ラスト ワン ドロップ(中編)

中編5
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ラスト ワン ドロップ(中編)

music:1

一方Aは走り続けていた

『出口が俺を呼んでいるっ♪』

その道を何往復しているのか彼はカウントなど、しやしない。

少し湿り気のある空気を全身で感じながら走る走る

曲がり角にいる子供のオブジェとハイタッチをしたり頭をペチンッと叩いたり

ひとしきり、走り続け、そしてさすかに疲れたA

そりゃあ、10分も全力で走っていれば疲れる、

だが、それなりに進んだ気もする

広場のようなところにでてAは、

確実に中間くらいだろうと認識していた

勘に過ぎないが、正解に違いない。

そこはオブジェの数も多く、なんだか気色悪いのでそのまま素通りすることにした

あちらこちらに、

何かを食べている、どぶねずみのようなねずみを見かけて、早足に通りすぎる。

広場を抜けて最初の角をちょうど曲がってすぐに

『キャーーーー!!』

さっきの広場の方から悲鳴が聞こえる!!

『彼女ちゃん!?』

ビクッと飛びはねながら振り返り角を曲がり広場へ戻ろうとする

するとそこには、小さな女の子と男の子がうずくまっている。

曲がってすぐに視界に入ったので硬直しながら彼らを見る…

『今の悲鳴は君たち…?大丈夫かい…??』

訪ねてみたものの日本語なんて通じないか…と冷静に頭が落ち着きを取り戻していく

女の子は声をかけられていることに、気がついたのか、顔をあげる

シルバーにちかいロングの髪に

雪のような白い肌

そして印象的だったのが

Aを見上げるその子の瞳が白かった事だ

ドイツの子は目の白い子もいるんだ…と、学のなさをフルに発揮していると

その子はAに向かって、

親指をたてたまま右手をつきだし

それを左手で自分の胸へと押し戻す…

そんな動作を続けている

『あ~えっとグー♪グー♪迷子になっちゃったのかな??お兄さんが出口まで一緒にいってあげるよ♪』

そう言いながら左手をさしのべるとその子はA の手を握る

男の子は座り込んだままで歩こうとしないので怪我でもしたのかとおんぶをしてあげることにしたそうだ…

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悲鳴はちかかった…

『クソッどこだ!?彼女!!』

考えもなしに走り回っていると声の聞こえた方とは真逆へと、

どんどん進んでしまう…

『ちきしょう!!俺はこっちにいきたいんだよ!!』

そう叫びながら生け垣におもいっきり突っ込んでいった

枝が全身に絡まり

太い幹が皮膚を傷つける

でも、今そんなのは気にしてられない

彼女に何かあったんだ、早くいかなくては…

生け垣に三つの穴を開け

四つ目を顔が通過した瞬間

『キャッ!!』

という短い悲鳴と、

『パンッ!!』

という音

強烈に熱をもっていく右ほほ…

『なに!?俺、急に出てきたらビックリするだろ!!』

ビックリしたのはこっちだ、そしてなぜビンタをされたのだ!?

『まず、謝れ、そして何があったのか説明しろ。』

『それは後だ、まずはあいつを仕留める!』

そういうとNからSへとシフトチェンジした彼女は、

生け垣の枝を何本か折り

引きちぎると、生け垣の隙間へと逃げていく黒い影にそれを投げつけている…

フリフリワンピはまたあの日のように泥やら葉っぱだらけになっている

『もういないぞ。』

と頭をつかみこっちへと向かせる、

…思いの外、近くてドキドキする

『ちがう!あいつが急に出てきて、ビックリさせるから…』

なにがちがうのかわからないが…

彼女の言い分を聞くと

地図を頼りに、丁度中心にあたるこの広場まで来たから、すこし休もうと思い、座ってオブジェやら空やらを眺めていたらなにかに足を触られたらしい…

ビックリした彼女は飛び上がりながら足元を見ると数匹のでかいネズミが走り回っていたらしいとのこと…

『こんなのだぞ!?こんなの!!?』

両手をいっぱいに広げて見せる彼女…

そんなのがいたらライオンだって食われちまうよ…

と突っ込みながら辺りを見回すと、

まるでメリーゴーランドのように広場の中心に向かって子供ちのオブジェがいくつもあり、

どれも満面の笑みだ

そしてその中心にはオレンジと黄色、緑、水色といった派手な色であしらわれた服をまとったオブジェが1つある

それは片足を上げ、楽しそうに笛を吹いている男の石像だった

服は雨や日差しにさらされたせいか、ぼろぼろになっているが

彼を中心に、一様に楽しそうに、また恍惚とでもいようか、

不思議な表情をした子供たちはみんな彼を見ている…

『なんか気味わりいな…』

『うん、どのオブジェも目が笑ってないからだろうね…』

子供たちのオブジェはどれも精気のないいかにも作り笑顔のような表情をしているからだろうか…

この広場はとても居心地の悪い空気間に満たされているのをひしひしと感じ始めた

『でも、あの笛吹男だけはやたらと楽しげな顔で作られてるわね…』

そういって彼女は、早くAくんとも合流しなきゃ…もう行こう。

と地図を広げ、視界をそれへと落とす

『今…ここだからぁ…ん?いや…ん~?』

ボソボソと言いながら、次の道を探しているようだ…

『よくそれでここまでこれたな』

と、ちゃかしつつ回りを見渡していると、どこからともなくオルゴールのような音色が聞こえる…

そして笛吹男と目があった…

あうはずのない目があった…

俺たちは笛吹男を正面からではなく、

横から眺めていたのだ。

頭だけがこちらを向いている…

そして今度はゆっくりと首からしたの体がこちらへ向き

笛の音色が流れ始めた

それにあわせて子供たちの銅像もくるくる回りながら歌い始める

Ich komme zu holen,

ich komme dich abholen.(hihihihi)

Ich komme auf die Zahlung

fr die Rechnung, die Stadt der Stadt

Hamerun Hamerun kommen zu

holen holen. Kinder Hamerun'm

werde zum Mrchenland gehen,

werde ich gehen.(hahahaha)

Stadt Hamerun wird hier unterbrochen

子供たちのコーラス

オルゴールに

笛吹男の笛の音

ところどころに入る甲高い笑い声

それぞれが重なりあって逆再生させた音楽のように気持ちの悪い不協和音を鳴り響かせている

さっきまで言葉を失っていた俺たちはどこでもいい、ここを離れようと走り出した

最初の曲がり角…広場が見える最後の瞬間横目に入った笛吹男は踊っているように見えた…

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面白いですね〜

Aはどうなるのか続きが気になる~
このシリーズゆっくりでいいので続けて下さい。
応援してます。