中編4
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双子?

もうかれこれ10年くらい前の夏の話になります

当時まだ10代で遊び命だった俺達の溜まり場となっていたのが友人のMの家だった

Mは実家が結構離れていたこともあって

華の一人暮らしをしている少ない友人の1人だった

そんな環境に、かなりの草食系男子だったこともあり、いつ家に行っても断られた試しが無い、となれば溜まり場になるのは当然の事だった

いつも家には友達の誰かがいて

みんなで馬鹿騒ぎして過ごしていた

ある日の事、Mの家に行くと頼みがあると言ってきた

先に書いた通り、Mの実家は車で小一時間ほどかかる熊本市にあったのだが

実家に用事があるので連れて行ってくれとの事だった

いつもお世話になってるのと、まだ免許を持っていないMの頼みだ

俺は快く引き受けた

昼過ぎから出発して用事を済ませ

帰ろうかとした頃、Mの両親から夕食を食べていけばいいと言われたので、遠慮なく頂いて帰る事にした

夕食を済ませ、帰る頃にはたしか19時頃になっていたが、夏とゆうこともあり結構明るかったのを覚えている

帰路に着いた俺たちに別の友人から電話がかかってきた

帰ってから一緒に遊ぼうと約束をし電話を切った

熊本市内から福岡方面に、しかも夕方帰った事がある人なら分かると思うが、国道がめちゃくちゃ混む

友人と約束をした事もあり、早く帰りたかった俺達にとって渋滞は無用の長物だった

そこで普段はあまり通らない道を使う事を思い付いた

「田原坂」日本人なら一度は聞いたことがあるだろう

その昔、西南戦争の激戦地になった場所だ

そこには戦没者の官軍墓地があり、成仏出来ない霊が夜な夜な彷徨い歩くだの、地面から沢山の腕が出ているだの・・・

とにかく好き好んで行くような雰囲気ではないような所だ

実際、俺達も肝試しに行った時に

車のバックドアが勝手に空いた経験があった事もあり

近付くのを避けていたのだが・・

この時ばかりは時間も早いし、何より道が混んでないとゆう魅力に負けたのだろう

ともあれ、俺は急いで車を走らせた

脇道に入って少したった頃だろうか

Mがウトウトしはじめていたので

「着いたら起こしてやるから」と言って寝せてやる事にした

だんだん田原坂に近付いてきて時、少し雨が降り始めた

この田原坂、3つの坂が連なっている一番上に駐車場があり、その奥に例の官軍墓地がある

事象はその駐車場付近で起こった

もうライトを点けないと見えにくい暗さになったので、とっさにライトを点けようとした

???

点かない?

何度も点けようとしたが何度やってもライトが点かない

しかも生い茂る木のせいで道が見えない

俺はとりあえず車を止める事にした

「カチカチ」ライトを何度も回しながら

不意に後部座席から視線を感じた

ルームミラーで確認してみる・・・

次の瞬間目を疑った

着物を着た小学生くらいの女の子が座っている

恐ろしく思い隣のMを起こそうと思った

肩を揺すってみた、起きない

もう落ち着いていられる状況じゃ無かった

つねったり、肩パンチしたりいろいろやったが全然ダメだった

後ろにはまだ女の子が座っている

とにかくここから逃げなくてはと思い車を出そうとしたが

暗さが増して前が見えないので車も出せない

一生懸命ライトを点けようとした

何回も繰り返しスイッチを捻ってると

ぱっとライトが点灯した

今しかない!

俺は急いで車を出した

ルームミラーを見る

あれ?

女の子が居なくなっていた

車を走らせながら必死でMを起こした

頼む!起きてくれ!

俺の願いは虚しくMが起きないばかりか

また前にも増して視線を感じた

ルームミラーを見るとさっきの女の子が座っていた、だが違う!

2人の女の子が座っている!?

双子

俺はとっさにそう思った

しかもさっきは気付かなかったが

2人と片腕がない

とにかく早く人が居る所まで行かなくては!

必死に運転する俺をあざ笑うかのように

後ろの女の子が俺の腕を掴んでくる

無い腕をくれと言わんばかりに

俺も「絶対やるもんか!意地でも下まで下ってやる!!」と叫んでいた

なんとか坂を下りきった所で女の子は消えた

消える間際「来てくれなかったね」

と言葉を残して・・・

俺は近くのコンビニに車を止めた

とにかく生きている人間に会いたかった

駐車場に車を止めドアを開けようとした時

Mが「着いたの?」と言いながら目を覚ました

やはりあの子達が起きないようにしてたんだろうと実感した

この話をMに話したが全然信用してくれなかった

後日肩にアザが出来てるのを見て信用してくれたみたいだがw

「田原坂」あそこには二度と行かないと思う

皆さんも遊び半分で行かないほうがいいと思います

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単に遊び相手が欲しかったのでしょうか?僕はそんな印象を受けましたが…
幼くしてこの世を去ったため寂しかったのかもしれませんね。

謎の多い話ですね。
その女の子達は何処の誰で何故片腕がなかったのでしょうか・・・