短編1
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イノシシの食べるモノ

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先週末、山奥に住む祖父の家に行った時の話だ。

夜、家でゆっくりしていると、近所の人が家に来た。

「イノシシを捕獲したから今から解体しようと思う、見に来ないか?」と言われる。

都会育ちの私はイノシシを見たことがない。興味本位で行ってみることにした。

解体後はイノシシの肉を焼いて食べるとのこと。イノシシ肉を口にしたことはない。

近所の人の家に行くと、身長120cmほどのイノシシがテーブルに横たわっていた。

生きている状態を見ていないので「モノ」としてしか見られなかった。

お腹には一本、ナイフで切ったような筋が入っていた。すでに近所の人が血抜きするために切ったようだった。

今から皮を剥ぎつつ解体するとのこと。

もっと切り開くべく、すでに入っている筋を切り開く。

血抜きしたとはいえ、まだ血は湖のように残っている。

「ピシャ!」となにか小さなモノが血の湖の中ではねた。

...小魚だ。まだ、生きている。生前、イノシシが食べたんだな....。

「もしかしたら、まだ何かあるかもしれない」と血の湖をさぐったのが間違いだった。

「ギャー!!!」

一本の「指」がでてきた。爪の形もはっきりしている。細くて、短い。おそらく、女性の指だ。

これの指の持ち主は今生きているのだろうか....「ピシャ!」

隣りでは、小魚が跳ねていた。

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