短編2
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トンネルの雨

地元にあるトンネルの話。

そのトンネルは昔から幽霊目撃談がある場所で、「七十塚」という場所にあった。

トンネル自体で事件や事故があったわけではないが、その土地がいけなかったらしい。

「七十塚」という名前は昔、殿様に背いた侍が、体を70に切断されて処刑されたことに由来するらしい。(うちのおばあちゃんに聞いたので真偽は不明)

また、50年程前に起きた水害で、70人が生き埋めになったなどいわくつきの土地だった。

通勤でそのトンネルを通ることが多かった友達がある夜、興奮して電話をかけてきた。

「今トンネルにすげーのいた!

ガリガリの女がクロールみたいに手で空気をかいてこっち向かってくんの!

こっちくる!こっちくる!うわ!包丁持ってる!」

興奮状態の友達をなだめて、トンネルから出るように言った。幽霊でも怖いが、人間だったらやばいことになりそうな気がしたからだ。

「もう大丈夫。

今バックしてトンネルの外出たらいなくなった。」

「バックで出たらまたトンネル入らなきゃ帰れないじゃん」

「だってすれ違うの怖いじゃん!大丈夫。もういないみたい。念のため、トンネル出るまで電話してていい?」

エンジンのかかる音がした。

「やっぱり出るんだな。ここ。あー怖かった…

あ、雨降ってきた。」

かすかに音楽が聞こえる。カーステレオだろうか。

そこでおかしなことに気付いた。

「雨って、

今トンネルの中じゃないの?」

その直後電話が切れた。

怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん  

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