中編4
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じよう頭様2

俺達は友人三人で夏休みを利用し海に遊びに行った。

海は日曜日も重なってか、ものすごい人で一杯だった。

俺達は浜辺より少し外れた磯場で泳ぐ事にした。

水中眼鏡を持ってきていたので、岩場の周りを潜ったりしながら、しばらく三人で泳いで遊んでいた。

すると友人Yが岩の隙間辺りに黒い影が見えると言い出した。

俺ともう一人の友人Nは

「大物の魚かも知れん!」とテンション上がり、

Yの言った場所に二人で潜りこんだ。

たしかに、その場所の底の岩場の隙間になにやら黒い影が見える。

するとNがその影の目の前まで近寄った。

と、突然どうしたのかNは物凄い勢いで逃げるように海に上がってしまった。

何か見てはいけないもの見たかのように。

俺もすぐに海面に上がった。Nは海から上がっていた。俺はNに

「どうした!?影はなんだったんだ?」

Nは黙って喋らない。

Yも海から上がり、心配そうにNを見つめていた。

仕方がないから俺も海にあがり、Nに

「どうしたの?大丈夫か?何をみたんだ?」

するとNは

「信じられないかもしれないけど…」

「あの影…

男の首だった…」

俺「まじか!?…何かの見間違いじゃないの?」

N「見間違いなら、いいけど…その男の顔と目があった

…そして俺の顔見るとニターっと笑ったんだ」

Nの話は信じられないが、嘘をつくようなやつじゃないし、取り敢えず気分転換に飯でも食べようということになった。

ところがどこの海の家もお客で一杯。

しかも、他で飯を食べる所もなかった。しばらくウロウロしていると。

Y「あそこにあるの海の家じゃないか?」

俺は目をやると、たしかに、一軒、他の海の家とは離れた場所にポツンとあった。

かなり、建物は小さく、安っぽい作りの家だが、お腹も減ってたので、その家に入る事にした。

建物の入り口には

「じよう頭亭」

とあった。なにやら変わった店の名前。

中に入ると

「いらっしゃい」

おばあさんが一人、俺達はテーブルに座った。

おばあさん「何にしましょう?」

俺達はメニューを見て、皆オススメのラーメンを注文した。

俺「今日は何か参ったねー。N大丈夫?落ち着いたか?」

N「おう!もう大丈夫だ。心配かけてわりーな」

Nも大分落ち着いてきて、俺も安心した。

すると

「お待たせ」

おばあさんがラーメンを3つ持ってきた。

俺「さあ、食べよう」

ズルズル、皆食べ始めた。

……

普通に不味かった…

何やら奥の厨房の方から、調理したであろう、おじいさんがじっと、こちらの様子を伺っている。

俺は話題を変えようと、店のおばあさんに

「そういえばお店の看板のじよう頭亭って名前はどういう意味なんですか?」

おばあさん「あー、あれはね、この辺の海には古くからいる神様の名前からとったんよ」

俺「へー、神様なんて、いるんですねー」

おばあさん「この辺じゃ、有名だでー、姿はいろんな形に変えて出てきてな、海の底にじっと、してるんよ。」

俺はその話を聞いてドキッとした。

Nの方に目をやると、Nは青白い顔をしている。

俺「あのー、例えば、どんな姿してるんですか?」

おばあさん「様々やね。動物とかー、あと男の生首の姿している時もあるそうね」

俺は冷や汗が出てきた。Nも益々顔色が悪くなっている。

するとYが

「それ、さっき僕らみたんです」

おばあさん「えっ!?」

すると、奥の厨房から

「みたんけ!!」

おじいさんが大声で出てきた。

俺達は皆ビクッと驚いた。

おじいさん「じよう頭様をみたんけ!?」

俺「え?あ、はい。それっぽいものを…」

おじいさん「あかん!ついちょるわ!」

するとカウンターにある電話でどこかに電話し始めた。

Nはさらに顔色が変わった。

俺も何がなんだか分からなかった。

すると

N「逃げよ!早く!」

俺「え!?でも、何か電話してるよ!」

N「いいから早く!」

俺達はNの言うようにすぐさま店を出た。N「取り敢えず、俺達の自転車の所まで行こう!」

俺「わかった!」

走りに走りまくって、俺達が乗ってきた、自転車の所まで着いた。

俺「おい!どうしたっていうんだ!?」

Y「Nお前、あのじいさん見たとたん、すごい顔してたな!」

N「あのじじいなんだよ!」

俺、Y「え!?」

N「だから!俺が海で見た生首の男の顔はあのじじいなんだ!」

俺、Y「マジかよ!?」

すると

ブーーン!!

物凄い勢いで向こうの方からサイドカーを乗ったじいさんとサイドに乗っているばあさんがやってきた!

俺達は呆然と立ち尽くし、逃げることもできなかった…。

ブーン!!

キキーー!!

ガチャ

じいさんは物凄い形相をしながら降りてきた。

ばあさんもニタニタしながら降りてきた。

じゃ~らん♪じゃ~らん♪

何故かばあさんはジョーズのテーマを口ずさんでいる。

じいさんはそれに合わせ、大きく手を振りかざしながら、オーケストラのように指揮をとっている。

完全イカれていた。

徐々にじいさんとばあさんは歩み寄ってくる。

じゃんじゃん♪じゃんじゃん♪じゃんじゃん♪

ばあさんの口ずさむテーマ曲も佳境に入りだし、じいさんの指揮も狂ったかのように手を振り回していた。

N「…めんな…」

俺「え?」

N「なめんな…」

N「なめんなやーー!!」

するとNはじいさんめがけて、伝家の宝刀左ハイ並みのハイキックを食らわせた!!

じいさん「ゴブォ!!」

じいさんはかなり効いたのか、地面にのたうち回っている。

ばあさん「じゃんじゃん♪じゃんじゃん♪」

じいさんが転げ回ってるにも関わらず、相変わらずテーマ曲にひたっている。

俺「いまのうちだ!逃げるぞ!!」

俺達は自転車に乗って急いで海を後にした。

じよう頭様とは何だったのか、そしてあの老夫婦?は一体何だったのか?

誰も知らない。

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らーめんの金払おうぜ