中編4
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排水溝の中から

昨日体験した、ホットな出来事を書こうと思う。

正直、文章にすると怖さが伝わらないかもしれないが、俺自身は思い出しただけでも恐怖する鳥肌体験だった。

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事の始まりは、昨日の夜22時頃だ。

同僚から借りた「アナザー」のアニメを、酒を飲みながら見ようとしたんだが、赤ワインしかなかった。

赤ワインは飲めなくはないが、アニメを見ながらっていうと重すぎる。かと言って、コンビニに酒を買いにいくのはめんどくさかったから、近くの自販機でコーラを買って割って飲む事にした。

財布とiPhone持って、ついでに弟と妹からも飲み物頼まれて、チャリにまたがってペダルをこいだ。

最初、墓地近くにある古い自販機に向かったんだが、八十円のコーラやジュースが売り切れでお茶類しかなかったから、渋々来た道戻って反対側の自販機に向かった。

(なんだよー、何なら最初からコンビニ目指した方が良かったじゃん)

最近涼しくなってきたが、夏の夜はまだまだ暑くて、無性にイライラしながら目指した自販機に辿り着いた。

カナブンや蛾なんかが集まる自販機に歩み寄ってみると、あった。

コーラの増量缶、百円。

(うっしゃあ!)

よくこういう場合って、別の自販機も売り切れってパターンがあるから、内心喜びながらコーラを買った。

チャリのカゴに、コーラと弟と妹の為のレモンとグレープの炭酸の増量缶を入れ、家に戻ろうとした時だった。

shake

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sound:8

…ブワアアアァァァァァァァァァァァァァッ……

周りの空気が、まるで俺に集まるように舞って、変な音が響き始めたんだよ。

自販機はひと気のないコインランドリーにあるし、反対側は砂利の広い駐車場だから尚更孤独感と恐怖に襲われた。

(え、何なに⁈)

今思い出せば、ただ唸るような風音だったんじゃないかって思えるけど、その時は本気で寒気がして足が震えてた。

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家まではチャリで五分で、直ぐそこだったから、急いでペダルをこぎ始めたら、コインランドリーの後ろの住宅街から犬の吠える声が響き始めて、もう頭がテンパってしまい、アニソンを大声で歌おうと思ってた。

ちょうど、自販機から家まで三分の一位進んだ時からだった。

羞恥心で、結局小声で歌ってたんだけど、自分の歌声に混じって道路の片側からガタガタ音が鳴り始めたんだ。

shake

shake

見ちゃいけないと思ったんだが、横目でチラリと見たんだ。

そこには、排水溝の上のコンクリートの蓋が道に沿ってあるんだが、その蓋がガタガタ震えてんの。

見間違いじゃない。まるで俺についてきてるみたいに、ガタガタ音立てながら、震えてる。

shake

もう、歌ってる場合じゃなかった。

立ちこぎでチャリを走らせたんだが、その音は俺と同じ速度でピッタリくっついてくる。

振り向いたら髪の長い女がいるんじゃないかとか、考えなきゃ良いのに頭ん中で次から次へと想像しちゃって、精神的にピークに達してた。

そんな俺の目の前に、家へ続く細い路地が見えた。その細い路地は、排水溝は無いから、助かったっていう安心感が胸に広がった。

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それで、細い路地に入った途端、あの音が、止んだんだ。

その路地自体も、大谷石の塀で両側囲まれたとこで、街灯も一つしかない不気味なとこなんだが、音が消えて安心したんだろうな。

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俺の家は借家で、共同駐車スペースの砂利道の入り口には、事故防止の大きなミラーがあるんだよ。街灯もその脇にあって、自然とミラーに目をやったんだ。

ちょうど、路地の入り口と、排水溝のある道路が見えたんだが、俺は声が出なかった。

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排水溝から、白いモヤみたいのが出ていて、道の上に漂ってたんだ。

排水溝の蓋は、遠くからだったし、音もしなかったから何とも言えないが、揺れてるように見えた。

それだけだったんだけど、もう髪の毛が真っ白になる位ヒビって、玄関にチャリを停めて、直ぐに家に入ってカギを閉めた。

とりあえず、クーラーのきいた部屋でゴロゴロしていた弟に蹴りを入れて、ジュースを渡して、事情を説明した。

案の定、信じてもらえなかったから、ガクブルしながら赤ワインのコーラ割りを飲みながら、アナザーを見て、寝た。

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この話が、妄想でも無ければ、夢でもないと分かったのは、今日の朝だ。

通勤する時、あの排水溝のある道を通るんだが、所々、排水溝の蓋が持ち上がってズレてた。

普通、コンクリートの重い蓋って、簡単に持ち上がらないよな?

オチなる物が微妙だと思うだろうが、本当に怖い体験だった。

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