中編4
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青いテレビ

テレビを手に入れた。

いや、正確には拾ってきた。

ことの発端は、 慈善活動の名の下に… 家の近所に不法投棄されていたテレビを拾ってきたのが始まりだった

それは子供部屋に置いてあったものだろうか、戦隊もののシールが所々に貼られている、

ブラウン管の青いテレビ

地デジの波にのまれ、

時代の排泄物になってしまった記憶に新しい時代の産物。

なにも、家にテレビがなかったから拾ってきたのではない。

そこに不法投棄された粗大ゴミがあればみんな迷惑してしまうだろう?

それはあたかも、誰にも頼まれたわけでもないのに、ゴミステーションを掃除する近所のおばちゃんや、頼みもしないのに虫歯以外の治療まで進んでやってくれる歯医者のように。

俺は誰にも頼まれないのにその粗大ゴミを抱え込むことにする。

と、自分に言い聞かせ続け、3日間同じ道をテレビを横目で眺めながら通り過ぎ

4日目、誰も見ていないのを確認してから疾風迅雷のことき速さでそれを拾い去った。

そう、何度も言うが、家にテレビがなかったから拾ってきたのではない。

そのテレビはビデオも一体型になっている(テレビデオ?)やつで中にはビデオがつっかえていてとれない、

電源をいれるとテレビはあの独特の

『機械に電気が流れ、暖めてますよ』

と思わせるブゥンというくぐもった小さな音をさせながらついた。

当たり前のことなのだが

『おっ!!ついた!!』

と喜んでいる俺がいた。

ただし、地デジのことをよくわかっていなかったのでアンテナを接続すれば見れるのだろうと思っていた番組達は残念ながら見れやしない。

どこか壊れているのかな?

と、あちこちいじり回してみたもののやはり番組はなにも写らない。

残念ながら当たり前の事を知らない俺は無駄に小一時間をついやし、あきらめた

『人生とは無慈悲なものだ…』

ふいに口からもれた…

それでもあきらめきれないので詰まっているビデオの再生をこころみることにした、

するとそれは、取り出すことはできないのに再生はすんなりした。

『おほっ!!』

歓喜の声が漏れる…

と、同時にファラオ(愛犬)が吠える

『ワンワンワン…ウゥ…』

『おっ、どした?お前も嬉しいか?そうかそうか♪』

と頭をなでてやると、そっぽを向いて向かいのソファーへ行き、こちらを見据えたまま座り込んだ。

さてさて、肝心のビデオの中身は~♪

戦隊物だった。

変態物を少し期待していた俺は

『はぁ…まぁ、そうだよな…』

と肩を落とした。

その番組の録画であろうビデオは問題なく再生され続け

“○○戦隊○○レンジャー!!”

と画面の真ん中にうつし出されたその題材を知らないなぁ~と思いながらファラオの座るソファーへと向かう、

この部屋は相変わらずほこり臭く、犬臭く、男臭いので

ソファーのちょうど背面にある窓を開けようと手をかけた

するとさっきまで主題歌が流れていたテレビは

“ガッ…”

“ガッ…ガッガッ…”

っと引っかかってしまったような音がするので振り返ってみた

そこには小学生くらいの男の子がテレビの方を向いて立っていて

“ガッ…ガガッ…ダ…”

ときこえてくる

もちろん俺は硬直、

その子は俺に背を向けたまま続ける

“ガッ…ルマサ…ガガッ…”

ファラオは狂ったようにテレビに向かって吠えている

おかげで硬直していた体は動くようになる

“ンガッ…ガガッ……”

背筋が凍るこの感覚…

“コガガッ…ロン…”

ここにいちゃダメだ…はいっ撤収!!

“ダ!!!”

その言葉と同時に振り返る男の子と俺…

俺は唯一の逃げ道、である窓を開け放ち逃げ出そうとして思い出す

『あ…ここ2階じゃん…』

一瞬止まった俺の背後から

ドダダダダダダダ!!

と走ってくる音がする

4.5畳のクソ狭い一室、ものの数秒でその子が俺の背後についたことがわかる

“ガッ…オニイチャンウゴイタカガガッ…ラ…ツギハオニイチャンガオニネ…”

背中を冷たい小さな手がなでる

『ヒャイッ…』

と情けない声を上げつつ俺は部屋から飛び出していた

落ち行く中、窓を見ると物凄くファラオに吠えられている泣きそうな顔の男の子がいた

そのまま足から着地をし、見事に骨折をした俺は

呼び出した救急車に

『死なない程度の怪我なら呼ばないでください』

と嫌みをさんざん言われながら搬送され

ギブスをギチギチに固めて

ひとりで部屋に帰るのは怖すぎたので

一回り年の離れたAへと電話をしたのだが、でやしない。

そこで一緒にいるだろう彼女に

電話をかけると

『一緒にいるから、今から行くよ!』

と言ってくれた。

『あのやろう後で説教だな。』

と思いながら待っていると病院へと来てくれた2人と部屋へと帰った。

部屋に帰ると、そこには、

ファラオのマーキングによって、物凄い悪臭を放つビチョビチョなテレビがあった。

雄犬は外からきた匂いを嫌う、特に自分の縄張りにあろうものならすぐさまにおい付けをするのだ。

もうブラウン管の中までビチョビチョに入ったであろうその水分は、全ての電気系等をショートさせ、もうテレビがつくことはなかった。

もちろんその後も男の子にあうこともなかった。

きっとこの悪臭から逃げたのかファラオが怖くて近づけないのかは、わからないけど

どこかへ行ってしまったのだろう。

ただ遊びたかっただけだったんだろうな…

そう思い今もこのテレビは悪臭を放ち続けてはいるが、捨てられずにいる。

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kazuさん!すみません、見逃していました(゚o゚;
雄犬ですかね(^_-)?けっこうやっかいですよね(笑)

未だに持っています(笑)

マサヲさん、コメントありがとうございます!!

彼女は確かに電話に出たがらないような場面がありますが、その時の彼女の携帯の画面は

『着信あり』ではなく『ミュージック再生』と鳴っているときだとおもいます!!

私も犬を飼っているので、すごく共感してしまいました(笑)
でも、今も所有してるのは凄いですね♪

欲求不満さん
コメントありがとうございます!!
たのしんでいただけたならなによりです♪

面白かったです。