宮大工の話①(コピペです)

中編4
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宮大工の話①(コピペです)

俺が宮大工見習いをしてた時の話。

だいぶ仕事を覚えてきた時分、普段は誰も居ない山奥の古神社 の修繕をする仕事が入った。 だが親方や兄弟子は同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で 手が回らない。 「おめぇ、一人でやってみろや」 親方に言われ、俺は勇んで古神社に出掛けた。

そこは神社とはいえ、小屋提程度のお堂しかなく 年に数回ほど管理している麓の神社の神主さんが来て掃除する 位。 未舗装路を20km程も入り込んで、更に結構長い階段を上って 行かねばならない。 俺は兄弟子に手伝ってもらい、道具と材料を運ぶのに数回往復 する羽目になった。

そのお堂は酷く雨漏りしており、また床も腐りかけで酷い状態 だった。 予算と照らし合わせても中々難しい仕事である。 しかし俺は初めて任せられた仕事に気合入りまくりで、 まずは決められた挨拶の儀式をし、親方から預かった図面を元 に作業に掛かった。 この神社はオオカミ様の神社で、鳥居の前には狛犬ではなくオ オカミ様の燈篭が置いてある。 俺は鳥居を潜る度に両脇のオオカミ様に一礼する様にしてい た。

約一ヶ月経過し、お堂がほぼカタチになってきた。 我ながらかなり良い出来栄えで、様子を見に来た親方にも 「なかなかの仕事が出来ているな」と褒めてもらった。 それで更に気合が入り、俺は早朝から暗くなるまで必死で頑 張った。 ある日、内部の施工に夢中になりハッと気付くと夜の10時を過 ぎていて 帰るのも面倒になってしまった。腹が減ってはいるが、「まあ いいか」 と思い「オオカミ様、一晩ご厄介になります。」とお辞儀をし て お堂の隅に緩衝材で包まって寝てしまった。

どれくらい眠っただろうか。妙に明るい光に「ん...もう朝 か?」と思って目を開けると 目の前に誰か座っている。あれ?と思い身体を起こすと日の光 でも投降機の光でもなく、 大きな松明がお堂の中にあり、その炎の明るさだった。 そして、明るさに目が慣れた頃に目の前に座っていたのは艶や かな長い髪の巫女さんだった。

「○○様、日々のご普請ご苦労様です」 鈴の鳴るような澄んだ声が聞こえると共に、彼女は深々とお辞 儀をした。 「ホウエ?」俺は状況が飲み込めず間抜けな声を返しながら、お 辞儀でさらっと流れた黒髪に見惚れてしまった。

「我が主から、○○様がお堂にお泊りなのでお世話をする様に と申し付けられ、 ささやかでは有りますが酒肴をご用意して参りました」 彼女が料理と酒の載った盆を俺の前に置く。 盆の上には大盛りの飯、山菜の味噌汁、大根や芋の煮物、渓流 魚の焼き物、たっぷりの漬物。 そして徳利と杯が置いてある。

「さ、どうぞ」彼女が徳利をもち、俺に差し出す。俺は良く解 らないまま、杯を持ちお酌をしてもらった。 くっと空けると、人肌ほどの丁度良い燗酒で、甘くて濃厚な米 の味がした。 「・・・旨い!」俺が呟くと、巫女さんは「それはようございま した」と涼やかな微笑みで俺を見つめた。 途端に腹がぐうと鳴り、俺は夢中で食事をした。巫女さんは微 笑みながらタイミング良くお酌をしてくれる。

食べ終わり、巫女さんがいつの間にか用意してくれたお茶を飲 みつつ 「ご馳走様でした。ところで貴女はココの神主さんの身内の方 か何かですか?」と聞いてみた。 「ふふ、そのような物です。お気になさらず。」巫女さんは膳 を片付けながら答えてくれた。

突然俺は猛烈に眠くなってきて、もう目を開けているのも苦痛 なくらいになった。 「お疲れのようですね。どうぞ横におなり下さいませ」 巫女さんはふらつく俺の頭を両手でそっと抱え、彼女の膝の上 に乗せてくれた。 彼女の長い黒髪が俺の顔にさらっと掛かる。彼女の黒髪に似合 う髪飾りってどんなのだろう、 と柄でもない事を考え、暖かく柔らかな感触を頭に感じつつ俺 は深い眠りに落ちていった。

「おい、○○。起きろや」 親方の声で目を覚ました俺はバッと飛び起き時計を見る。 朝の7時。目の前にはニコニコした親方と神主さんが居る。 「あ、すみません親方。昨夜遅くなったんで泊まっちまいまし た」 俺は親方にどやしつけられるかとビクビクしながら謝った。 「ふ。お堂の中で一晩過ごすなんざ、おめぇもそろそろ一人前 かぁ?」 なぜか嬉しそうな親方。なんとか怒られずに済んだようだ。

「あ、神主さん、昨夜はありがとうございました。食事届けて いただいて。」 「はぁ?なんですかそれは?私は存じませんが?」 「え?だって神主さんのお身内だっていう巫女さんが酒と食事 を持ってきてくれて...」 「いやあ、あなたがお堂に泊まってるのに気付いたのは今朝で すよ。 朝、様子を見に来たらあなたの軽トラが階段の下に止まってい たので 何か有ったのかと思って親方に連絡して、一緒にお堂に来たの ですが...」 「え?そんなはずは...?」戸惑う俺を見て、親方が大笑いしな がら言った。

「大方、腹減らしながら寝ちまったからそんな夢を見たんだろ うよ。 それか、オオカミ様がおめぇの働き振りを気に入ってご馳走し てくださったかだ。 まあ後でお礼の酒でも納めれば良いんじゃねえか。」

一週間後、無事に竣工した神社を奉納する儀式も終わった。 俺は休日に一人で神社に行き、酒と銀細工の髪飾りを納めた。 帰りに鳥居を潜ろうとしたとき、お堂の前に間違いなく誰かが 居る様な 濃厚な気配を感じて振り向きそうになったが、そのまま一礼し て階段を降り始めた。

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