トンネルの中にいたナニカ

中編5
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トンネルの中にいたナニカ

ちょっと長いですが、暇つぶしにでもなれば…。ではどうぞ。

4人で心霊スポットツアーをしていた頃の話。

オカルト大好きで、いつも怪しいネタを仕入れてくるMと、ビビりだけど俺と昔から仲がよく、いつも運転手をしてもらっているT。霊感が強い家系に生まれ、簡単な除霊くらいなら朝飯前の頼りになるBに、俺を加えた四人だ。

今日は珍しくBの家に集まっている。

まぁ俺達がBの家に集まるってのは、結構ヤバイモノを連れて帰ってきたときだけだ。

もう何度目かわからないくらい、Bの祖母に怒られながら除霊してもらっている…

ことの発端はこうだ……

今から数時間前、俺達はトンネルの中にいた。

M曰く、このトンネルは工事中、岩盤が崩れたりだとか、機械が度々故障したりだとか、まぁなんせ良くないことが多発したらしい。当然死者もでている。それで、トンネルと言えど、出口はなく、途中で掘るのをやめてあるらしい。

このトンネルのすぐ脇には別のトンネルが掘られ、国道が通っているんだけど。度々そっちのトンネルでもヘンナモノが見えたりするって聞く。

持ってきたペンライトの光をたよりに暗いトンネルの中を進む。

カツーン…ジャリ…ジャリ……

四人の足音だけが暗闇の中に響いていた。

トンネルの中は肌寒く、漆黒の闇に包まれていることもあり、雰囲気だけでかなり怖かった。

しばらく進んでいくと、トンネルの奥に、小さな慰霊碑みたいな物がたてられていた。外にも大きめの慰霊碑のようなものがあったが、この小さな慰霊碑はとてつもなく風化し、書いてある文字など、一切読めないほどボロボロになっていた。

近くで見ようと、それに近づいた瞬間。

キィィイイイイン!!

激しい耳鳴りが俺を襲う。

ヤバイ…これまじでヤバイ……

耳を抑えながら、Bの方を見る。

Bも慌てて耳を抑えていた。

みんなに逃げようと叫ぼうにも、声もでず、身体も動かない。

MとTは何がおきたかわかってないんだろう。話かけてくるが、声が聞こえない。

その時だ。

パァァアアン!!

Bが大きな柏手を打った。その直後、身体が動くようになり、慌て他の二人を連れ、出口に走った。

俺達の後ろからは、ズルズルと何かを引きずるようにして近づいてくる音があった。

珍しくBが怯えたような顔をしていた。

後ろを振り返ろうとすると全力でBに止められる。

見るな!いいか?絶対みちゃだめだ。

嫌な汗が背中をつたう。こんなBをみたのは初めてだ。

なんとかトンネルを抜け、車にたどり着いた俺達は、急いで車に乗り込み発進させた。

よくありがちなエンジンがかからないなんてことはなく、スムーズに車が動き出すと、トンネルの中からオォオオオンって感じの叫び声みたいなものが聞こえてきた。

た……助かった………。

そう思ったのもつかの間。脳に直接響くような声で…

ニガサナイ…逃がさないニガサナイにがさないニガサナイ逃がさないニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイ!!

おそらく一人ではなく。大量の声の違う者達の叫びが響いた。

なんだこれ…

洒落にならん。背中を流れる冷たいものを感じ、ブルブルと身をふるわす。

車を走らせている間もズルズルと引きずりながら音がついて来ている。

ふとBの声が聞こえた。

どうやらおばぁさんに電話しているみたいだ。

電話の向こう側から、怒り心頭のおばぁさんの声が聞こえる。

電話を切ると、ぐったりしながらBが、自分の家に向かってくれと言った。

しばらく走ると、Tが運転する車に異変が起こりはじめた。

ガタガタと音をたて、小刻みに揺れだしたのだ。

Bに振り向くな、そのまま俺の家まで……早く!

といわれ、Tはビビりながらも、必死に車を運転し続けた。

30分くらいでBの家に到着すると、玄関の前でおばあさんが待っているのが見えた。

おばあさんの前に車を止めると、おばあさんは手に持っていた大量の塩を車にぶちまけ、老人とは思えないほどの声で叫んだ。

早く家の中にはいらんか!この馬鹿たれども!

俺達4人は慌てて家に駆け込んだ。

案内された部屋に入ると、四隅に塩が盛られており、簡易ながら祭壇?の様なものが用意されていた。

服を脱がされ、四人全員で身体に塩をすりこむ。

おばあさんは険しい表情で部屋の外を見据えていた。

また…エライモンを連れてきよったな。ここまでのモノを見たのは久しぶりだ。お前ら、○○トンネルへいっただろう?この馬鹿たれ!あそこは出口のない、悪霊達の巣ぞ。二度と近づくな。

簡易の祭壇を前におばあさんは何か祈りを捧げるように、儀式をはじめた。

しばらく儀式を続けるとイキナリ部屋が大きく揺れた。

きた…………。

Bが呟く。

部屋の揺れは大きさを増し。その中でもおばあさんは必死に儀式を続けている。

ビタンビタンと壁に何かを打ち付ける様な音が部屋中に響く。

よこせ………よこせぇ…。身体をよこせぇ!!

凄まじい声とともに、部屋中がガタガタと大きく揺れはじめた。

俺達は、声にならない恐怖を感じ、ただ鯉のように口をパクパクさせながらその光景を見ていた。

次第に影の様なものが一カ所に集まりだし、何か得体の知れない恐怖に襲われる。

ばぁさんは必死に儀式を続けるも、歳のせいか、肩で息をするほどの疲れをみせていた。

しばらく時間がたっただろうか。影の集まりがナニカの形を作りはじめた。

人型……であると思われるソレは、手や脚のようなものが無数に身体から突き出ていた。

次第に影が形をなしていき中、俺達は黙ってそれをみているしかなかった。

頭であるはずの場所には何もなく、胴体と一体化するように無数の顔や手が生えている感じ…

あまりの異業さに声もだせず、ただただビビった。

すると、いきなりばぁさんが立ち上がり。そのナニかに向かい合い札のような物を投げつける…。

徐々にナニかの動きが鈍くなり、とうとうそれは動かなくなった。

それからもばぁさんは祭壇の前でお経をとなえている。

しばらくするとばぁさんは俺達にこう言った。

あれは、払えるようなもんじゃない。今はあれの力を出来るだけ封じこめてある状態だ。とりあえずは大丈夫だが、そのままもとの場所に帰すしかない。

お前達は二度とあそこに近づくな……わかったか??

………………………………

その後ばぁさんがアレをもとの場所に帰し。

俺達に変なお守りをくれた。

肌身離さずもっておけと、それをもっていないとアイツが探しにくるぞと。

俺達はばぁさんに散々怒られたわけだが、それでも飽き足りず、今だに馬鹿なことをやっている。

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