中編5
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トンネル

これも相当前の話です。

先輩が僕を含め、4人で心霊ツアーなるものを毎週末に行っていた時の話です。

暇つぶしにでも、読んでください。

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ジャンケンポン!

また、始まった…負ければ運転だ。

何回か繰り返し何とか運転は逃れた。

今日はK県のトンネルまで行くらしい。

ここの所、めぼしい成果があがっていないと意味不明の言葉を発する先輩の一言で、とあるトンネルに向かうことになった。

今回のテーマは「写真撮影をして成果をあげよう!」 だそうだ。

成果はあがらない方がいいような気がするが…

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遠足気分で車は走りだした。

先輩は助手席で、僕は運転席の真後ろ、同僚のAが僕の隣で、後輩のBが運転。

運転しなくて済むなら、どこにでもって感じでいた。

Aと後部座席で缶コーヒーを飲みながら、明日の早番どうするか、なんて話をしていた。

仕事終わりの出発だから、時間は深夜の12時過ぎだ。

9時間後には仕事なんて信じられない。

早く帰りたい気持ちとは裏腹に、車はトンネルを目指して進んでいる。

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深夜のドライブはやはりスムーズだった。

2時間もしないうちに、目的地へ到着した。

トンネルは有名なトンネルで、車は1台通過できる程度。

トンネル手前に車は停車した。

「やばい雰囲気だな。いい結果がでそうだ。」と先輩。

誰も反応しなかった。

と、いうか、できなかった。

あきらかにやばい。

真っ暗なのはもちろんなのだが、あまり高くないトンネルの上には墓場があった。

月明りに照らされて、異様な雰囲気をかもしだしている。

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シーンとした沈黙を先輩が破った。

「よし、記念撮影しよう。」

気でも触れたかと、全員思ったに違いない。

動けない皆を先輩は気にする様子もなく、トンネルに向かい、パシャッと一枚。

真っ暗なトンネルがフラッシュにより、一瞬明るくなる。

「おい、皆で行くぞ。」

ここまで男らしいと、一緒にいれば大丈夫な気がしてくる。

三人で先輩のあとを急いで着いて行く。

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「あっ、懐中電灯忘れた。」不意に先輩がもらす。

同僚が「持ってきます。」といい、車に向かおうとしたが、先輩の男らしい一言が。

「車にもない。ま、フラッシュたきながら行けば大丈夫だろ。」

そんなには長くないトンネルと聞いてはいるが、恐怖はどんどん込み上げてくる。

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先輩はこのトンネルで起こると言われている現象を話しながら、時折写真撮影をして進む。

どうやら車でトンネルに入り、エンジンを止めて待っていると、後部座席に誰かが乗ってくるらしい。

実際に見るといないのだけど、バックミラーには写るとか。

先輩の理論だと、車じゃないから大丈夫。ってことみたいで。

懐中電灯もなしに一行は進む。

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だんだんと目も慣れはじめ、うっすらだがトンネル内部が分かる。

おそらく、車道部分のみで歩道はない。

前述通り、車は一台分。

こんなとこに車のエンジンをきって、停車させてたら非常に危険だ。

と言うことは、噂話に過ぎないと結論付けてもいい気がした。

やはりたいした長さもなくトンネルを抜けた。

もちろん変な現象はない。

トンネルを抜ける頃には、みんな慣れてきたのか、何もないなとか、怖くないなどと言いはじめていた。

すると先輩が、戻りは1人で戻る。

順番に来いよと言い残し、スタスタとトンネルを引き返して行った。

先輩の姿が見えなくなって、少し動揺したが、順番を決めることにした。

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僕から始まり、後輩、同僚の順になった。

意を決してトンネルに。

1人でのトンネル内部は真っ暗というだけで怖い。

さっきは気が付かなかったが、時折ピチャッと上から水が落ちてくる。

静寂を切り裂くような音だ。

早足になる。

出口が見え、先輩の姿も確認できた。

パシャッ!眩しい光が目をチカチカさせる。

笑いながら先輩が写真を撮っていた。

「大丈夫か?記念撮影だ。」

「勘弁してくださいよ…」

「ま、記念だ。次は誰だ?」

「後輩が来ますよ。」

「そうか。」

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しばらくすると後輩も無事に帰還。

記念撮影が一番怖かったと。

先輩は楽しそうに笑っている。

あとは、最後の同僚。

もう少しあとに帰還するだろうと思っていたが、結構早く戻ってきている様子。

足音が走ってる感じで、大きく聞こえる。

「あいつ、怖くなったな。」と言いながら、カメラを構える。

しかし…

パシャッ!と同時に、「走れ!」と先輩が叫ぶ。

同僚は自分たちに見向きもせずに、とにかく全力で車に向って走り抜ける。

自分と後輩も訳わからず怖くなり、車に向って走りだした。

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珍しく先輩が運転席に乗り込み、自分たちも助手席、後部座席と飛び乗った。

エンジンをかけライトを付けて、急発進。

このまま進めばトンネルだ。

どうするんだと瞬時に思ったが、強引にハンドルをきり、一回の切り返しで方向転換。

間違いなくアクセル全開でトンネルを離れて行く。

「絶対に後ろ見るな!」

先輩はサイドミラーを電動でたたみ、バックミラーは見えないように角度をかえた。

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だいぶ離れた所でサイドミラーとバックミラーを元に戻した。

「何が見えたんですか⁉」後輩が興奮しながら大きな声をあげる。

先輩「人、じゃない人」

同僚「まじで勘弁、後ろから追いかけられた。ちびった…」

自分「まじか…」

後輩「呪われないっすよね⁉」

先輩「知らん。写真の現象が最優先。」

色々な会話が飛び交ったが、先輩以外は恐怖心しかなく、疲れきった様子だった。

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翌日は疲れ全開で仕事をした。

その次の日に先輩は招集をかけた。

仕事終りの集まりだが、今回は居酒屋。

酒を飲みながら、例の写真があがったと、あの恐怖も忘れ、ワクワクしていた。

先輩「写真できたぞ。しかしな、現象失敗だと写真屋さんは言ってた。俺もまだ見てない。

よし、だすぞ。」

最初に撮っていた、トンネルの写真が何枚かある。

トンネル内部の写真は一枚もきちんと撮れていない。

そして、自分が写っている写真。

後輩が写っている写真。

何も変な様子はない。

最後は問題の同僚の写真。

とにかく怖い顔で走る同僚。

その写真を見ると…

同僚の何メートルか後ろに、あきらかに人が写っている。

顔ははっきりしないが、歩いている様な感じで同僚のあとに続いている。

これか…とゴクリと喉が鳴った。

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先輩「やばいのはこれじゃないよ。こっち。」と指をさした。

そこには、同僚と並走するように少し離れて、体はトンネル側を向いているが、顔だけこっちを向いている、何者かが写っていた。

ものすごく怖い顔でこっちを見ている…

さらに、トンネルの上部には、顔、顔、顔…

「な、なんだ、これは…」

こんな所に行ってしまったのかと、ものすごく後悔をした。

先輩は一言。

写真とネガは知り合いの寺に持ってく。

どうしても欲しい奴はいるか?と…

欲しいわけない。

誰も酔わずに終った居酒屋だった。

写真は

やめましょう…

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