短編2
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頭部

長男の場合

彼は、二階の自室で物の整理をしていた。

ふと庭に面した窓を見ると、黒いボサボサ髪の頭が、踊るように揺れながら通過した。

「あん?今の…?ここ二階やのに。なんぼほど背の高いやつやねん!」

彼は一応窓を開けて見たが、そこには何もいなかった。

何の疑問も感じていないーっ!

次男の場合

彼は夜九時頃、自転車でバイト先から帰って来た。自宅前の道を曲がってしばらくすると、建築中の向かいの家から、人間の頭だけがヘラヘラ笑いながら出て来て、彼の右肩にドンとぶつかった。

彼は転倒しそうになるのを何とか持ちこたえて、

「何するんじゃ、ボケ!」

と頭が行った先へ振り向いた。

頭はさも楽しそうに上下左右に揺れながら、T字路を左へ曲がった。

次男は気丈にも、すぐあとを追いかけたが、もうそれは見当たらなかった。

なんで怖がらへんねっ!

私の場合

私はキッチンで夕食の支度をしていた。

カウンター越しにリビングの鏡を見た。

調度ガラスを通して、庭が写っている。

「ん?」

よく見ると、何か黒い髪の毛…?

それがピョンピョン飛び跳ねている。

そして、大きく飛び上がった時、首や肩が…ない…。頭だけ…?

ぎやあーーーー!!!

鍋は焦げついていた……。

近所のおじいちゃんの場合

二軒先の八十五歳のおじいちゃんは、友達の自治会長じいちゃんとお茶会から帰って来た。

「ほな、またな。」

自治会長じいちゃんと別れて、自宅へ通じる道を曲がった途端、後ろから来た何者かに突き飛ばされた。

「おっとっとぉ」

おじいちゃんは、高齢ゆえに虚しく転倒。

うつ伏せに倒れて頭を上げて前を見た。

すると、黒いボサボサ髪の人間の頭が、ピョコピョコ揺れながら遠ざかって行った。

「あ、あ、頭やあーー!助けてぇーーー!!」

おじいちゃんは、通りかかった人に助けられて、救急車で病院へ運ばれた。

あらぬことを口走るため、頭部MRIまで撮ったらしい。

救急車まで呼ぶか?ふつう!?

最近、見やへんなあ。

三年くらい前、うちの町内で起こった怪現象です。

何だったのでしょう。

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