中編4
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貞子部屋

これはオレが実際に友達から聞いた話です。実際にあるカラオケ店なので、この店を妨害したり、変な噂を流さないようにして下さい。

これを守れるようでしたら、この先をお読み下さい。

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オレは高校の頃からバンド活動をしていて、東京に上京した後でも、こちらで新しいバンドメンバーを探していた。

その頃出会ったのが、Aだ。

Aは明るくて華奢な女性だった。そしてなおかつドラムがうまく、音楽の趣味もあい、意気投合した。

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そんなAには、霊感があるらしい。

自分では自覚していないが、夜中によく身体を引っ張られそうになったり、首をしめられる夢をよく見るらしい。

Aの母親と姉も少しそのような類いのことがわかるようで、「また何か連れてきた」などと言われるそうだ。

そんな彼女から聞いた話。

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ある日、彼女と仲良くなってカラオケに行こうという話になった。

学生でなおかつ一人暮らしのオレは遊ぶお金があまりない。

東京が地元の彼女のほうが当然土地勘はあるわけで、オレはどこか安いカラオケ屋はないか聞いてみた。

「そんなにお金ないなら、私の地元にすごい安いカラオケ店あるよ。ただ自営業っぽいとこだけど」

「いいじゃんそこ」

田舎者のオレにとって自営業のカラオケ店は珍しくないので、なにも考えずに彼女の話にのった。

しかし彼女は渋い顔をする。

「でもそのカラオケさ、変なんだよ」

「変て?」

「私の地元では有名なんだけど、突き当たりの部屋だけが室料半額なの」

え、なにそれ?と、オレは嘘のような話に興味を持った。

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「その部屋ね、貞子部屋っていうんだけど」

「え、なんで貞子?」

「その部屋の壁に等身大の貞子が描いてあるから」

聞くところによると、その部屋にだけ壁に等身大の髪の長い女の人の絵が描いてあるらしい。

ペンキのようなもので、雑に、まるで子供がクレヨンで描いたんではないかと思うくらいのものが。

しかもその部屋に入れるのは男性のみだという。

そんな嘘みたいなことがあるかと、オレは半信半疑だった。しかしAはそこのカラオケ屋に行くといつも不思議な体験をすると言った。

wallpaper:204

貞子部屋は何部屋もある中の一番突き当たりの部屋だ。

Aはその突き当たりの部屋の一部屋手前に入室していたそうだ。

友達と何気なくカラオケをして盛り上がっていると、部屋のガラスの扉に人の影が通り過ぎるのを見た。外から中が見えないようにガラスがボヤけているので、彼女も人影が一瞬通り過ぎるのを見ただけだった。

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しかし、その影はまた同じ方向に通り過ぎる。

よく考えてみると、影が行った方向はあの貞子部屋しかない。

その貞子部屋に入室している人を一度も見たことがなかったので、こんなに部屋に入るものなんだと思いながら、少しガラスのドアに視線を向けていた。

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また一人、また一人。

これで何人目だ?

いくらなんでも廊下をうろちょろしすぎじゃないか?

気が散るし迷惑だなと思いながら、ドリンクバーを取りに行くがてら廊下を覗いて見た。

あれ?

誰もいない。貞子部屋にも人がいる気配はない。

おかしい。絶対人影は貞子部屋に入って行ったはずだ。

wallpaper:371

それを友達に言うと、そんなに言うならムービーを撮ってみようという話になった。

携帯をドアのほうに向け、固定し、録画開始を押し、しばらく放置した。

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録画してからしばらくは人影もなく、録画していることも忘れてカラオケに夢中になっていた。

もう退出時間になり、友達がバイトだからといい、急いでカラオケ屋を後にした。

友達と別れ、ムービーの存在を思い出す。

あれから人影はなかったので、さほど気にせず電車でイヤフォンを通しながら再生をした。

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「…え?」

ムービーに映し出されていたのは、人影だった。

貞子部屋の方向に向かって歩く人影。

しかも何十人もだ。

流石に怖くなってきたので、早送りをしてみた。

身長、影の大きさ、かたち。

すべてが同じだった。まるで、同一人物が同じ体制で同じ方向に歩いているようだ。おかしなことに、その人物達は同じ方向に行ったっきり帰ってはこない。

それだけじゃない。歩き方がおかしい。

スーッと、人間が歩いている感じではないのだ。

Aは鳥肌がたった。

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それからそのムービーは消したが、貞子部屋の貞子はまだ携帯に保存してあると言って、オレに見せてきた。

見た瞬間鳥肌がたった。

気持ち悪い、そんなもの早く消せと言ったが、Aはおもしろいから消さないと言った。

後で聞いた話だが、再びAはそのカラオケ屋に足を運んだそうだ。

そこで、そこのカラオケ屋のオーナーに、あの貞子部屋に人影がいっぱい出入りしていて迷惑だと苦情を伝えたそうだ。

するとそのオーナーは一瞬驚いたそぶりを見せ、苦笑いをするだけだったという。

その話を聞いた後、Aとオレは違う安全なカラオケ屋に行こうと決めた。

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