中編3
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塞ぐべきではない道。

私の地元には、昔から神様の通り道という道があり、その通り道には絶対に家を建てるなと言い伝われています。

その道は、特別な道とか、隔離されている道などでは決してなく、家のすぐ横だったり、ごく普通に私達がいつも歩いている結構身近な道なのです。

その道は、山から果てしなくまっすぐに続いており、夜は絶対にその道を通るな…通れば神隠しにあい、二度と帰れなくなる…連れて行かれると言われておりました。

現に、こちらでは現代でも神隠しがあるのです。

どうしても夜に歩かなければいけない時は、変なものにあっても、目をつぶり、両足をそろえ、絶対に股の下を通らせてはいけない…と、幼い頃から教えられてきました。

(以前、私が投稿した「叫ぶばあちゃん」で、ばあちゃんが「今日は山から神様が降りてくる日だよ~。」と言ってましたが、その神様だと思われます。)

こちらでは、神様や悪いものはまっすぐにしか進まないと言われており、その道を何かでふさいでしまうと悪いものなら尚更、温厚な神様でも必ずそのものに災いをもたらすと言われているのです。

私は祖母や母に幼い頃からずっと教えられてきたので、その道を通るときは用心をし、教えを守ってきました。

しかし、最近では自然が豊かな田舎という事だけが取り柄な地元も観光客が年々増え、海がきれいという事でリゾート地などという名がつけられたり、都会からわざわざこちらへ引っ越してくる方も結構いらっしゃるのです。

当然、都会から来られた方がこの地元の言い伝えなどを知ってるはずもなく、何も知らない故にその通り道に家を建て、完璧に建て終えてからこの地方へ来られる方がほとんどなのです。

建て終えてから元々この道を知ってる近所の老人達が、

「この道は神さんが通る道だ。だから、出て行きなさい。」

などと言っても誰が信じてくれるでしょうか?

不動産の方も前もって伝えても、それは迷信だとほとんどの方は聞く耳を持たないらしいです。

そして、その通り道に家を建てられた方々は、、

半年後には引っ越しをする方々がほとんどですが、それでも長く住もうと決意された方は、

一年後には不慮の事故に。

三年後には、家の中に大きな黒い影が見える、大きな目がずっと見てる…と言い、気が狂い、悲惨な死に方をされ。

長く住めば住むほど、そこで悪いことがおこるのです。

近所に住むたいていの老人は、まるでこうなる事がわかっていたかのように言うのです。

「だから、言ったろうに。」

そして、そういった事がある度に一人の老人は、山に手を合わせながら口癖のように言うのです。

「若い者が増えるのは嬉しい。だが、ここでの言い伝えは守らないかん。いや、単なる言い伝えじゃない。祖先からの教えなんじゃ。

神さんは決して善者でも悪者でもない。利用するものは利用して、言うことを聞かないものには容赦しない。

ただ、神さんにとったら石を蹴り飛ばすように邪魔なものをどかせただけだ。」

その事をつぶやく横顔が、悲しくも見え、非常に冷酷にも見え、なんだか恐ろしく感じました。

その事を呟くと、老人はいつもの笑顔になり、

「なぁ~に、怖がることはない。

言い伝えを守り、自然を大切にしいつもニコニコしてたらなんも悪いことはない。

ただな…

この言い伝えが風化されていくのが一番怖い。

わしらが死んだら誰が神さんの通り道を後世に伝えていくだろうかね?」

………………………………………

余談ですが、

どうやらこの神様の通り道は、この地元だけではないようなんです。

どこから繋がり、どこまで続いているのか、それは、誰にも分かりません。

あなたの住む場所で災難が続くような事があれば、そこはもしかしたら、

塞ぐべきではない道…なのかもしれません。

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霊道とは違うの?