中編3
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スズキさんの家

私は、幼少期から十数年間、とある海に程近い家に住んでいたのですが、どうも気味の悪い事が続いておりましたので、十年程前に両親と引越しに踏み切ったので御座います。

今回は、私の体験した不思議な体験を数点皆様にお伝えしたく存じます。

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今から30年程前の事になりますが、両親はまだ幼少の私と、私の妹とで暮らせる家を探しておった様で、よく様々な物件や空き土地を見に連れて行かれたもので御座いますが、その家を見て、ほぼ即決で購入したと後に伺いました。

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偶然ではありますが、私達一家の前にその土地を所有しておりました方のお名前もスズキさんと言い、家を建ててくれた大工さんもスズキさんと云う事で、私の両親は良くおもてなしをしていたのを良く覚えております。

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私達一家は、その家にその後20年近く住む事になるのですが、私達の売り物件に真っ先に飛び付いた方もまたスズキさんであれば、少々気味の悪さは否めませんでした。

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更に、後から聞いた事なのですが、そのスズキさんも家族に不幸が多く引越したそうですが、その後に入居されたご家族もスズキさん、そしてそのスズキさんも程なく引越し、現在、またしてもスズキさんが居住しておるので御座います。

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先日、ドライブついでに旧家を拝見しに参りますと、父の建てた標識はそのままに、何か閉鎖された空間でも覗いている様な、そんな異様な空気で満ち溢れておりました。

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さて、そんな家で御座いますので、奇妙体験など数えきれない程御座います。

今からおよそ15年程前の事で御座います。学生だった私は、夜中に友達と麻雀をする事が好きだったので御座います。普段は友達宅で朝までワイワイと行う事が多かったのですが、その日はたまたま「たまにはスズキの家でやろうぜ」と話しが纏まり、私宅での麻雀大会と相成ったので御座います。

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その日は夏もすぐそこに近付いているだろうと思える程暑い日で御座いましたので、窓を開け外風に当りながらの娯楽となりました。

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程すると、お祭りの太鼓囃子が聞こえて参りまして「(もうすぐお祭りの季節なんだな)」程度で思っておりまして、友達達も恐らくその程度に思っていたのでしょう。特にそれに対して触れる事なく夜が明けたので御座います。

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夜明けと共に友達連中は眠い目を擦り家路に着いたのですが、私は朝食の支度をしてくれた母としばし団欒したので御座います。

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母「本当にあなた達は近所迷惑も考えずにギャーギャーとよく遊ぶわね!」

私「友達遊ぶの好きだからねー、」

母「いい加減にしなさいよ」

私「ところでそろそろお祭りの季節だねぇ?」

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私が昨晩の太鼓囃子を思い出しそれについて話しを進めたので御座います。

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母「本当にねぇ。昔はよく一緒に行ったねぇ。覚えてるかい??」

私「うん。覚えてるよ。昨日も祭りの練習、皆さん、本当にご苦労様だよね。」

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と言うと、母は顔色一つ変えずにこう言ったので御座います。

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母「あんた、本当にあれがお祭りの練習だと思ってんの??」

私「だって母さんだって昨日の太鼓囃子聴いただろ??」

母「あぁ、聴いたよ。」

私「じゃあいいじゃない。」

母「私は確かに聴いたよ。聴いたけど夜中の二時、三時にお祭りの練習する人が何処に居るのさ」

おしまい。

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