短編2
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祖父の話

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祖父は青森県の某漁港でイカ釣り漁をしています。その日も夜から沖に出てイカ釣り用の照明を点灯させました。真夜中です。

照明の光に誘われて集まってくるイカを、等間隔に釣り針の付いた糸を何本も垂らして一気に釣り上げるのです。

糸を巻き上げるリールが勢いよく回り、船上に沢山のイカが上がってきます。

順調に回り続けるリールの中で一つだけ巻き上げが極端に遅いものがありました。

故障か?と思い祖父が様子を見に近づくと、ゆっくりながらも止まることなく糸は上がってきています。

流木でも引っ掛けたか?とリールの巻き上げ速度を上げたところ、照明に照らされた海中で何やら黒いモヤモヤしたものが、

こちらに近づいてくるのが見えました。

水面下ギリギリの それ を見た瞬間、祖父は恐怖と戸惑いで軽く目眩がしたそうです。

そして、それが勢いよく船のヘリに這い上がって来たそうです!。

セーラー服を着た髪の長い女の子でした。

驚いた祖父でしたが、すぐに冷静さを取り戻し、女の子を丁寧に引き上げ、

毛布でくるみ、陸に戻って漁業組合のホール内に寝かせ、お線香をあげました。

・・・この遺体を引取りに来た警察の話では、その日の昼間に青森県から北海道へ行くフェリーで修学旅行中の女生徒が

一人飛び降りたそうです。自殺だったそうです。おそらくその子じゃないか?という話でした。

実際、身元確認の結果 その子でした。

祖父が言うには漁業をやっていると、希ですが水死体に遭遇することが何度かあったそうです。

しかし今思うと、この時の出来事が一番ゾッとしたそうです。

「海ん中から上がって来た時、目が合った。こっちを見ながら上がってきた。」

「片腕を伸ばして船に上がって来る様が、まるで生きてるように見えた。

それぐらい遺体は綺麗だった。」と言っていました。

自殺は悲しく不幸な事だと思います。

ただ、彼女は魚に食われたり腐敗することなく綺麗なまま家族の元に帰れたのが少しでも救いになる事を願ってやみません。

合掌

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