『今度は落とさないでね』

短編2
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『今度は落とさないでね』

『オシッコしたい…』

『うん?』

親子三人での久々の旅行中だった。ボードで湖のちょうど真ん中に着いた時、不意に息子がこう言ったのだ。父親は漕ぐのをやめ、小さな息子を抱き抱える。

『さあ、押さえてるからここでしようね』不意にボートがグラリと揺れる。二人を笑って見てた母親の表情が凍りついた。

『あなた!危ない!』

彼女がみたのはバランスを崩して、息子を抱いたまま湖へ転落する父親の後ろ姿だった。

父親が、目が覚めるとそこは病院のベットの上だった。妻が泣いているのを見て理解した。ああ…息子は助からなかったのだ、と

月日は流れる。悲しみを乗り越え、やがて二人は女の子を授かった。名前を愛と命名した、とても可愛がった 愛はミミ(愛犬)が大好きでどこへ行くにも一緒だった。

ある日、家族でドライブに出かけた。娘の隣にいたミミ(愛犬)が車の窓から外を覗くと大きな湖が見えた。湖が近くに見えた時、夫婦はあの時の事故を思い出し気持ちを曇らせた。

湖畔を歩いていると『ボートに乗りたい』と愛が言った。『危ないから見てるだけにしましょうね』なんとか諭すが、愛の無邪気な笑顔に二人はとうとう根負けしてしまった。

愛犬のミミを置いてく訳にいかず、仕方なしにミミも連れてく事にした。この時ミミを連れて来た事がこれからの状況を変える事になるとは思いもしなかった。

『ワオーンワオーンワオーン』ボートが湖の真ん中に着いた頃、急にミミ(愛犬)が訴えるように吠えだした 父親はあの時を思い出し、急いでボートを岸へ漕ぎ出しそうとしたその時、まるでそれに合わせるように『ママ、おしっこしたい』と娘が突然言い出した。

あの時と同じだ 真っ青になった二人は顔を見合わせた 『ダメだ!すぐ引き返すから我慢しなさい』母親は娘が落ちない様にしっかりと抱き抱えるとあの時の事を思い出して泣いていた。

『ママ?…どうしたの?』娘が振り向くと、ミミ(愛犬)はボートの淵の方で口をモゴモゴして鳴いている …『ワオワオ、ワワオワオーワオ?…』それを見た両親は声を合わせて叫んだ!

『そっちかよ!』

おあとが宜しいようで

怖い話投稿:ホラーテラー なみすけさん  

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