長編9
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夢精

セックスをしている……

女が私の憤怒している部分に濡れた秘部を押し付け、激しく腰をクネらせ喘ぎ声と共にその長い黒髪を振り乱す

この世の全ての快感が、私の一点に集中しているような感覚だ

その感覚が高まり、脳に…身体中に満ち溢れ、気ダルさと共に弾けとんだ

射精!?

私は未だ経験した事のない快感と罪悪感で目が覚めた

「また…かぁ……」

今日で三日連続でセックスの夢を見て夢精した

三日連続で同じ女が私の精子を吸い出した

痩せているのに貧弱でないスレンダーで妖艶な身体、大きくも小さくもない適度な乳房、長い黒髪…

何よりも夢とはいえ、味わったことのない女の秘部だった

汚してしまった下着を脱ぎシャワーを浴びる

熱いシャワーで身体と頭が目覚めて行くようだ

今日も1日頑張れる気力を与えてくれた

簡単な朝食を済ませ会社に出勤した

「おはよう!」

同僚の森山が私の肩を叩いた

「ああ、おはよう」

「お前、目の下にクマが出来てんぞ!?飲み過ぎか?」

「んっ!?そうか?グッスリ寝たけどなぁ(笑)」

「寝たって、女と寝たんじゃないのか?」

そう言って森山が無邪気に笑ったが、私は内心ドキリとした

今年で40代になるいい年したオヤジが、夢精したとは言えない

しかも三日連続なんて口が裂けても言えっこない

昼休み、トイレに入った私は、手を洗いながら何気に目の前の鏡を見上げた

「確かにクマが出来てんなぁ…今晩は鰻でも食うかな」夕飯はスーパーで出来合いの鰻の蒲焼きを買って食べる事にした

ビールで鰻を流し込む…気持ちとは逆に何だか食欲が無い

頭や目は食べたがっているのだが、肝心の胃袋が受付ないのだ

昼食も同じだった

私を心配した森山が、トンカツを食いに行こうと誘ってくれた

「豚肉は身体に良いんだぜ」そう言いながら美味そうに食べる森山が羨ましかった

結局私は半分も食えなかった、誘ってくれた森山なは悪いと思ったがどう頑張っても無理だ

カツの油が鼻につく…

夢を見た……

女が私の下で荒い呼吸で仰け反る、私が女を何度も何度も突き上げる

女は私の腰の動きに合わせて自らも腰をクネらせる

たまらず女の頭を強く抱き締め、狂ったように腰を振りソレを濡れた女の秘部に出し入れさせる

突き上げる度に女は悲鳴にも似た声を上げ仰け反り、秘部を下から押し付けた

私を絶頂を迎える寸前、深く深く突き上げた

背中に回した女の手がより一層私達を密着させる

熱い快感が女の中に勢いよく流れ込む

瞬間、女が私の背中に爪を立てた……

また下着を履き替えないと…私はシャワーを浴びようとバスルームに行き

パジャマ代わりのTシャツを脱いだ

「!?」

Tシャツに血がついている?…点々と白いTシャツに紅い物が

私は鏡に自分の背中を写し、首をイッパイまで捻り背中を確認した

「……爪痕!?」

夢の中で女が……

私は頭が混乱していた

あの女とのセックスは夢の中なのに傷は本物だ

痒い、背中が痒くてたまらない…

会社から一目散に帰り、鏡で背中の傷を見た

傷から黄色い膿が出ていた

膿は着ていた肌着やワイシャツにまで染みていた…。

座った私の腰に股がり機械の様に腰を振る女に、私はおもわず抱きすがる

女と私は同時に絶頂を迎え果てた…

荒く乱れた呼吸が私の肩に熱く当たる

女は私の肩に顔を埋め、はぁはぁと切ない息を洩らし余韻を楽しんでいるかのようだった

女が私の肩をペロリと舐めた

肩の痛みで目を覚ました

夢の中で女が舐めた右肩が紅く腫れ上がり、ズキズキ疼く

肩の痛みとフルマラソンでもしたかの様な疲労感で、とても会社に行く気分になれない

朝早い為に会社には連絡せず、同僚の森山に休む事を伝えた

森山は心配していたが、私にはそんな森山の気持ちに感謝する余裕は無い

汚れた下着を履き替え、顔を洗う為に洗面所に向かった

本当は二度寝したい気分だが寝る事が怖かった

顔を洗い洗面所の鏡をマジマジと見た

目の下のクマは大きくなり少し浅黒い、目は窪み頬が痩けている

一気に老けたような顔をしていた

病人の様な自分の顔を見詰めるていると、不安感と恐怖感が私の中で沸き上がる

肩の腫れと背中の傷が無性に気になる

私はタクシーを呼び歩いて30分ほどの大学病院に向かう事にした

今の私にはとても30分の距離を歩く気力も体力もなかった

上着とシャツを脱ぎ肌着の肩口を捲った

「あぁ、これは酷い…」

私の肩を診て先生が言った

「膿が出てますね…」

続ける先生の言葉が信じられず自分でも肩を見た

今朝、腫れ上がったばかりの肩から膿が滲んでいる

朝からの不安感と恐怖感が一気に膨らんだ

「せ、先生!背中の傷も診て下さい」

私は言いながら肌着を脱いだ

「これはぁ…検査しないとハッキリ分からないが、多分壊死してますよ…」

「えし?壊死って…どういう事ですか?」

「まぁ、簡単に言うと腐ってるって事ですよ…」

私の膨らんだ不安感と恐怖感が弾けた

項垂れながら無意識に脱いだ衣類を着る

シャツのボタンが手の震えで上手くはめられない

「大丈夫ですか?」

先生の後ろに立つ女性の看護師が心配そうに私を見た

「私がやりますよ」

看護師が近寄りボタンを掛けてくれた

「はい、出来ましたよ」

見上げる看護師の顔は夢の中の女の顔だ

女は私を見て口許だけでニヤリと笑った

「うわぁー!?」

悲鳴をあげ女を突き飛ばす

尻餅をついた女の顔は元の看護師の顔に戻っていた

「すっ、すいません

今日は帰ります…」

そう言うと診察室から逃げる様に飛び出した

後ろで先生が何か言ったようだったが、耳鳴りがしている様で聞き取れない

会計場所で支払いをしていると視線を感じた

視線の元を探すと病院の出入口の横に、パジャマを着た小さな女の子がジッと私を見詰める

支払いを済ませ、女の子の横を通り病院から出ようとすると

「ねぇ、この人…病気なの」私を指差しながら女の子が言った

「んっ!?オジさんの事?」

立ち止まり聞き返す

「ううん、オジさんがおんぶしてる女の人」

全身の皮膚がブツブツと泡立ち、頭皮の毛穴がジンジンとして髪の毛が逆立つ

女の子を無視して、病院の表で客待ちをしていたタクシーに飛び乗った

行き先を告げる…

チッとタクシーの運転手が舌打ちした

「近くで済みません」

私は申し訳なく言った

「別に良いけど、吐くなら言ってよ」

運転手は小刻みに震える私をバックミラーで見ながら嫌そうに呟いた

「奥さんもさぁ、ニヤニヤ笑ってないで旦那を看てやんなよ」

運転手は居ないはずの私の隣をバックミラーで見ていた

何度目の夢精だろうか…もう思い出す思考も薄れ始めている

洗面所の鏡を砕き、窓ガラスには新聞紙を張った

私を映し出すあらゆる物を壊し、隠した

私の後で笑う女の姿が見える様になっていた

振り返る事が多くなっている

あの日、病院から逃げる様に帰った日からだ、鏡や窓ガラスに映る私の背後にいつもあの女が笑っていた

何かしらの気配、小さな物音…今では風音や猫の鳴き声、人の話し声までもがあの女の笑い声に聴こえ反射的に背後を振り返る様になっていた

いつか精神が崩壊してしまう、いやもう既に……

「死のぉ…」と思った

この苦しみから逃れるには自ら命を断ち、現世から逃れる他ない

私はやっとの事で立ち上がる、膝はガクガクし太股の筋肉が痙攣するかの様にプルプルと震える

自らの体液で汚れきった下着を履き替える考えはすでにない

ただ少しでも早く楽になりたい、現状から逃げ出したい気持ちでいっぱいだ

心配して訪ねて来てくれた森山が何度もノックしたドアを開け、ヨロヨロと歩き出した

特に思う宛もなく、フラフラと足を引きずるように歩いた

死に場所を求めて…

どこをどう歩いたのか、何時間歩いたのか判らないが

一軒の教会が目に止まった

「教会で死ねたら、天国に行けるだろうか…」

私は教会に向けて歩く

左手でドアを開けようとするが全く力が入らない

右腕は既に動かなくなっていた

私は教会の玄関先で倒れ、気を失った

何日ぶりだろうグッスリ眠れたのは…何日ぶりだろう体液を出さなかったのは…

気が付くと私は教会の中の長椅子に寝ていた

「やっと気が付きましたか?」老人の顔が覗き込む

「あなたは…ここは…私はいったい……」

「ここは教会です、貴方は玄関で倒れてました

力のない老人の私では、貴方をここまで運ぶのが精一杯でした

本当は奥のベッドで休ませてあげたかったのですが…いやいや骨が折れましたよ」老人は優しく微笑んだ

「神父…様!?」

「今は正式な神父ではありません、次の神父がくるまでの繋ぎですよ」

そう言う老人の笑った顔につられて笑った

「それは、夢魔かもしれませんね」

「むまぁ?」

私は老人に今までの出来事を話した

「はい、淫魔とも言います。夢魔は夢精…夢の中に現れ、人の精を吸いとる悪魔です」

「悪魔…ですか」

「はい、人の精を吸いとり、最悪の場合は衰弱死します」

「私はどうしたら良いのでしょうか?どうしたらその夢魔と言う悪魔から逃げられますか?どうしたら……神父様!?私を助けて下さい!私を救って下さい!お願いします」

老人にすがる私の目に涙が溜まる

「残念ながら私にはどうする事もできません…特別な修練を積んだ者、エクソシストと呼ばれる一部の者しかそれは出来ないのです」

「どうにかなりませんか!?」涙が流れ落ちた

私を見詰める老人がユックリと口を開いた

「然るべき所に連絡してみましょう」

そう言うと老人は首から十字の形の付いた首飾りを外し私に掛けてくれた

あれから何日たったのだろうか、いや何時間かもしれない…あの老神父は何かしらの手を打ってくれただろうか

教会に寝泊まりする様に言われた私だが

何故、自分のマンションに帰って来てしまったのだろう

いったい…いつ、どうやって……

逃がさないよ…

背後から女の声がした

あの男は何処に行ってしまったのだろか

この教会に居れば、休む事が出来るというのに…

明日になれば、あのお方が来るというのに…

エクソシスムを行うあの方が…

老神父は男が寝ていた長椅子の前に膝を置き、胸の辺りで十字をきった

ピンポーン、ピンポーン!!

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

「お〜い!?居ないのかぁ?」

ピンポン!ピンポン!ピンポン!

誰だ…?

ドアを叩くのは…うるさい静かにしてくれ……。

「お〜い、俺だ!森山だぁ」

森山!?

そうか、森山か…そういえばもう何日も会社に行っていない

無断欠勤だなぁ、しかしそんな事はどうでもいい

もう、どうでもいいんだ…

今は…静かに……寝かせてくれ…

彼女に…逢いたいんだ…

逢って、彼女を抱き締めたいんだ…

「おはよう」

「おはようございます、森山さん」

事務員の女の子が笑顔で応えた

「森山さん、大丈夫ですか?何だか疲れてるみたい」

「ああ、大丈夫だよ」

森山が言いながら、綺麗に片付けられた机を見た

「アイツが死ぬなんてなぁ…」

第一発見者は森山だった

何日も会社を無断欠勤する同僚を訪ね、鍵の掛かっていなかったドアを開け

ベッドの上でミイラの様になって死んでいる同僚の男を発見した

男の下半身からは、男のものと思われる体液が下着に滲んでいた

男は十字の首飾りをキツく握り締め、その手には『十字の痣』が出来る程だったと警察の人が言っていた

「森山さん、本当に疲れてるみたいね、目の下にクマが出来てるよ」

事務員が微笑んだ

「昨日の夜に、ちょっとね」

「ああ〜奥さんと…仲良いんですね」

「いやいや、夢の中でね、君みたいな可愛い子だったよ」

そう言って笑う森山の肩には女の爪痕があった

森山の入ったオフィスビルを、遠くから睨み付ける様に見詰める男がいる

その男の隣には老神父の姿があった

男は

「見つけた」と小さく言った

私の下で女が喘いでいる

私が突き上げると女は仰け反り、熱い吐息を撒き散らす

この女は最高だ

おそらく、何人もの男達から沢山の精を受けたんだろう

誰にも取られたくはない

私だけのモノにしたい

そうだ、私のモノだという証拠…マーキングをしておこう

私は女の乳房に爪をたてた

私が手を放すと爪痕から赤い液体が浮かび上がり、白い乳房に赤い筋をつける

放す掌には『十字の痣』がついていた

爪痕から滲んだ赤いものは、やがて黄色い膿へと変わるだろう

そして女は私を求め続けるに違いない

かつての私の様に…

夢の中で…

私の下で女が喘いでいる…

どうもありがとうございました。二回目の投稿からは性描写を控えましたが不快に思う方もいたと思います、ごめんなさい。

話の方も、もう少し詳しくリアルにしたかったのですがグロくなると思い、こうしました。

本当にありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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