中編4
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きらきら親子

怖くないうえに文才無く無駄に長文です。それでも良ければ読んでやって下さい。

新婚時代に住んでいたアパートでの出来事です。

散財が趣味の私達ダメ夫婦は安めのこのアパートを新居に決めました。

ある平日のお昼です。

ピンポーン

『初めまして、隣に引っ越してきた者です。』

『はーい、今出ます。』

左隣に引っ越してきた、あからさまに爽やかな男前と、幼稚園ぐらいの可愛らしさオーラ全開の男の子でした。

不安なのか私の顔が怖かったのか男性のズボンをしっかり掴んでるその姿に私の心は虜でした。

(左はそういえば空いてたなぁ)

『ほら、お姉さんに挨拶は?』

『こ、こんちゃ……ぼ、ぼく、まーくん。よ、よろしゅです。』

きゃー可愛い!!

恥ずかしそうにニカっと笑うその笑顔、可愛すぎる!

とはやる心を抑え、幾分冷静さを保ち、

『こんにちは、まーくん、よろしくね。お父さんと一緒に来てくれたの?ありがとう。』

『うちの長男です。今日は妻も一緒の予定だったのですが仕事が遅いもので、2人で寄らして頂きました。』

一通り挨拶兼世間話を終え、夜旦那に報告。

『良い人みたいでよかったね。俺も見かけたら挨拶しとくよ。お前の言うきらきらした親子見たら。』

それから数ヶ月たったころからです。

異変に気付いたのは。

『そういえばお隣のまーくん?あんまり見ないね、奥さんにおいては一度も見かけないなぁ。』

確かに。

旦那に言われて気付きました。

ただそんな頻繁にお隣さんと会うこともないだろうし……。

旦那が出張のある夜。

壁の薄さは一級品のこのアパート。

たまたま左隣の壁側近くでうたた寝していたところびっくりするような物音と叫び声で飛び起きました。

男性の叫び狂うような声、その背後で小さな声ではあるが女性の声がかぶって聞こえてきました。かすかではあるが「…けて」と聞こえたような。

な、何っ?!

その日は訳がわからず、恐怖もあったため寝室に逃げ込み布団をかぶって寝てしまいました。

まーくん家、何かあったの……

心配ではありましたが他人が口を挟んでいいかどうか悩む、ただお隣さんからの夜中に起きる暴動はその日を境に毎日起きるようになりました。

さすがにこれはいかんと思い旦那と意を決してお隣に行くことにしました。

ピンポーン

ピンポーン

……

ドンドン!

お留守ですかー?と旦那。

ガッチャ……

古いアパート、建て付けが悪いのか旦那のドンドンの衝撃で鈍い音と共にドアがギイッと開きました。

扉の向こうの光景に私と旦那は絶句しました。

あたり一面ゴミの山、新聞紙や書類があちこちに散乱、そして破かれた写真が玄関近くに落ちてました。

破片を拾い上げ見ると幸せそうな笑顔の男性、他の破片を見ると赤ちゃん、そして顔を黒く塗りつぶされていたが女性が写ったものでした。

もとはきっと幸せな家族を捉えた写真だと思います。

旦那と私はどうしていいかわからずしばらく放心状態でした。

はっと他人様の家で勝手な事をしていると気付き、旦那を促し出ようとした瞬間でした。

トンと肩を叩かれびっくりし振り返ると、お婆さん……そして横にはしっかりとお婆さんの手を掴んでいるまーくん。

『!?』

『……まーくん、頭ど、どうしたの…』

頭に包帯を巻き、小さな腕には何かでひっかいたような傷、数ヶ月前のまーくんの笑顔はすっかりなくなっていました。

『あなた達は(男性)のお友達でしょうか?びっくりされたでしょう。ごめんなさいね。』

『いえ、私達隣の者です。勝手に申し訳ありません。』

『あっ、お隣さんでしたか。ご迷惑だったことでしょう。こちらこそ申し訳ありません。』

立ち話もなんだからと私達の部屋へ上がってもらうことにしました。

お婆さんは奥様のお母様でした。

ふぅっと息を吐くとお婆さんは私達に事のいきさつを話してくれました。

もとはとても仲のよい夫婦だった、まーくんが産まれた時は歓喜のあまり病院で叫び怒られたり、いつも3人一緒だったと。

何が理由か何があったのかは深くは聞きませんでしたが一時期より夫婦の歯車が狂いだしたとのこと。

奥様はその後家を飛び出し実家へ帰ってきた、まーくんを置いてきてしまったことをひどく後悔したが精神的に限界であったと。

その後旦那様は精神的に崩壊、標的がまーくんに変わってしまい今回このような惨事になってしまったと。

『あの部屋は引き払います。は病院です。この子は私が引き取ります。もっと早くに気づいていればと…ではご迷惑おかけしました、ありがとう』

帰り際ふと思い出した私は、

『あのっ、夜中に女性の声も聞こえてたんです。いつもではなかったし、よくはきこえませんでしたが恐らく助けてと。奥様いらしてることもあったんですね。あの助けてで私達そちらに伺おうと思ったんです。奥様はちゃんと元に戻そうとされてたんですね。』

お婆さんは少し不思議な顔をしたのち、笑顔を浮かべ

『そうでしたか。それでは失礼します。』と。

するとそれまで無言、無表情だったまーくんが

『お姉ちゃ、ママは今お星様なんだって。いつもうえからまーくんのこと見ててくれてるってばぁばがゆってた。』

最後ニカっと笑ったまーくんの笑顔はきらきらしてました。

今でもあの男性がこんなことをしたのかと信じられないのですが人に巣くう心の闇は恐ろしいと感じました。

そしてこれは私の勝手な想像ですがあの日きっとお婆さんのところにも奥様が行かれたんだと思います。

まーくんを助けるために。

今まーくんがどうしているかはわかりませんがきっと幸せに暮らしてると思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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