「ワン!!」

突然犬が私の上を飛び越え、横にいた赤木さんに襲いかかった。

すると赤木さんは逃げるようにひゅぅうぅぅ〜と風みたいな音を出して、部屋のドアをすり抜けて行った。

よくやった!と私は笑顔で心の中で言った。

しかしまだ体が動かない。

ふと足元を見た時私の笑顔は消えた。

青木さんが正面を向いていた。

その顔は青白く、無表情で、何か恐ろしいものを感じた。

赤木さんが帰っても正面を向いてしまったらダメなんだ・・・。

そう思った時、青木さんの顔がみるみるうちに険しくなっていった。

そしてこう言ったのです。

「足が出てれば殺せたのに・・・」

そう言って消えていった。

掛け布団被っておいてよかったです。

もし犬が青木さんの方を襲っていたら、私は無事ではなかったでしょうね。

でもま、私は本当の青木さん赤木さんを知ったわけですし・・・

もちろん、次の日は物を落とさないように気をつけましたよ。

怖い話投稿:ホラーテラー おっさん  

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