長編8
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逃れられぬ…

横山氏 「はっはっは!すまん、すまん!…よっしゃ!分かった!とびきりの話、聞かせたるわ…」

僕 「また、猫ですか?」

横山氏 「ちゃうがな!ちゃあんとした、怖ぁい話やがな!」

僕 「本当かな…」

僕は前回の猫アレルギーの話(犬神投稿:隣の部屋から…参照。面倒をお掛けしますが、そちらからお読みくださいます様、お願います。)を聞いていたため、横山氏は、怖い話などする気が無いと、完全に舐めていた。

しかし、その話を聞いて僕は、今すぐにでも、彼から離れたくなるほどの恐怖に苛まれる…

…………………………

横山氏 「まず最初に言うとくわ!僕なぁ…七人人ほど憑いてんねん…」

僕はこれを聞いてよく理解出来ず、は?と彼に聞き返した。すると、彼は…

横山氏 「せやから、憑き物やがな。つぅきぃもぉの!……分からんやっちゃなぁ…」

あまりに明るく間抜けに言うので、僕は信用出来なかった…しかし、まぁ…それなりに面白い話が聞けそうだったので、そのまま、相づちをうって聞き返した。

僕 「どんな憑き物なんですか?」

すると、彼は興味を持たれたことが、余程嬉しかったのか、腕まくりをして、ずいっと身を乗り出し話し始めた………………

なんでも、7人のうち2人は、五年前に事故で亡くなられた彼の奥さんと娘さんの霊らしく、さほど怖ろしいモノでは無いらしい…が、後の5つ、コレがヤバイと、彼は話した。

……………

彼にソレが憑いたのは、彼がまだ、幼少だった頃までさかのぼる。

彼(以下ノリヒロ)と彼の妹さん(以下カヨちゃん)とご両親で、彼の母親の実家に遊びに行った時の話だ。

母親の実家には、祖母、伯父さん、伯父さんのお嫁さん、それから、ヨッちゃん(オオイ ヨシナリ)という彼より一つ年上の男の子がいる。

いつも、遊びに行った時には、このヨッちゃんと山に行ったり、近くの川に泳ぎに行ったりしていたので、今回も楽しみにしていた。

ノリヒロやカヨちゃんは都会育ちだった為、田舎での遊び方は知らなかったが、いつもヨッちゃんが田舎の遊びなどを教えてくれた…

山にカブトムシを取りに行ったり、川で魚を釣ったり、それはそれは楽しかったそうだ。

……………

祖母の家に着くと、早速、三人でワイワイ騒ぎながら「遊びに行こう!」と飛び出していく。

また、面白いことを教えてもらえる…と、ノリヒロもカヨちゃんもウキウキでヨッちゃんについて行く…

その時に教えられたのは、山で面白い場所をみつけたから、見に行こうというモノだった。

どんな場所だろうとノリヒロもカヨちゃんもドキドキだったが、いざその付近まで来ると、何やら気分が悪くなってきたそうだ…

ノリヒロ 「なぁ…ヨッちゃん、僕なぁ…なんっか、気持ち悪なってきてんけど…」

ヨッちゃん 「え?どうしたの?さっきまで元気だったじゃん…」

カヨ 「ウチも具合悪い…」

などと、二人がヨッちゃんに訴え始める…、すると、ヨッちゃんは…

ヨッちゃん 「なんだよぅ…せっかく、僕の秘密基地に案内してやろうと思たのにぃ…」

と残念そうに言う。

…………………………

…………………………

横山氏「『秘密基地』その言葉は子供にとっては、夢や!!!ロマンや!!!」

横山氏は急に僕の手をとり目をキラキラさせながら、少し興奮気味で話した。

僕 「あ…あの、分かりましたから…えっと…続きを…」

うん、と頷き横山氏は遠くを見ながら思い出す様に語り出した…

…………………………

ノリヒロ 「ええ!?秘密基地?めっちゃすごいヤン!僕ぅ行きたいわぁ!」

カヨ 「え〜…お兄ちゃん、ウチぃ…帰りたい…」

ノリヒロ 「ほなら、カヨは帰ったらよろしいやんかぁ…。

なぁ?!…ほな!ヨッちゃん!二人で行こや!」

ヨッちゃん 「そんなこと言ったら、カヨちゃん、かわいそうだよぅ…えっとぉ…だ、大丈夫だよ?お兄ちゃん達がついてるから、カヨちゃんも行こうよ…ね?」

カヨ「ぅ…うん。」

なんやかんやで、三人はその秘密基地へと向う。

獣道(ケモノ道)の様な細い道を、草木をかき分けながら、進むと…小さな洞穴(ほらあな)が見えてくる…ヨッちゃんにアレがそうかと尋ねると、彼はまんべんの笑みで頷いた。

……………狭い入口の割に、中は広々としていた。

入口付近に、白い紙の様なモノが三つ結びつけられた縄が落ちていたが、気にせずに中へと入る。洞穴は入口が狭い割に、中は広々として少し冷んやりとした空気が漂っていた。

ヨッちゃん 「ふふふ…いい感じでしょ?」

ノリヒロ 「わぁ〜!むっちゃ最っ高やん!ココやったら大人も入って来うへんし、なんかめっちゃ涼しいし…ヨッちゃん、ようこんなトコ見つけたなぁ!」

ヨッちゃん 「うん!でしょ?…あっ!そうだ!ココを僕らの本拠地にして、近くの森へ探検に行かない?」

ノリヒロ 「ええねぇ!行こぅ!」

などと話していると…カヨちゃんの様子がおかしい事に気がつく…息が荒くなり、冷や汗をビッショリかき、顔色も悪く青白くなっている。

ノリヒロ 「なんや…カヨ、まだ具合悪いんか?」

カヨちゃんは小さく頷いた。

ヨッちゃん 「だったら、カヨちゃんはココで休んでたらイイよ…僕らは、森で探検してくるからさ…」

と、カヨちゃんをそこに残し、二人は外に探検に行く…

……あそこにアケビが実ってる!だとか、クワガタ見つけた!などと、しばらく二人で楽しく遊んだ…。

……………

本拠地へ戻る…一時間くらいだったか…

中に入って行くと、カヨちゃんの姿が見えない…

ションベンにでも行ったのか…と、しばらく待ったが、いっこうに戻らない…

流石に心配になった二人は探しに行く事にした…

「カヨぉお!」「カヨちゃ〜ん!何処ぉ?!」

………………………………………

何処を探しても、大声で呼んでも、カヨちゃんは見つからない…返事すらない…

ノリヒロ 「あいつ…う…家ぃ帰ったんと違ゃうやろか…?」

ヨッちゃん 「そうなのかな…でも、カヨちゃん、まだ一年生でしょ?帰れるのかな…?」

ノリヒロ 「ああ、見えてしっかりしとるしな…とりあえず、僕らも、帰ってみよや…帰ってるかもしれないし…」

ヨッちゃん 「そうだね…居なかったら、また探しに来ようぜ…。」

と、二人は家に一度、帰る事にした…が…

家にはカヨちゃんの姿はなく、仕方なくまた山の洞穴に戻ってきた…

もう一度、あたりを捜索したがカヨちゃんの姿を見つける事は、出来なかった。

こうなると、流石に兄であるノリヒロも気がきじゃない…

ノリヒロ 「ど、どないしよぉぉ…見つかれへん…カ、カヨぉ!!?何処やぁぁ!!?…ヒック…カヨぉ!?」

ヨッちゃん 「困ったなぁ…ねえ…ノリちゃん?兎に角、また家に…帰って、おとうさん達、呼んで来ようよ…?」

あたりもすっかり暗くなりはじめていた、二人は仕方なく、家にまた戻る事に…

家に戻ると、ノリヒロの両親や伯父さん達が心配で外で待っていた…

伯父さん 「お前ら!どこ行てったんだ?馬鹿たれ!!!こんな時間まで!!」

ヨッちゃん 「お…おとうさん!大変なんだ…あ、あのね…カ…カヨちゃんが…カヨちゃんが…」

ノリヒロ母親 「え?!なに?カヨ…カ、カヨはどうしたの?あんたらと一緒だったんと違うの?!」

ノリヒロ 「オ…オカン…ヒック…カ、カヨがな…ヒック…カヨがな…ヒック…居なくなってしもて…」

二人とも、泣きながら、なんとか説明をする。

伯父さん 「なんだって!!!あの洞穴に行ったのか!?」

二人で頷く…

母親 「兄さん!あの洞穴って…まさか…」

伯父さん 「ああ、た、多分、そうだろうな……クソ!なんてことだ!」

母親が泣き崩れ、父親がそれを支えていた…

父親 「あの…その洞穴って…何のことでっしゃろか?」

伯父 「あ、うん、大昔の話やけどな、その洞穴に祟り神を閉じ込めたゆう言い伝えがある場所やねん…」

すると、騒ぎを聞きつけた、祖母が出てきた。

祖母「どうしたんだい、皆で…」

伯父 「あっ…母さん、実は……」

伯父さんは、祖母に三人で山の洞穴に行った事、洞穴に入ってしまった事、そこでカヨちゃんがいなくなった事を話した。

祖母 「ふぅ…多分だけど…カヨちゃんは助からんな…それから…この子ぉ達に祟り神さんが、憑いてるかもしれんなぁ…残念だけどなぁ。」

それを聞いていた、落ち着きを取り戻していた母親はまた、泣き崩れる…

祖母「お前……佐々木さんに電話してきなさい。」

祖母は、伯父さんに指示して、また小さく溜息をついた…

祖母 「サエコ(母親の名前)にワタル(叔父の名前)もだけんど…辛いのは分かるが、コレは仕方ない事さな…子ぉらには罪は無いんだけんね…この日ぃが来る事はワシも何と無く分かっとったんだが…本当にすまない事をしてしもた…」

なんのことだかさっぱりだが、ノリヒロもヨッちゃんも、怖ろしい事が身に起きてる事は何と無く分かっていた…

だが、「一体カヨちゃんはどこにいるのか?」それだけが彼らの一番知りたい事であった。

…………………………

佐々木さん。。。

この人は異様なファッションで家にやってきた…

白装束に赤い袴、つまり…巫女の様な格好だったと、横山氏はふり返る。

佐々木 「な!!!…なんという事か…す、すまぬ…助けたいのは山々だが…私には…」

ノリヒロとヨッちゃんを見た瞬間、直ぐに佐々木さんは、この様に述べたという…さらにこう付け加えた…

佐々木 「昔からウチに伝えられた教えで…この祟り神には、二人の供え人(そなえびと)がおってな、その供え人は5年に一度必ず、生きた人間の肉体を捧げなければならない決まりがあるとか……だから、今日、先代が塞いだ結界が破られたという事は、それをしなければ、この子らは、永くは生きられない…そうゆう事かもしれん…しかし、サエコさんとワタルさんの子ぉとは…お告げでも、二人の男子とあったが…」

と、怖ろしい事を話した…

カヨちゃんはどうなるのか、伯父が聞くと佐々木さんは、「生贄になってしもたとしか思えん…じゃなかったら二人とも今ぁ生きては、おらん…」と答えたと言う。

………………………………………

かと言ってカヨちゃんをこのままにするわけにはいかず…警察や近所の住人によって捜索は次の日の夜まで続いた…

だが、見つける事は叶わず、佐々木さんもどうしてやる事も出来ないと、帰ってしまった。

……………………………………………………

横山氏 「つぅまり、気がついたかもしれんけどな…今も僕な…生きとるやろ?…意味分かるやろか…?あっ!そうそう!僕の嫁と娘、事故ゆうのは、嘘でな…へへへ…嘘やねん…僕な?死にたぁ、無いんやわ…せやから…まあ…ね?」

僕 「はい?……………ちょ…まさか…命くれ。なんて言わないですよね…」

横山氏 「分かっとるやったら、話は早いがな…

あぁ…柏木さんも生贄になってもろたんやけどね…ははは…どう?君も生贄にならへん?!僕の背後霊になってくれたらな、10万やるわ!」

僕 「冗談じゃないっすよ!!!」

横山氏…あともう一人…命を欲しがってるおっさんがあなたのそばにも………………

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