中編3
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川で…

この前同僚の隆晶に釣りに誘われた

「智也今週末暇? 釣り行かね?」

「釣りとか興味ないし メシなら行くよ」

「じゃぁ その日の夜メシおごる 車も俺出すから帰りの運転頼みたいんだ」

成る程

帰りに呑むつもりか

俺は酒が飲めないから運転手に誘うにはうってつけって訳だな…

まぁ メシおごりなら付き合ってやるか

「牛丼とかなしだかんな 俺の行きたいとこだぞ」

「わかってるって んじゃ 週末よろしくな」

俺と隆晶は約束の週末川に向かって車を走らせていた

「智也って霊感とかあるか?」

「は?ねぇよ 隆晶はあんの?」

「んなもんない」

「じゃぁ なんでそんな事聞くんだよ」

「いや… これから行く場所ってのが出るらしいからさ…」

「お化けか?どんなん出るんだ?三つ目小僧とかか? あっ 川だし アレだ 置いてけ〜…ってヤツだな ってかお化けだの幽霊だのって存在すんの?」

「存在するかは知らん でも子供と猫の幽霊が出るらしい」

「へー でその子は何んで幽霊やっての?川で何やってんだ?」

「なんで死んだかは知らないけど探してんだって」

「何を?」

「首輪」

「首輪? あぁ 猫のか… じゃぁさ 首輪あげればもう出ないんじゃね? どっかで首輪買ってプレゼントしてやろうぜ」

「は?それって違くね?跳ねられた時に無くなった首輪を探してるんでしょ… 違うの貰っても成仏しねぇだろ」

「そう言うもんか? どっちにしても俺らには見えないしさ 首輪あげて噂が無くなったら幽霊は存在するってのはどうよ?」

「なんだそれ?まぁ プレゼントしたいなら勝手にプレゼントすれば? スーパーでも売ってんだろ?弁当もいるし寄ってくか」

俺達はスーパーで弁当やらと首輪を買う事にした

「隆晶〜 どれがいいかなぁ?」

「白のがいいんじゃね? 黒には白が映えるからな」

「じゃ 白でいっか 幽霊ちゃん喜ぶかねぇ 」

「くだらね それで成仏するか疑問だわな」

俺達はスーパーを出て川に向った

川は小鳥のさえずりなんかも聞こえてて幽霊が出る雰囲気なんて全くない

「ホントに出んの?」

「さぁな… とりあえずプレゼントするならしちゃえよ」

「あぁ そうだな とりあえずこの岩の上でいっかな」

「そこじゃなくて こっち そのデカイ木の所」

「あぁ ここのがいいな この枝に掛けとけばいいっか」

「そだな これで気が済んだ?」

「噂無くなるか楽しみだな 隆晶 釣りすんならしろよ 俺 適当に探索でもしてくるわ」

「お前釣らねぇの?」

「だって興味ないし 運転手として誘ったのお前だろ」

「そうだけどさぁ まぁ いいや じゃぁ 探索に飽きたらその辺で寝てろよ」

「おぅ んじゃ まぁ 頑張って〜」

俺は釣りの準備を始める隆晶を置いて探索を始めた

川から少し離れた所が森?みたいになっててそん中歩いてみたけどやっぱり幽霊なんか出る雰囲気はない

噂だもんな

おれは幽霊なんか信じていない

幽霊なんか…

女の子と猫の幽霊なんか出るわけがない…

そう言えば隆晶なんか変じゃなかったか???

俺はこれまでの隆晶に違和感を感じたがその違和感が何なのかわからない

まぁ いいや

とりあえず隆晶んとこ戻って寝るかな

「隆晶〜 俺適当に寝るわ 弁当食う時にでも起こして」

「あぁ ゆっくり寝ろよ…」

智也は寝たか?

少し揺さ振ってみたけど起きる気配はない

よくこんな誘いに乗ったよな…

噂話聞いて気づかないのか?

馬鹿なヤツ…

1年前

俺の妹は轢き逃げによって亡くなった

飼っていた黒猫のゴンが居なくなり探してる最中

妹がゴンを見つけ抱き抱えながら帰る途中だった

つりの続きでもするか…

俺は白いビニール紐を取り出すと木の太い枝にかけ片端を智也の首に巻き付ける

獲物を逃すわけにいかない…

俺は巻き付けた紐を硬く結ぶともう一方の片端を力いっぱいに引いた

これで妹とゴンは浮かばれるだろうか…

智也…

ゴンとお揃いの白い首輪

気に入ったか?

やっぱり白は日に焼けた黒い肌にもよく映えるな

さて

大物も吊れたことだし

帰るとするか…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名R さん  

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