長編13
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憑き纏う者

新司は最近携帯を○-Phoneに変えてからすっかり写真を撮ることにハマってしまった。

特に写真にこだわりがある訳でもなかったのだが、面白い物を見つけてはパシャパシャしているうちに「もっと色んな物を撮りたい」と思うようになった。

元々ちょっとした収集癖があったせいかもしれない。

携帯の画像フォルダに、撮影した自慢のコレクションが増えていくのが純粋に楽しかったのだ。

自分が面白いと感じた物はとにかくなんでも撮影した。

綺麗な景色や生き物、ちょっとした笑える光景、気味の悪い場所、いわゆるグロ系のもの、etc~。

時には「勝手に撮ってんじゃない!」と、いかにもなカツラのオッサンに怒鳴られもしたが新司はあまり気にしなかった。

「どうせ赤の他人だし。今後会う事もないだろうから怒られても別に全然ダメージないわw」

大学に入ってからも遊んでばかりいた新司はまさに「今時の若者」といった感じの軽い男だった。

そんな性格が災いし、彼は今後の人生をも狂わされるほどの出来事に会ってしまう。

 

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それは空がどんよりとしており、今にも降り出してきそうな雲に覆われた朝の事だった。

大学に向かう為いつものように駅の階段を駆け下りていると、何やら下の方に人だかりが見えた。

何事かと周りの野次馬に釣られて様子を伺うとそこには、倒れている男性とその周りで何かしている男達が見えた。

仰向けで倒れている細めの体のサラリーマン風の男性に、これまたサラリーマン風の男が「大丈夫ですか!聞こえますか?」と必死に話しかけている。

そばには新司と同じ位の年の男性、恐らく学生であろう男が何処かに電話をかけていた。

すぐに新司はピンときた。

(ははーん、これはあそこのオッサンが何かの理由で急に倒れたって事だな。)

救助を試みている男性が顔を上げて大声で叫んだ。

「すいませんっ!どなたかAEDを持ってきてもらえませんかっ!」

周りがザワつきだし数名の人が何処かに向かって走り出していった。

ドラマで何回か見た事のあるようなシーンに新司は興奮していた。

作り物と現実ではこんなに緊迫感が違うのかと。

思わず携帯を取り出しカメラアプリを起動して即座に構えていた。

カシャッ!

瞬時に周りいた野次馬の目が新司に集まる。

思わず手元の携帯を背中側に隠した。

「おいお前!何やってんだっ!」

そばにいた50代位のおっさんがこちらに向かって怒鳴りだした。

突き刺さる幾つもの攻撃的な視線に負け、急いでその場を離れた。

(うるせぇなぁ、別に迷惑掛けてる訳じゃないからいいだろうが・・・)

幸い追ってくる者はおらず、ホームの端まで来ると手に持っていた携帯で写真を確認した。

「はっ!?なんだこれ・・・・・」

その画像には一つだけおかしな所があった。

駅のホームに倒れていた細めでサラリーマン風の男性。

それを救助している割と体格のいいサラリーマン。

携帯を握り締めている電話していた学生。

そして倒れている男と同じ顔をした細めの男性・・・・。

そいつの体は薄らと白く光っており、明らかに周りの男達と違い異彩を放っていた。

 

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「これ絶対この人の幽霊だろ」

その日の昼休み、新司は大学の学食で友人の達也に例の写真を見せていた。

「やっぱそう思う?」

「そら顔も服装もそっくりだし・・・・。ってかどう見ても生きてる人間じゃないし状況から見てそう思うのが普通だろ」

そうなのだ。

これはどう見てもこの倒れている男性の霊としか思えない。

我ながら凄い物を撮ってしまったと喜びに震えた。

「ってかさ、この人絶対お前の事恨んでるだろ」

「はっ?」

達也の一言に思わず変な声が出た。

「だってよ、自分が生死を彷徨ってる時に呑気に写真撮ってる野郎がいたらそら怒るだろ」

「まぁ、そうかもな・・・・」

「それにこいつお前の事睨んでね?」

「えっ?」

達也が渡した携帯をこちらに向けて確認を促す。

言われてみれば確かにカメラ目線でこちらをじっと見ている。

「もしかしてお前その人に「憑かれ」てんじゃねーか?w」

「おい、いい加減な事言うなよ・・・・」

口ではそう言ったものの内心恨まれていてもおかしくないなと思った。

だとしたらまさか今も俺の後ろについてきているんじゃ・・・・

カシャッ!

突然目の前でシャッター音がした。

達也が携帯を新司に向けて構えていた。

「おい!勝手に何してんだよ!」

「おいおい、俺は確認してやろうと思っただけだぜ?そいつがお前をストーキングしてないかどうかをよぉ~」

手を伸ばして携帯を奪い返そうとしたが、すんなりと躱された。

テーブルの対面にいたので後ろに引かれると簡単には届かない。

あとで殴ってやろうかと拳を振るわせていた時、達也の様子がおかしい事に気づいた。

「おい・・・・これ、洒落になんねぇぞ・・・・」

すぐに新司に向かって携帯を放り投げる。

上手くキャッチ出来ずにテーブルの上に落としてしまった時に新司は見てしまった。

携帯には何か考え事をしてうつむく新司と、その後ろにあった大きめの観葉植物の後ろで体を半分程隠しながら新司を見つめる「あいつ」の姿があった。

 

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その後、新司はすぐにお祓いをする事にした。

今はまだ大きな事件は起こっていないが、このままではきっと危険な目に会うに違いないと思ったからだ。

ネットで調べて近くにあった神社に赴き、5千円支払って厄除けをしてもらった。

ちゃんとした「除霊」じゃなくても大丈夫か心配だったが、終わってすぐ神社で撮った写真にはあいつは写らなかった。

意外にあっさりと終わった事に気をよくし、そのまますっかり霊の事なんて頭から抜け出してしまった。

しかし、まだ悪夢は始まったばかりだったのだ。

数日後、何気なく自画撮りした際に携帯を見て新司は腰が抜けそうになった。

後ろの電柱の影からこちらを見ている姿がはっきりと写っていた。

(嘘だろっ!祓ったはずじゃないのかよっ!)

それは長い戦いの始まりだった。

お祓いや除霊が出来る人を探しては事情を説明し、何度も何度も祓ってもらった。

しかしどうやってもやせ細った顔の男が写真からいなくなる事はなかった。

時には「申し訳ないけど・・・何かがあなたに取り憑いているようには見えないの」とかふざけた事を言う奴まで現れた。

そんなんで自称霊能力者なんだから呆れてものも言えない。

だがそれでも実際にあって見てもらわないと本物かどうかなんて解らないのだ。

いつしか新司は大学もろくに行かずに方々を渡り歩き、除霊出来る人物を探し回っていた。

そんな時、達也から久しぶりのメールが届いた。

なんでも「知り合いのつてで、そういうのにやたら詳しい婆さんを紹介してもらえたんだけどどうする?」との事だった。

この際選り好みなんてしてられない。

「タダ」というのが「無」能力者っぽい気もしたが、とりあえず行くだけ行ってみて会う事にした。

 

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その婆さんはかなりのド田舎に住んでいた。

駅なんて昼間なのに人っ子一人いないし周りを見回しても人が住んでそうな家が全く見当たらない。

なんだか怪しい電車に間違えて乗ってタイムスリップしてしまった気分だった。

送ってもらった目的地までの地図の画像を頼りにひたすら歩く。

と言っても婆さんの家まではほぼ真っ直ぐ進むだけだったので迷いようがない。

1時間ほど歩いてくたくたになった時にそれらしき家が見えてきた。

「家の前の変わったカカシが目印だったか・・・」

確かに変わっていた。

遠目に見ればよくある昔話に出てきそうな普通のカカシだが、目の辺りにドデカい釘が刺してある。

両手にあたる部分からは何かの動物の骨らしきものが糸で大量にぶら下がっていた。

十中八九ここで間違いないだろう。

新司は家の玄関まで行くとガンガンとノックしてから「御免くださいー!」と大きな声で挨拶した。

誰かが出てきそうな気配がなかったので、目の前の家をじっくりと見回した。

玄関のカカシ以外は割と普通の田舎の家と言った感じだった。

木造1軒家で庭が広く、すぐそこには縁側と障子が見える。

ここで昼寝したら気持ちよさそうだな。

そんな事を考えているとガラガラと大きな音と共に建付の悪そうな扉を開けて一人の婆さんが出てきた。

「あっ」

『いちいち玄関を叩くんじゃないよ!ここにインターホンがあるだろう!』

見ると婆さんが指差した場所に葉っぱに隠れたスイッチがあった。

(・・・・・見えねぇだろそれじゃ)

『・・・・・話は聞いてるよ。早くお入り』

なんとも言えぬ空気のまま新司は婆さんの後を追って玄関の敷居をまたいだ。

 

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見た感じ60歳位といったところだろうか?

白髪であまり手入れをしているとは思えないようなボサボサの髪が目の前で揺れていた。

来ている物も、「洋服」というより「薄汚れた布」と言った方がしっくりくるような物を身に纏っている。

夜に山の中で見かけたらまず山姥(やまんば)と間違われるだろう姿だ。

(まぁある意味「それ」(霊能力者)っぽい感じではあるか)

新司がこの上なく失礼な感想を心の中で呟いている間に、婆さんは玄関から入ってすぐ左の部屋へと入っていった。

『そこに座んな』

通された部屋を見て新司は思わず面食らった。

部屋の中央に囲炉裏があり、それを囲むようにして蓙(ござ)が敷いてある。

(すげぇ、本物の囲炉裏がある家とか初めて見たわ・・・)

適当に囲炉裏の前に座ると婆さんは新司の右隣の位置に来て腰を下ろした。

『それで、何に「憑かれた」んだい?』

「あっ、えっとっすね・・・・」

新司は携帯を取り出すと例の画像を出して婆さんに見せた。

「こいつが写真を撮るたびに毎回俺の後ろに写るんすよ。色んな人に除霊してもらっても一向に消えなくて」

『・・・・・・・・・・・・それにしては近くに「この子」の姿が見えないねぇ』

婆さんは少し考える素振りを見せてからキョロキョロと周りを見渡しながら言った。

(おいおい、またかよ・・・・)

とんだ見かけ倒しだった。

こんなド田舎まで来たってのに成果なしとか涙が出そうだ。

「はぁ・・・・。じゃあもういいです。これで帰りますんで」

そう言って立ち上がり、部屋を出ようとした時だった。

『お待ちっ!!!』

「つっ!?」

背後から突き刺さる大音量に体がピタリと停止する。

振り返ると婆さんが何やらブツブツと独り言を話している。

『まさか・・・・いやもしかしたら・・・・』

独り言はかなりの時間続き、どうしたらいいか解らない新司は厳しい体勢のまま動けずにいた。

しばらくすると急に婆さんが立ち上がった。

『ちょっと外を見てくるよ。あんたはここで待ってな』

ぽかんとした顔をする新司を置いて婆さんは部屋から足早に出て行った。

(おいおい、なんだよいったい)

考えても仕方ないので大人しく座って待つ事にした。

 

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10分程経ってから婆さんは戻ってきた。

そして新司の横に座ると『ふうっ』と大きなため息をついてから口を開いた。

『いたよ、外に』

「えっ!?」

『この家の外。だいたい100M位離れた畑の中からこっちを見ていたよ』

予想外の言葉に唖然とした。

しかし、混乱する新司に婆さんはさらなる追い討ちをかけた。

『先に言っておくよ・・・・』

「は、はいっ・・・・・」

『この子はあたしの手に負えない』

「はっ!?」

『いや、あたしだけじゃない。この子をどうにか出来る人間は恐らく今この時代には存在しないだろうね』

「ちょっ!なんだよそれっ!!?」

頭がおかしくなりそうだった。

初めて「なんとかなるかも」と思った次の瞬間には絶望が待っていたなんて。

それから新司が冷静さを取り戻すまでにはかなりの時間を要した。

魂の抜けたように大人しくなった新司に婆さんはゆっくりと話し始めた。

『まず最初に話しておかなくちゃいけないね。あまり知られてない事だが、「幽霊」ってのにはね、才能がいるんだよ』

何かおかしな話が始まったなと新司は思った。

『正確に言うと「幽霊になるには才能がいる」ってことだが。誰でも死んだらこの世に踏みとどまれるって訳じゃないのさ。それに、死んだ時の恨みが深ければ幽霊になれるって訳でもない』

「・・・・・死んだ時の状況に関係なく、生まれ持った「幽霊になる才能」があるかどうかって事?」

気づいたら何故か口を挟んでいた。

『そう、そういう事だ。でなけりゃ今頃この世は恨みのある人間の霊で埋め尽くされちまってるだろうしね』

ヒッヒッヒッと薄気味悪い声で婆さんが笑った。

やっぱりこの人の正体は山姥に違いない。

『才能って言っても色々あってね。同じ場所に留まる力。自由に歩き回れる力。体の一部だけ姿を現す力。生きてる人間に声を聞かせる力。人によって色々あるもんなんだ』

新司はいつの間にか婆さんの話に聞き入っていた。

しかし、この話が何を意味しているのかまでは全く解らなかった。

『さて、それじゃあ話を戻そうか・・・・。あんたに憑いているあの子だがね。あれも才能の持ち主だ』

「・・・・・幽霊になれる才能ってやつ?」

『それはもちろんあるさ。だがそれに咥えてあの子には「人に憑き纏う力」があるんだよ』

「・・・・・?」

『要は「相手が何処にいても居場所が解り、頭が働いてなくても相手を追い続ける」って事だね』

新司は思わず背筋が震えた。

それって最低最悪のストーカーじゃないか。

「そ、そいつはそんなに強い悪霊なのかよ・・・・」

震える声で問いかけた。

それに対する婆さんの返答は意外なものだった。

『・・・・いいや全く』

数秒の間、部屋の中がシーンと静まり返る。

「・・・・・・・え、え、え?いやつまりどういう事?」

『あの子はとても力の弱い霊だよ。生きているあんたに手出し出来ない位にね』

ぐちゃぐちゃになった頭の中の情報を整理してみる。

ん?つまり俺は大丈夫って事?

「俺は助かるの?」

『まぁ、襲われはしないだろうね』

その一言で完全に息を吹き返した。

やった!

俺は助かる!

もう無駄に怯える必要はないんだ!

立ち上がってバンザイのポーズをしている新司の横で婆さんがぼそりと言った。

『生きている間はね』

 

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え?

今なんて言った?

恐る恐る婆さんの方に顔を向ける。

『・・・・・つまりそういう事だよ。その子は待ってんのさ』

婆さんの口が閉じずにその続きを告げようとしている。

おい、黙れ。

やめろ、言うな。

お願いだ、やめてくれ!

『あんたが死ぬその瞬間を』

瞬く間に新司の顔から精気が消えていった。

婆さんは構わずに話を続けた。

『人間の体ってのは色んな物から魂を守ってるのさ。だから弱い霊なんかは手出しが出来ないようになってるんだ』

「・・・・・・・・・・」

『ただ死んだらどんな人間だって体を離れなけりゃいけない。そうなったらもうあんたを守ってくれるものはなくなっちまうんだよ』

「よっ、弱い幽霊なんだろっ!だったら簡単にやっつけられるんじゃないのかよっ!!!」

新司は食ってかかるように婆さんに詰め寄った。

婆さんはそんな新司の態度にも物怖じせず淡々と語った。

『さっき言った事を覚えてるかい?「今あの子はここから100Mは離れた所にいる」ってのを』

「おっ、覚えてるけど。それが何か・・・・」

『弱いからやっかいなのさ・・・・。あの子はあたし達みたいな力を持った人間には近づいてこないんだ。本能的に遠くに逃げちまうんだよ』

「そっ、それがどうしたってんだよ。」

『いいかい、あたし達の力ってのはね。「襲ってくる者」や「取り憑こうとする者」に対しての力なんだよ。「近づいたら逃げる奴」に対しては驚くほど無力なんだ・・・・』

「でっ、でもっ。そうだっ!お守りとかお札を持ってればっ!」

『あんたどうやってあの世までそんなもん持っていくんだい?』

「えっ・・・・・」

体から力が抜けていった。

もう駄目だ・・・・。

諦めるしかない・・・・。

まぁ生きている間だけでも幸せならそれでいいか・・・・。

思いとは裏腹に目に何かがこみ上げてきそうだった。

ただ一つだけ気になる事がある。

「・・・・・俺が死んだらあいつは俺をどうするつもりなんだ?」

半場泣きべそを書いている状態だったが、ぐっと顔を引き締め顔を逸らしながら聞いた。

『さぁね~・・・・。何分随分珍しいものらしいからね~。あたしも、爺さんも、そのまた爺さんも、存在だけ知ってただけな位だし。まぁバラバラになるまで魂を引き裂かれるか、あるいは強引に地獄まで引きずり込まれるか・・・・』

そういうと婆さんはまたヒッヒッヒッと薄気味悪く笑った。

それだけ聞くと新司は立ち上がり、何も言わずに部屋を出ていこうとした。

『お待ちっ!!!』

「つっ!?」

本日2度目の「待った」をかけられ、嫌々ながらも顔半分だけ振り返った。

『・・・・・まぁ全く方法がないって訳でもないよ』

 

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1年後・・・・。

大学の講義を終え、新司は一人で自宅に向かって歩いていた。

あれからあまり人と関わらなくなった。

あれほど仲の良かった達也とも、今では顔を合わせても返事もしないような間柄になってしまった。

まぁそりゃそうだ。

達也は俺にまだ「あいつ」が憑き纏っている事を知っている。

四六時中幽霊と一緒にいるような奴と仲良くしたい奴なんてそういない。

他の奴だってそうだ。

いくら仲良くなったって、たった一枚の写真ですぐ壊れてしまう関係なんてこっちから願い下げだ。

ふと足を止める。

考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか家まで着いてしまっていたようだ。

玄関の鍵を回しドアを開ける。

そうだ、今日は月末。

月に一度のチェックの日だ。

もしかしたらって事もあるじゃないか。

部屋の中央のテーブルの前にあぐらをかいて座ると、左手に持っていた携帯を握り締めた。

あの日の婆さんの言葉を思い出す・・・・・。

-『その子が諦めるまであんたが長生きすればいいんだよ』

-「・・・・・どういう事だ?」

-『幽霊だって永久にこの世に留まれる訳じゃないのさ。もしかしたらあんたが死ぬ前にその子の方が根を上げて成仏するかもしれないって事だよ』

-「・・・・・・・・・・」

-『まぁ100年200年居続ける子もいるし、気休めにしかならないけどねぇ』

-「・・・・・いや、ずいぶんましになったよ、ありがとう」

携帯の電源を入れカメラを起動する。

なんだか今日はいけそうな気がする。

わざと自分の後ろに、ある程度のスペースを開けてからカメラのシャッターボタンを押した。

カシャッ!

どうだっ!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ふうっ、駄目かぁーっ!」

思わずそのまま後ろに倒れこみ真上にある窓のあたりを見上げた。

「・・・・・なぁ、お前何時になったら諦めてくれるんだぁ?」

そう言うと新司は寝そべったままもう一度深くため息をついた。

携帯の画面には神妙な顔をした新司と、その後ろにある窓から部屋の中を覗きこむ男の顔が写っていた。

Concrete
コメント怖い
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[匿名]さん
コメントありがとうございました!
山姥のキャラは結構気に入ってます。
ただ今のところ今後の作品での登場予定はないですが(^-^;

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[山田太郎]さん
コメントありがとうございました!
毎回このレベルの話が作れればいいんですが、そう上手くいかないものだったり(^^;;
この作品に負けない位面白い作品を作れるよう努力したいと思います。

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面白かった!すごく読みやすいし、内容もありがちじゃない、新しさを感じるものでした。

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[薄紅]さん
死んだ後位ゆっくりしていたいですよね(^^)
出来れば最後は、家族に見守られながら病院で安らかに逝きたいものです。

[蘑韑]さん
コメントありがとうございます。
まぁこの主人公の場合、自業自得とも言えますね。
ただそれでもこれからの彼の人生を考えると少し同情してしまいます(^^;;

[べるべる人]さん
コメントありがとうございます。
割と自分でも気に入っている作品なのでそう言って頂けると嬉しいです(^^)

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似たり寄ったりの作品が多いなか、新鮮味があって最後まで楽しく読めました。

最近読んだなかでは一番好きです!

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すごく読みやすく、面白かったです。
実際こういうマナーの悪い人いそうだ。

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実は人でなく携帯に憑いているのかと思ったけど、幽霊になる才能とは驚きです
私も幽霊になる才能よりは成仏して安らかに眠れる才能の方が良いですf(^_^)

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コメント下さった皆様、ありがとうございました!
割とお話の読みやすさは気を使ってるので(いつも完成したら2、3回は読み直してます)「読みやすかった」と言われるのが地味に嬉しかったりしますw
幽霊になれる才能・・・・
あったとしても私はいらないかも(^.^;)

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読みやすくとてもおもしろかったです!
幽霊になる才能かぁ…考えたこともなかったなぁ。
普段、霊的なものをよく見たりすることがあるんですが、確かにただボーッと見てるだけの人が多いですよね、何をする訳でもなく、ただ本当にボーッと
。もしかして、彼らも…。
次回作にも期待(^^*)

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読みやすいし、面白かったです。

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なかなかオモロかった☆
[幽霊になれる才能]っていう設定がなんか納得してしまったわ
あと山姥のキャラが個人的に好き(笑)

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