中編3
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深夜の廊下に灯る光

今まで生きて来た人生で奇妙な体験と言えば片手で数えても指が余る程だが。

今回は、体験談を書き込みたいと思う。

私が今住んでいる国へ来た最初の年の冬の出来事だった。

長年、日本に住んでいて寒さには馴れていると言う自意識過剰な考えとは裏腹に、その年の冬はかなり寒かった。

家の扉の向こうは大きいリビングで、大きな窓の隙間から冬風が入ってくるのを防ぐために。母さんは、かなり分厚いカーテンをかけていた。

時刻は、丁度深夜を少し過ぎた頃だったような。弟はぐーすか友部屋で私のベッドの隣で寝息をたてていて、私は隣の親父たちの部屋のテレビで一昔前のアクション映画を楽しんでいた。

尿意をCMまで我慢していた私は、隣の自分と弟の部屋を経由しながらトイレとリビングとダイニングキッチンを結ぶ廊下へのドアノブにてを添えた。

軽くノブを捻りながら、何時ものようにゆるりとドアを開く。

「ギギギ...」と漆黒のリビングとダイニングキッチンの閉ざされた扉が奏でる暗闇の中で私が動かすドアが止まった

瞬間..

目先のトイレ入り口の左上に、緑色の淡い光が灯った!

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sound:19

「...」

頭の毛先から足の指先までヒンヤリと冷たい何かが稲妻の如く流れていくのを感じた。手はノブに添えたまま、後方の上げかけの右足は硬直していた。

時間の流れが重苦しくゆったり流れていく中で私の頭は、目の前の現象を裏付ける理由を必死に模索していた。

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改めてアドレナリンとは凄いと実感した。

鼓動が速まっていくのを感じながら、緑色の光を冷静に観察できた。それは、海の波に揺れるかの様にミリメートル単位の上下運動をしていた。

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「レーザーポインター」

「懐中電灯+緑のフイルム」

「後ろでイビキをかいているのは弟だ!」

「リビング経由で外側の光が反射して...」

「だけど、反射の為の鏡は?」

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一秒一秒が数十分に感じられる中で、答えられるはずの無い回答を必死に探して、目はじっと光を...そして、それは前触れもなく→へ、最初は少し下がりながら横にしたS字を書きながらトイレのドアの上を通り、本棚の上に飾ってあった芸者の美しい日本人形のガラス張りのケースの上で消えた。

鼓動とともに、多くの疑問を残しながら消えたそれに答えを追及する為に私は、一歩後ろへ下がり、そっとドアを閉めて考えた。

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「同じ状況下で同じ動きでドアを開ければ何らかの仕掛けであった場合、それは先程の緑の光を灯してくれるだろう。」

私は、そっとドアノブを引いて

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右足を半分上げながら、

体の重心を左足に少し乗せながら、

例の左端の天井を見た。

「...」

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何も無かった。

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鼓動は、これでもか!と言わんばかりになっていて。直ぐに、寝ぼけている親父達に震える声と言葉に成らない言葉で先程の状況を伝えた。

何故か、光に対しての恐怖は少なく。その摩訶不思議で物理的に説明不可能な状況が怖かったので、その後はトイレで用を足してそのまま眠ってしまいました。

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