短編1
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そっか

私が中学校の教師という職業について、どうしても忘れることのできない生徒がいます。

二年生の担任だったとき、隣りのクラスの女子生徒が自殺しました。

首吊り自殺だったそうです。遺書も無く、イジメに遭っていたという話もありませんでした。

全校集会が開かれ、自殺のこと、人が死ぬこと、命の大切さなど道徳的な話がされました。

その日の放課後のことです。

私のクラスの女子生徒が職員室に来ました。

その子は内向的で友達の少ない生徒でしたが、真面目ないい生徒でした。

…先生、呪いで人を殺したら罪になるの?

最初は何を言われたのか理解できず、聞き返しました。

…誰かを呪って、ホントに死んじゃったら、犯罪なの?悪いことなの?

そう言った彼女はすでに泣いていました。

ああ、この子はきっと。そんなことをしてしまったんだな。

今でも、そのときの私の答えは模範的だったと思います。

…そうだね。法律では罰せられないけれど、とても悪いことだね。もしそんなことしたら、 一生罪悪感に苦しめられるんだろうね。

そう答えました。

そのときのその生徒の顔が、今でも忘れられません。

「そっか」

安心したような、もうどうでもいいような。

その表情が忘れられません。

私が話を続けるより先に、彼女は職員室から出て行きました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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