中編4
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俺の田舎の道路の怪

田舎ゆえに「なんでここ事故多いんだろう?」と首をかしげてしまう道路がある。 真っすぐの直線道路で、ヒマな警察がしょっちゅう《ネズミ取り》してるからスピードだってそんなに出している人なんかいない。

(うちの田舎、後ろから煽るとキレて家までついてくる。 ちんたら走ってたからただ車間が縮んだだけってもあるが…本当軽トラのおっちゃんこえ~)

そんな感じの道路。

ただ何故か事故が多い。車の量と反比例に事故が多い。 ひどい時は1ヶ月に数回事故を目撃する。片方は田んぼ、反対は家がポツポツとやはり田んぼがあってその中を道路が通っているだけ。

残念ながら死亡事故も結構あるんだよな…

それに事故った人の証言がまた奇妙なんだ…

「車でここを普通に走ってたら道路が途中でグニャ~と曲がって、それに沿って走ってたら対向車にぶつかっていた。

頭ではこの道直線だって分かっていたのに…」

この証言が一人なら、目の錯覚とか病気って事もある。 でも一人だけじゃなかったんだ。何人もの人がそんな事言い出すもんだから、たちまち噂が広まった。

それだけじゃない。ありがちだが、雨の降る夜は女が立っていていきなり車の前に飛び込んで来たというのもある。

でも、俺の家の近くにある道路で何度も通っているけど、そんな事全然なかったから特別気にしてなかった。 やっぱり事故起こすのは不注意だからだって。

でも俺見てしまったんだ、幽霊。

3年前になるんだけど、その日はパチンコ屋で遊んだ帰りでその道路にさしかかったのは夜の11時くらいだった。

車で走ってると友達から携帯に電話がかかってきたから、車を道路の端に停めて話してたんだ。 そうやって話しながら前方を見ると…

ん? 子供? 子供が 歩いているなぁってずっと車の中から目で追ってた。 でも友達の話を聞きつつ「おかしい」と思った。 こんな時間に子供が一人で歩いているなんて。 それに雨も降ってないのに雨靴履いて傘差しているんだ。 車のライトがあたっているから姿格好が良く分かった。 着ている服装は保育園生なんだ。

「おい、お前話聞いてんの?」

電話の向こうで友達が言ってきたから

「ごめん、聞いているけど。 こんな夜に子供が一人歩いているんだよ、おかしくないか? 」

友達と電話でそんなやり取りをしていると…

!!!!!!

いつの間に現れたのか、俺の車の前や横ゾロゾロと人が歩いている。

それによく見ると手に懐中電灯らしきものはなく、もし車のライト落とすと相当暗いはずだ。

これだけ人が歩いているのに「ただ歩いているだけ」なのも奇妙だ。

さらに一人一人見てみると、夏服だったり、真冬の格好だったり、現代の格好もあれば昔の人が着ているような物を着ている。

友達と電話が繋がっているのが唯一の救いなのに、しゃべるだけしゃべってさっさと電話を切りやがった。

「ちょっと待っ… 何だよ、自分からかけて来たクセに。」

車のエンジン音だけが響いている。

落ち着け!早くここを立ち去らないと…

コイツらこの世のもんじゃない。自分でそう思った事で余計恐ろしくなった。

そして車を出そうとした瞬間…!!! ただひたすら歩いている者達が一斉にこちらを振り向いたんだ。

クルリって。

その顔はどれも無表情だった…

俺はわずかに残る理性で車を発車させ猛スピードで家に帰り着いた。

帰ってから母ちゃん起こして俺が寝るまでそばにいてもらった。

(大の男が情けないが、一人でいるのが怖かったから。 断じてマザコンではないぞ)

あとで分かった事だが、どうやら《霊道》が通っているのだろうって話だ。

俺は憑依されるような事態にはならなかったが、あの道で人をはねそうになった事が一度だけあった。

対向車が停車してたのだが、通りすぎようとしたらスッと男が横切って来て急ブレーキかけて間に合ったから良かったが… なんて事ない、その男、便意をもよおしていたんだろう。 反対側の田んぼの畔めがけて走り、ズボンを下ろしてしゃがみ込んだ姿勢で俺に頭を下げた。

車降りて怒鳴りつけようかと思ったが…状況が状況だけにその場を立ち去った。 だってう〇こしてるんだよソイツ。

まあ 人をハネなくて良かった。

ただ昔からその辺りは鎮守の神様がいて、昔から大切に扱っていたのが、時代を経るとともに何のことわりもなく、神域を侵し、道を作った事による神罰だというお年寄りもいる。 霊道のいわれは分からない。

ただ事故多発地帯には何かある。 きっと原因というか大本となっているものがあるはずだ。

終わっていい?

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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