中編6
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アパート

これは私が引っ越した先のアパートで起きた出来事です。

そこは、三階建ての古めかしいアパートで家賃は3万。

住むならこういう場所でいいんじゃないか。そう思った。

大家「まぁ、全てのお部屋がこのような感じになってますね。」

私「あの。一番いい部屋ってありますか?」

大家「んー。一番いい部屋ですか...どちらにしても、空いている部屋が二つしかないので。でもまぁおすすめとしては、階段近くの2階のお部屋ですかね。」

私「それってもうひとつの空き部屋よりはまだマシってことなんですか?」

大家「ま、まぁ...そこまで変わらないんですがね。」

何を焦っているんだろう。少し不思議に思った。

私は大家さんにさっそく部屋の中を見せて欲しいと頼んだ。

それなのに大家さんは、リフォームがまだ終わってないと言って部屋を見せてはくれなかった。

そしてそれから4日くらいが経った。

私「あの!いいかげんにしてください!いつまで待てばリフォーム終わるんですか!?」

痺れを切らした私は大家さんに怒鳴った。

大家「え...えっと.......見て分かるようにですね、今作業してる真っ最中なんです。なのでもう少し待って...」

私「もういいです!とりあえずの感じでいいので見せて欲しいんです!しかも今お昼で休憩中っぽいし見るくらいなら大丈夫ですよね?」

大家「ですから、そういう問題ではなくてですね...」

私はもう怒りの頂点に達していた。気づくと自分は階段を上ってしまっていた。

大家さんは、下の方から焦った顔をし、こちらへ向かってきた。何かがおかしい。そう思った。

玄関の前に来て、中を見渡す。

私「な...なんだ........普通にいい部屋じゃないですかー。びっくりしましたよ。」

大家「は、はい!そうなんです。作業中だったし、危険もあるかと思って」

私「すいません。なんか...。」

大家「いいですよ!」

至って普通だった。それが印象的だった。

結局、少し気になった大家さんの対応は、私の気にしすぎだった。

やっと住める状態になったらしいアパートに、私はある程度の荷物を持っていった。

大家「すいませんね。長く引き伸ばしてしまって。」

私「いいですよ!全然!だってほらー!こんなに良いお部屋なんですもん!」

そう。この前見た時とは違って、すごく綺麗になっていた。

そうして私のアパート生活が始まった。

いつものように仕事から帰ってきて、家でご飯を作りテレビを見て寝る。

私の生活はそんな感じだ。

でもやはり物足りなく感じた。家具は少ないし、何より生活用品が少なすぎる。

そう思った私は、百均へ寄りいろいろなものを買った。

私「よし!これで完璧ー!!」

外からの見た目は悪いけど、中なら誰にも負けない!ってくらい、たくさんの生活用品を人並み揃えた。

それからだった。

全てがおかしくなり始めたのは。

寝ているとき、ふと視線を感じるようになった。

ガラス窓の扉で、向こう側が透けて見えてすごく気になってしまった。

足音が聞こえたわけでもない。それに、何か物音がしたわけでもない。

ただ、こちらを見つめている誰かの視線を感じだ。

それはほかでもない、私に向けられているものだった。

ね、眠れない。やっぱり見られてる。その時の私はどうしても気になって仕方なく、扉の方を見てしまった。

私「..........................................」

見えたものは、白い影。人の形をしている。

声はなぜか出なかった。たぶん、あまりの恐怖で声も出ないんだろう。

それは続いた。

毎日毎日うんざりするほど。

決まってその白い影は私が見つめることで、そのまま通過していった。

でもそれでわかったこと。

決して害を為すものではないんだと。

それでも私の中から恐怖は消え去ることはなかった。

最近は不眠症でストレスも溜まってしまって少しやつれてしまっていた。

私「はぁ...。」

友人「大丈夫?クマひどいよ?」

私「ちょっとね。私の住んでるアパートでここ最近不思議なことばかり起きててね。」

友人「それって霊的なアレ!?」

私「う、うん...でも害を為すものじゃなさそうだしほっといてる。」

友人「へぇ...それでこの有様なのね。あ!そうだー。私の知り合いの子なんだけど、そういうのに詳しい子なんだけど、よかったら会ってみたら?ちょっと変わってる人だけどその霊をなんとか出来るかもよ!」

私はうんと縦に頷き、その人と会うことになった。

やって来た彼女は、黒い長い髪をなびかせ、真っ直ぐにこちらを見つめてきた。

「よろしく。それでその例のアパートはどこ?」

初対面で会ってその態度はどうなんだろうと思いつつ、私はアパートの方へ足を進めた。

せっかく喫茶店の近くで待ち合わせして、少しコーヒーでも飲みながら...って考えてたのに。

玄関の鍵を開けた。とりあえず昼間は何も感じない。そう。いつも夜だけ。

私「こんな感じの部屋なんだけど...何か分かる!?」

「ちょっと静かにしてもらえる?」

うわー。なんだかすごく絡みにくい性格してる子...。

私「あ、はい...」

いろいろ見渡してから、彼女は口を開いた。

「なるほどね。原因はトイレね。」

私「トイレ!?どうして...」

「まぁ、順を追って話すわ。」

私「は、はい。」

「まず、あなたトイレの中に鏡あるじゃない。」

私「え!?それの何がいけないんですかっ!?」

「いけないってわけではないの。ただ、反射の影響ってことね。」

私「反射!?え!?え!?」

もう彼女の言ってることがちんぷんかんぷん状態だった。

「要するに、ここのトイレの蓋を開けっぱなしにしておいたから、それでそこから鏡に反射して霊の通り道を作ってしまったのね。」

私「霊の通り道...霊道でしたっけ確か。」

「そう。だけど鏡は外さなくてもいいわ。トイレの蓋だけ閉めておくように心がけることね。」

淡々としゃべりだすその子に私は圧倒され続けた。

私「あ、ありがとう。じゃあこれで不眠症解決ってことね!よかったー!」

「まだ安心しないほうがいいわ」

私「え..........どうして?」

急に表情を変え、上を見つめていた。

「ほら、あの天井のところだけ色が違うわ。張り替えてあるのね。」

私「あ!ホントだ...全くそんなの気づかなかった。」

「しかも...トイレとお風呂のこの間、何かあるわ。隙間みたいなのが。いいえ。これは隠し部屋ね。」

私「そんな...なんで」

「なんでって決まってるでしょ。そこに何かあるから。元々ここのアパート、結構改装とかしてるらしいし。怪しんでもいいくらい。」

そうだ...思い出した.............。リフォームするって言って、頑なに部屋へ入れてくれなかったっけ。

これが原因で。

「とにかく一旦出ましょ。」

私「え?」

「ここは危険。私、霊感強いから霊をたくさん呼んでしまう。このまま部屋にいればあなたに害を為すわ。」

そうして部屋を出た。

そう。

これが私のアパートで起きた話。

その後、彼女から強く念押しされアパートは別のところに住むべきと言われた。

でも私はまだ...結局あのアパートに住んでいます。

最近私おかしくなっちゃってるんですけど...

なんだか

見られてるの。

怖いの。

気持ち悪いの。

おかしいの。

でも、まだ住んでr...............................................................................

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