短編2
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車両の幽霊

あれは...10年位前

JRで大学に通学していた俺は前の日に徹夜で勉強していたせいか 快速電車でウトウトしていた。

 明石駅から乗った時は電車はガラガラだった。俺は途中、垂水位から三宮までウトウト居眠りをしていた。

すごく気持ちが良くて目は開けないが 寝たり意識が戻ったり

電車の揺れが心地よい感じだった

はっきり覚えいないが須摩あたりから.... たくさんの人が乗って来た。

ドヤドヤ... ガサガサ ザワザワ...

寝てる俺のヒザに人が当たる

俺は内心『座れて良かった====』 と思ってまた寝た

しばらく満員のまま兵庫 神戸と過ぎてゆく

居眠りを続けている俺の近くで立っている人達の会話が、俺の睡眠の合間に耳に入ってきた。

小さな女の子の声がする。一緒にいるのはお母さんらしい。

『早く行こうよ』

『まだかな』

『お母さん、早く行こうよ!』

『お父さん、いるかな?』

ガタガタ電車は走り続ける...

三宮に着いて はじめまて目をあけた俺は

ガクゼン とした。

車両には誰もいない

あんなに乗ってた人は?

後で新聞で知ったのだが、その日、その時間、 阪神淡路大震災の亡くなった人達の慰霊法要が三宮で行われていた。

今思えば、快速が止まるはずのない長田でたくさんの人が乗ってきた 気がする。

あの人達は電車に乗って慰霊法要に向かっていたんだと、思った。

あの女の子とお母さんは生き残った お父さんに会いに... ...

怖い話投稿:ホラーテラー 小杉おばちゃん2さん  

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