短編2
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赤い部屋

赤い部屋

ある地方の出身の男が東京の大学に進学が決まり、アパートに一人暮らしする事になりました。

初めは慣れない生活にバタバタしていてただ毎日が流れていくばかりでしたが、数ヶ月経ってようやく落ち着いてきたところ、自分の部屋の隣に女性が住んでいることに気がつきました。

アルバイトでの帰りがいつも遅くなり、深夜の2時くらいに自分の部屋があるアパートの二階に階段を登っていくと、いつも決まって若い女の人とすれ違うのです。

髪が長く華奢な体型で、かなりの暗がりでも綺麗な人だと言う事が伝わってくるのですが、いつもうつむいていて顔を見た事はありません。

ある日、バイトが早く終わり、夕方に部屋に帰ってきた男は、自分の部屋の壁に穴があいていることに気づきます。その穴は例の女性の部屋の方を向いていました。

若い女の人の部屋を覗くなんてよくないとわかってはいましたが、男は我慢できずにその穴を覗いてしまいました。

しかし、見えてきたのは「真っ赤な何か」でした。

向こうの部屋の壁紙なのか、それとも赤いポスターなどで穴を塞いでいるのか。

それから男は、悪いと思いながらも毎日穴から隣の部屋を覗き込みました。

赤以外何も見えない事はわかっているのに、ふとした拍子に覗き込んでしまうのです。

帰りが夜中の2時を過ぎない限り、決まって見えてきたのは「真っ赤な何か」でした。

ところが数ヶ月経ったある日の夕方、穴を覗くと、向こう側は真っ暗でした。

気になって部屋から出てみると、ちょうど女性の部屋の鍵を開けようとしていた大家さんと会ったのです。

「どうかしたんですか?」と男が聞いてみると、大家さんは言いづらそうにその女性が亡くなったことを教えてくれました。

「病気か何かだったんじゃないかしら。私も詳しく知らないのよ」

毎日部屋を覗いていた罪悪感からか、何かいたたまれなくなった男は「でも時々見かけたときはそんな様子ありませんでしたけど、、、」と言い訳のように言ったのです。

「病気だと思っただけよ」と言った大家さんは続けてこんな事を言いました。

「だってあの娘、目玉が真っ赤だったのよね」

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