中編3
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泳げない理由

私は泳げない。

水が怖いわけではない。

私が泳げないのにはある

理由がある。今日はそれについて話そうと思う。

昨年の7月、海開きになり、私は仲の良い友達同士で、海へいった。

スイミングスクールに一時期通ってたこともあり、バタフライやクロールなどお茶の子さいさいだった。

そして、日が暮れてきてそろそろ切り上げるかってなった時に、

「おーい、なんかあっちの方に変な洞窟あるぞ」

と友達がいうのだ。みな興味をもったのか、そちらへ向かっている。

私も渋々というか、疲れて早く帰りたかったんだが、洞窟とやらにむかったんだ。

そこは、確かに洞窟みたいな感じになっていて、神秘的な何かを感じたのだが、その途端、友達の一人が悲鳴を上げる。

「うわああああ」

何事かとおもい、そちらへ向かう。

「骨だ・・・・骨があるぞ・・・」

そこには骨があった。魚の骨とかならなんとも思わないが、それはどっからどうみても人の骨だった。

「まじかよ・・・」

あたりが殺伐とした空気になり、このままじゃまずいとおもった俺は

「おい、ここなんか怖いし、もう暗くなってきてるから、帰ろうぜ」

と言う。周りは賛同して、一刻も早く洞窟を出ようとした。

洞窟は浜辺から少し離れたところにあったため、

もし途中でなんらかのアクシデントがあり、誰かが溺れてしまったときの救護として、一番泳げる俺が最後まで洞窟で待機していた。

あれは誰の骨なのか。もしかするとここで泳げなくなくなって、飢え死にでもしたのだろうか。

いろいろなことを考えていると、友達の声

「おーいそろそろ、きてくれー」

俺はその言葉を聞き、洞窟から離れようとした。

その時

「いかないで」

!!

何かが聞こえた。聞き違いかとおもったが、さきほどの骨がある場所あたりから何かの音、というか声が聞こえる。

ありえないと思うが、それはどうみても、「いかないで」といっていた。

俺はその場で固まってしまった。どうすればいいんだ。幻聴なら聞く必要はないし、気にしないで友達のほうにいけばいい。

少し考えた結果、おれは気にしないでおこうと、友達のほうへ向かった。

しかし、洞窟に出る直前また声がしたんだ

「いっちゃうんだ。でもいいよ。君も僕と同じになればいい。僕がここで死なざるを得なかった時と同じ状態になればいい。」

遊びつかれて疲労していたんだろう、そう思い、言い聞かせ、早急に浜辺へむかった。

浜辺まで何事もなく到着し、その後私達は帰宅した。あのときの声は気がかりだったが、いつまでもありえないことを考えていても仕方がない。疲れていたに違いないと言い聞かせて、私は眠りについた。

次の日の朝

足がものすごく痛い。筋肉痛かとおもったが、左足だけものすごく痛い。立ち上がることすら間々ならない。さすがにやばいとおもって、私はベッドの横にあった、携帯電話で、母親を呼び出し救急車を呼んでほしいと頼んだ。それくらい尋常じゃないほど痛かった。

あわてておれは病院に搬送され、検査の結果、靭帯断裂といわれた。

「一体どんな無理をしたらこんなことになるんだだい」

と母親に言われたが、そんな無理はしていない。

そして、俺はあのときの”声”を思い出した。

「僕がここで死なざるを得なかった状態」

やはりあの声はあの骨の声だったのだろうか。そしてあの声の持ち主は、以前にここにきて、そこで今の俺と同じ症状になって、動けなくなって死んだのか・・・。

できすぎた話ではあるが、こうでも考えないといまのこの状態を受け入れることはできなかった。

結局自身で原因が分からないまま、一年が過ぎた。

俺はあれからあの洞窟のことが頭を離れず、すっかり海で泳ぐことをやめてしまった。

あの時、もしあそこに残っていたら、どうなっていたんだろう。行かないで、といわれ、あそこに一緒にいたら、私もあそこで死んでいたんだろうか。

今もまだ、あそこで誰かを待っているあの骨のことを考えると、少し胸が痛くなります。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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