中編4
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夏の思い出

道産子です。

お盆には車で4時間位の海沿いにある祖母の家に、

お墓参りもかねて、何泊かするんです。

祖母の家から道を挟んで海が見え、すぐ裏には山があり

隣りには山の上にある神社に行くための階段があります。

夕日が差し込む時間になると、隣りにある階段を駆け上り

黄金に輝く海と真っ赤に染まる空が幻想的でした。

恐ろしい峠を越えここにつくのは夜になるので、

次の日は午前中にお墓参りに行き、晴れていれば

午後からは海水浴というがいつものパターンです。

よくお盆には海で泳がないほうがいいといいますが、

北海道の7月はまだ肌寒いし9月になればクラゲが多いので

8月のお盆くらいにしか海に入れません。

海水浴といっても、岩場の多い日本海なのでウニを捕まえその場で

割って食べるのが楽しみで泳ぐのです。

その日は晴天で、いつものスポットに漁師の家族が焼肉をやっていたので

すこし離れた場所で泳ぐ事になりました。

幸運にも、そこには漁師が監視できるような所が見当たらないので

その場で食べなくても、持ってきたクーラーボックスに

ウニやアワビを詰め込めると喜んでいました。

(密漁は犯罪です。やめましょう。。。)

8月といっても海に入ると冷えるので暖をとる為と昼飯がまだなので

焼き台に炭をいれ火をおこしていました。

先に海に潜った妹が、

海から頭だけをだし、「兄ちゃんここなんもいないわ~」と遠くから叫んでいました。

残念だな~と思いながらも、場所を移すのもメンドウなので、泳ぎながら僕も探してみようと、

シュノーケルを付けて海に入りました。

海の中は透明度が高くキレイでした。

なのでちょっと潜るだけで、

その辺りに捕るものがないとわかります。

なので、そこから少し距離があり、波が激しくあたる暗くて怖い

海岸付近のテトラポットだったらたくさんいそうな気がして

泳いで行く事にしました。

テトラの海から出てる部分は鳥の糞で汚くヌメヌメしてる。。。

テトラポットの中って結構汚れているので

そこで息継ぎはしたくないと思い、息を目一杯吸い込み、

潜ってテトラの隙間に入りました。中は思ったより暗くて狭い

波のせいで砂やゴミが舞っていて視界もわるいが、

ウニがたくさん貼りついていました。

まんまるの少しデカイウニを捕り、体を回転させてテトラの外に出ようと

体を回転させて後ろを見た瞬間

無表情の10歳位の髪の短い紫色の着物を着た

女の子がテトラの入り口を塞ぐ形で漂っていました。

いきなりだったので驚きパニックになり息も全部吐き出してしまい、

テトラの中のうす暗い海面に顔を出し息を吸いました。

たくさんいた海虫(ゴキブリみたいなやつ)が一斉にゾワ~~っと動いた事で

またパニックになりテトラに頭をぶつけそのまま海の中に。

一瞬視界が暗くなって、海水が口の中に入り苦しくなったことで意識が再生し

また海面に上がろうとした・・・

体が動かない、足を誰かにつかまれてる感触がある…

海面と僕の間にはさっきの女の子が漂っていた。

逆光なのに、顔だけははっきりと白く浮かび上がり、

まるで人形のような顔が僕の顔に近づいてくる

もう視界が真っ暗になる寸前、その女の子が僕の手をつかむと

ものすごい力でテトラの中から外に引きずり出した。

水圧で自分の足を見る形になったんだが、

自分の足に人のような形をした物が足にしがみついていた。

穴があいたボロボロの布を着ていて、頭だとわかる部分には、目と鼻は黒い穴、

口はさけていて、白い骨のようなものが見え隠れしている。

水圧で足をつかんでいた腕が離れ、何個かのパーツでバラバラになるところで

海上に押し出された。

僕は、思いっきり息を吸い、咳き込みながらあたりを見渡した。

バラバラな何かは、ぷかぷか浮いてすぐに沈んでいった。

シュノーケルをつけてると海の中を見ながら泳ぐ状態になるのですが

一瞬だけど、海の中で僕の頭からでる血が漂い、血のカーテンの隙間から紫色の着物を着た髪の短い女の子が見えました。

幸い頭の傷はたいした怪我でもなく、すぐに血は止まりましたが

手に持っていたウニの棘が、手にくい込みその痛みがすごかった

しかも真っ黒い髪の毛がものすごく絡まっていたのでその場で海になげました。

しばらくウニは食べれなくなった。

先に海に入って何個かとって食べてた妹には言えず。

ただテトラに頭ぶつけたとだけ言っておきました。

あの女の子はなんだったのか、たぶん助けてくれたんだろうか。

小さい時にみたあの夢にもでてくる人形に似てたような気もした。

それから、この女の子は僕が二十歳の時にもう一度でてきます。

Concrete
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面白いです。僕も道産子なものでついつい…ところで二十歳のころのお話しはまだ載せていませんか?非常に気になっています。また、続きを読める事を楽しみにしています。

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