中編5
  • 表示切替
  • 使い方

猿夢

私は、夢をみていました。昔から私は夢を みている時に、たまに自分は今、夢をみて いるんだと自覚する事がありました。

この 時もそうです。

何故か私は薄暗い無人駅に 一人いました。ずいぶん陰気臭いを夢だ なぁと思いました。

すると急に駅に精気の無い男の人の声でア ナウンスが流れました。それは「まもな く、電車が来ます。その電車に乗るとあな たは恐い目に遇いますよ~」 と意味不明なものでした。

まもなく駅に電 車が入ってきました。それは電車というよ り、よく遊園地などにあるお猿さん電車の ようなもので数人の顔色の悪い男女が一列 に座ってました。

私はどうも変な夢だなと思いつつも、自分 の夢がどれだけ自分自身に恐怖心を与えら れるか試してみたくなりその電車に乗る事 に決めました。

本当に恐くて堪られなけれ ば、目を覚ませばいいと思ったからです。 私は自分が夢をみていると自覚している時 に限って、自由に夢から覚める事が出来ま した。

私は電車の後ろから3番目の席に座りまし た。辺りには生温かい空気が流れていて、 本当に夢なのかと疑うぐらいリアルな臨場 感がありました。

「出発します~」とア ナウンスが流れ、電車は動き始めました。 これから何が起こるのだろうと私は不安と 期待でどきどきしていました。

電車はホー ムを出るとすぐにトンネルに入りました。 紫色ぽっい明かりがトンネルの中を怪しく 照らしていました。

私は思いました。(このトンネルの景色は 子供の頃に遊園地で乗った、スリラーカー の景色だ。この電車だってお猿さん電車だ し結局過去の私の記憶にある映像を持って きているだけでちっとも恐くなんかない な。)

とその時、またアナウンスが流れました。 「次は活けづくり~活けづくりです。」 活けづくり?魚の?などと考えていると、 急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえて きました。

振り向くと、電車の一番後ろに座っていた 男の人の周りに四人のぼろきれのような物 をまとった小人がむらがっていました。よ く見ると、男は刃物で体を裂かれ、本当に 魚の活けづくりの様になっていました。

強 烈な臭気が辺りをつつみ、耳が痛くなるほ どの大声で男は悲鳴をあげつづけました。 男の体からは次々と内臓がとり出され血ま みれの臓器が散らばっています。

私のすぐ後ろには髪の長い顔色の悪い女性 が座っていましたが、彼女はすぐ後で大騒 ぎしているのに黙って前をを向いたまま気 にもとめていない様子でした。

私はさすが に、想像を超える展開に驚き、本当にこれ は夢なのかと思いはじめ恐くなりもう少し 様子をみてから目を覚まそうと思いまし た。

気が付くと、一番後ろの席の男はいなく なっていました。しかし赤黒い、血と肉の 固まりのようなものは残っていました。う しろの女性は相変わらず、無表情に一点を みつめていました。

「次はえぐり出し~えぐり出しです。」と アナウンスが流れました。すると今度は二 人の小人が現れ、ぎざぎざスプーンの様な 物でうしろの女性の目をえぐり出し始めま した。

さっきまで、無表情だった彼女の顔 は、痛みの為ものすごい形相に変わり、私 のすぐ後ろで鼓膜が破れるぐらい大きな声 で悲鳴をあげました。眼かから眼球が飛び 出しています。

血と汗の匂いがたまりませ ん。私は恐くなり震えながら、前を向き体 をかがめていました。ここらが潮時だと思 いました。 これ以上付き合いきれません。しかも、順 番からいくと次は3番目に座っている私の 番です。

私は夢から覚めようとしました が、自分には一体どんなアナウンスが流れ るのだろうと思い、それを確認してからそ の場から逃げる事にしました。

「次は挽肉~挽肉です~」とアナウンスが 流れました。最悪です。どうなるか、容易 に想像が出来たので神経を集中させ、夢か ら覚めようとしました。(夢よ覚めろ、覚 めろ、覚めろ)いつもはこう強く念じる事 で成功します。

急に「ウイーン」という機 会の音が聞こえてきました。今度は小人が 私の膝に乗り変な機会みたいな物を近づけ てきました。

たぶん私をミンチにする道具 だと思うと恐くなり、(夢よ覚めろ、覚め ろ、覚めろ)と目を固くつぶり一生懸命に 念じました。 「ウイーン」という音がだんだんと大き くなってきて、顔に風圧を感じ、もうだめ だと思った瞬間に静かになりました。

なんとか、悪夢から抜け出す事ができまし た。全身汗でびしょびしょになっていて、 目からは涙が流れていました。私は、寝床 から台所に向、水を大量に飲んだところ で、やっと落ち着いてきました。恐ろしく リアルだったけど所詮は夢だったのだから と自分に言い聞かせました。

次の日、学校で会う友達全員にこの夢の話 をしました。でも皆は面白がるだけでし た。所詮は夢だからです。

それから4年間が過ぎました。大学生に なった私はすっかりこの出来事を忘れバイ トなんぞに勤しんでいました。

そしてある晩、急に始まったのです。 「次はえぐり出し~えぐり出しです。」あ の場面からでした。私はあっ、あの夢だと すぐに思いだしました。 すると前回と全く同じで二人の小人があの 女性の眼球をえぐり出しています。

やばい と思い(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)と すぐに念じ始めました。。。。。。 今回はなかなか目が覚めません。(夢よ覚 めろ、覚めろ、覚めろ)。。。。。。。。 「次は挽肉~挽肉です~」 いよいよやばくなってきました。「ウイー ン」と近づいてきます。(夢よ覚めろ、覚 めろ、覚めろ、覚めてくれ)ふっと静かに なりました。

どうやら何とか逃げられたと 思い、目をあけようとしたその時「また 逃げるんですか~次に来た時は最後ですよ ~」とあのアナウンスの声がはっきりと聞 こえました。 目を開けるとやはり、もう夢からは完全に 覚めており自分の部屋にいました。最後に 聞いたアナウンスは絶対に夢ではありませ ん。現実の世界で確かに聞きました。私が いったい何をしたと言うのでしょうか?

それから、現在までまだあの夢は見ていま せんが次に見た時にはきっと心臓麻痺か何 かで死ぬと覚悟しています。 こっちの世界では心臓麻痺でも、あっちの 世界は挽肉です。。。。。。

Concrete
コメント怖い
5
33
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

う〜ん、誰が食べるのかな

返信