短編2
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カズノリさん

夕方、会社が終わり家まで車を走らせてると、

交差する道から何かが凄いいきおいで飛び出してきて避けることもできずにぶつかってしまった。

あわてて車を降りて、前方の道路を見てみると人が仰向けで倒れていた。血も出ている。

あまりの出来事におじけづいてしまい、その人に近づいて生死を確かめることさえできなかった。

身なりからするとそれはOLの様だった。年齢は20代ほど。目は開いてるが意識はなさそうだ。

俺は、つとめて冷静になろうとし、とにかく携帯で救急車に連絡を入れることにした。

電話を片手にふと女性のほうへ目をやると、なんと女性が震える手でゆっくりと自分のハンドバッグから携帯をとり出しているところだった。口からは血がボタボタ垂れている。

俺は心臓が止まるほどびっくりし、その場に硬直してしまった。

よく聞こえなかったが、携帯を耳にあて誰かと話しているようだ。「カズノリさん・・・カズノリさ・・・・」

その直後、彼女は絶命してしまった。

俺は、こみあげてくる恐怖と罪悪感で頭がどうにかなりそうだった。

その後、警察に事情を話し、俺は前方不注意のため起訴された。

だが、裁判での求刑、判決ともに驚くほど軽いものだった。

あとで弁護士の先生に聞いたことだが、あの女性は別れた元恋人に繰り返しストーカー行為をしていて、何度も警察ざたになっていたらしい。

相手の男性もとうとう被害届を出すまでエスカレートしていたとのこと。

女性のハンドバッグからは刃渡り20センチの刺身包丁も見つかったという。

あの時の電話の内容は

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『カズノリサン・・・今日クタバッテクダサイ』だったらしい。

Concrete
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