短編2
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友達の箱

仕事で知り合った人の体験談。

中学のとき、転校生と仲良くなり、頻繁に遊ぶようになった。

その転校生は妹をすごく可愛がっていて、なにかにつけては妹の話をしたそうだ。

ただ、一つ気になったのは転校生の家へ遊びに行っても、妹を見たことがなかった。

女の子がいる気配が全くない家だったそうだ。

ある日曜日、いつものように転校生の家で遊んでいると、ドアの閉まる音と小さな足音が聞こえた。

「妹?」と聞くと、転校生は「うん。部屋隣なんだ」と言った。

妹の気配を初めて感じ、ちょっと安心したという。

しばらくテレビゲームで遊んでいると、転校生が飲み物を買ってくると言って家を出た。

一人になった途端、どうしても妹の顔が見てみたくなった。

悪いことだとは思いつつ、隣の部屋の襖を少し開けて覗いた。

古い机と箪笥、あとは段ボールが積み重なった、物置のような部屋だったそうだ。

人がいる気配はない。

恐る恐る入ってみると、机に黒ずんだ、煎餅がはいってるような大きな箱が置いてあるのに気付いた。

箱の蓋には

みかのもの

と、ミミズが這ったような字で書いてあった。

なんだかすごく嫌なものを見てしまった気がして、慌てて部屋に戻った。

間もなくコンビニの袋を持って転校生が帰ってきた。それからしばらく上の空だったと言う。

家に帰るとき、聞いた。 「妹って、一緒に住んでるの」

転校生は目を合わせなかった。

「俺がそう思ってんだからいいんだよ」

その日からなんとなく気まずくなってしまい、転校生は卒業間際に、親の転勤で引っ越してしまった。

薄汚れ、少し焦げたレースの布が、箱からはみ出している光景を、たまに思い出すという。

怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん  

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