短編1
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黙っとき。

山に囲まれた田舎町で育った私の体験談。

子どもの頃の私といえば、「この世ならざるもの」が見える体質だった。

家の中にいると、見知らぬ女が壁をすり抜けて入ってきたり、どこからともなく大勢の人間が話している声が聞こえてきたり…亡くなった祖父が枕元に立っていたこともあった。

周囲の大人に話しても大抵は本気にしてくれないものだが、同居していた祖母だけは信じてくれた。

「子どもはねぇ、神さんに近い距離におるからね。不思議なものが見えたりするもんなんよ。でもなぁ、ちょっと心配やねぇ」

祖母は私を近くの神社に連れて行ってくれた。お参りを済ませ、祖母に手を引かれながら帰路につく。

「あれ…?」

祖母の肩口のところに男の人の頭が乗っかっている。目を吊り上げ、歯を食い縛りながら祖母をギロリと睨みつけているではないか。

私はびっくりして祖母を呼んだ。祖母はニコニコしながら私を見る。

「何?どうかしたんか?」

「ばあちゃん、ばあちゃん。ばあちゃんの肩のとこ…怖い人おるよ。怒った顔してる。あれ誰?」

すると祖母の顔が引きつった。急に難しい表情を浮かべると、低い声でボソリと呟く。

「…黙っとき」

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怖女様。コメントありがとうございます。

おばあさん…何をしたのでしょうね。
彼女の過去に何かあったのでしょうか…。

おばあちゃん何したん。。。