短編1
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鈴木さんでしょ?

ある日、携帯に着信があった。知らない番号だったが、とりあえず出てみると「鈴木さん?鈴木さんでしょ?」と、すっごく嬉しそうに言われた。声から察するに中年のおばさんのようだ。

言っておくが、俺の苗字は鈴木ではない。言うまでもないが、名前も鈴木ではない。要は間違い電話。

俺は自身が鈴木じゃないと言ったんだが、おばさんは尚も食い下がってくる。

「またまたぁ。そんなこと言っちゃってぇ。鈴木さんでしょ?ふざけないでよ」

いや、ふざけてんのはそっちだろ。

番号確認してから掛けやがれ。

心の中では散々悪態をつきつつ。口調は至って穏やかに「俺は鈴木さんではありませんよ」と反論すること10分。

おばさんが納得しないことに苛々していた俺は、つい口調を荒げてしまった。

「鈴木じゃねぇっつってんだろ!」

するとおばさんの口調がガラリと一変。まるで男みたいな低い声になったかと思うと、ボソリと呟く。

「知ってるよ。だって加藤だもんね」

それだけ言って電話は切れた。

因みに俺の苗字は「加藤」。

Concrete
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774様。コメントありがとうございます。

電話を掛けてきたのだから、名前くらい最初から名乗って頂きたいですよね。

怪談話も怪異譚も、最後にとびきりのオチがあるものって怖いですね。

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まつうら様。コメントありがとうございます。

さて、誰なのでしょう(笑)。
もしかしたら、知り合いの悪戯だったりとかいうオチかもしれませんね。

最も、それなら怪談話になりませんが(笑)。

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最初から言ったら怪談にならないじゃないか

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薄紅様。コメントありがとうございます。

電話に纏わる怪談話は多くありますね。「メリーさんの電話」とか。

自分のプライベートを見ず知らずの他人に知られているのは、いい気分はしませんよね。

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知ってろんなら最初からそう言えよ(-_-;)
でも逆に誰か判らない人に知られてるのもコワイ

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