短編1
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ベランダから

ベランダから下に向かって唾を垂らしたことはないだろうか?

風向きによって、微妙に落下途中で曲がったりして、意外と真っ直ぐに落ちない。

それはまあいいとして、俺は以前、それをやっていた。

住んでいたマンションの三階から、下の歩道に向かって、タラ~リと。

ある時、またいつものように唾を垂らした。

口の中である程度溜めてからなので、思ったより量が多かったと思う。

タイミング悪く、不意に誰かが唾の落下地点のあたりに早足で移動してきた。

(うぉ!やべ!)

思う間もなく、その人に唾が。

急いで、歩道から見てベランダの外壁になっている部分に身を隠した。

「ふざけんなよ!今唾垂らした奴いるだろ!くせーよ!」

すごいでかい声で、そいつは怒鳴り散らした。

近所中に響き渡るような大声だったので、あちこちで窓の開く音が聞こえる。

「出てこーい!このマンションのやつだろ!」

まだ騒いでいる。

身を隠しながら、危機の過ぎるのを待っていたが、一向に去ってくれない。

うちはオートロックなので、入ってくるのはまず無理だが、こうも騒がれると非常に焦る。

結局、2時間近く声を張り上げてマンションの前をうろうろしていたようだが、疲れたのか去って行った。

個人的にはホラーだった。

ちなみに、それに懲りてもう唾は垂らしていない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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