短編2
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ちいちゃん。

結婚して3年。旦那が地方に単身赴任することになった。私は姑と2人、味気ない共同生活を送ることになったのだが…。

姑はお世辞にも「いい人」ではない。むしろ私のことを毛嫌いしており、旦那がいる時はまだ良かったが、2人になると嫌がらせを繰り返すようになった。

私が作った食事に箸をつけないなんていつものこと。私のアクセサリーをゴミ箱に捨てたり、財布からお金を盗んだりと、稚拙な嫌がらせをしてきた。

その程度ならまだ許せたものの…。ある日、姑の行動は私の逆鱗に触れた。

妊娠中の私を理由もなく突き飛ばしたのだ。結果、流産。その報いか、姑も階段から派手に落ち、右足を骨折してしまった。

しばらく入院し、やがて退院して家に帰ってきたが、年が年なので、1ヶ月は安静に寝たきりの生活をさせるよう、医師から言いつかたていた。

かなり献身的に姑を介護したと思う。いや、介護ではなく「育児」か。

姑のことは「ちいちゃん」と呼んだ。これは生まれてくるはずだった我が子に付けようと思っていた名前だ。

食事は人肌に温めたミルクを与えた。「ちいちゃん、ミルクよ。美味しいよ」そう声を掛けながら哺乳瓶で飲ませた。

食事のあとはお昼寝だ。「ちいちゃん、ねんねよ。おやすみ」姑の傍らに添い寝して、トントンしてあげた。

姑は本気で怖がっていた。私が狂ったものだと思ったらしい。

1ヶ月による「育児」のため、姑はいよいよボケてしまい、入院を余儀無くされた。

お見舞い行ってあげるからね。

ちいちゃん。

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