中編4
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呪われたアパート

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これは実際に体験した出来事です。

家庭の都合で、とあるS県某市の古いアパートに引っ越してきて、そのアパートでの話し。

そのアパートは昔っからあるような古いアパートだった。

引っ越し後のかたずけを済ましたのでそのアパートに住む人にあいさつをしようと思い一軒一軒挨拶にいくことにした。

自分の家は2階の一番手前の家だった。

あれこれこうで引っ越してきたと説明してお世話になりますと挨拶した。

2階の一番手前の部屋へ引っ越してきたと説明した。

その部屋へ引っ越してきた旨を話すと何故かみんな顔色を変えて「よろしく」と言いさっさと済ましてドアを閉めてしまった。

自分とは話したそうではなかった。

自分の部屋へ戻りながら、何か変だなと思いつつアパート全体がよりいっそう陰気じみて見えた。

その日の晩。

引っ越しの準備やら何やらで疲れてしまったので夕食は近所にあるコンビニで済ませることにした。

夕食を済ました後、テレビをつけようと思いテレビ画面をみた、リモコンを取ろうと手を伸ばした瞬間、手が止まった。

テレビの黒い画面に反射してタンスが映った。

と、テレビに反射しているタンスを見るとわずかに開いていた。

と、テーブルを挟んでテレビの向かいにあるタンスをみた。

タンスがわずかに開いていた。

なんとなくタンスを開けてみた。

中は何も入っていない。

タンスを閉めようとした時だった。

ある一点に目がいった。

タンスの中の正面の壁のところに後付けしたような板が目にはいった。

穴か何かが開いた為板を取り付けたんだろうと思った。

明日にでも確認しようと思い、折り畳み式のテーブルをたたみ、そこに布団を敷き寝ることにした。

どれくらい時間がたったのか突然目が覚めた。

何か訳もなくタンスが気になる。

と、その時、

sound:14

「どん、どん、どん」

タンスの中からかすかに音がしてる。

何の音だと思い耳をすまそうと布団からでて恐る恐るタンスの方へ向かった。

タンスに耳をすました。

その時、声にならない恐怖が襲った。

慌てて布団へ潜り込んだ。

タンスの中で、かすれた声でぶつぶつ何か言っていた。

タンスの中に誰かいる。

気がついたら午前10時を回っていた。

布団の中でそのまま意識を失ったらしい。

それか単なる夢だったのか?

体を起こし恐る恐るタンスを開けてみた。

タンスの中はなんともなかった。

気のせいかと思った。

そしてその日は友人と合う約束をして自宅に帰ってきたのが、午後11時30分を回っていた。

疲れたから寝ようと布団を敷き布団に潜り込んだ。

と、どのくらい時間がたったのか突然目が覚めた。

物音がしてる。

耳元をすましていると、

それはどうやらタンスの中からしてる。

昨日のこともあるから目をこすって、頬をつねってみた。

夢じゃない。

タンスの中に誰かいる。

布団を深くかぶり、耳をすましてタンスの方をじっと見ていた。

その時

sound:26

タンスが開いた。

誰かタンスの中にいる。

枕元にあった懐中電灯を付けタンスの方へ向けた。

「あっーーーーー」

思わず悲鳴をあげた。

タンスの中で婆さんがじっと正座してこちらを睨んでいた。

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気がついたら朝だった。

時刻は11時を回っていた。

跳び跳ねるようにして起き、タンスの前で身構えた。

そして恐る恐るタンスを開けた。

中は何も変わりはない。

何気なくタンスの襖の内側(裏側)に目がいった。

その瞬間ゾクッとした。

見ると、字が彫ってあった。

そこには、何年、何月何日、正男

何年、何月何日、朱美

何年、何月何日、邦彦

と、生年月日らしきものが彫ってあった。

おかしい、何でタンスの襖の裏側なんかに名前を彫る必要があるんだと思った。

いや、待てよ。

彫ってあるのは生年月日じゃない、と訳もなく咄嗟に思った。

それは生年月日ではなく、その人が死んだ日なんだと思った。

その瞬間冷や汗が吹き出てきた。

今すぐにでも家を飛び出したいと思った。

が、好奇心に負けた。

タンスの中の正面の壁に穴が開いたか何かで後付けしたと思われる板に目がいった。

嫌な予感がした。

後付けした板の裏に何かあるのではないかと思った。

かなずちを持ってきて、叩いて開けてみた。

かなずちで穴を開けたその瞬間、思わず悲鳴をあげた。

何とそこには、タンスと部屋の壁に挟まれて写真らしきものが出てきた。何と、それはこっちをじっと正座して睨んでいた、あの婆さんが写っていた。

それはただの写真ではない、遺影だ。

あまりのことに腰を抜かしてしまった。

そして、自力で部屋を飛び出した。

すぐに大家の所に行き話しをした。

すると大家はため息をつき、わかったと言い、自分の部屋へ2人で向かった。

自分の家の中へ入った。

するとタンスの下へ落ちていた、例の遺影を見たその瞬間、絶句した。

その遺影、その遺影に写った婆さんの顔がぐにゃっぐにゃっと曲がっていた。

悲鳴をあげた。

大家の方へ見ると、大家は目をそむけ玄関の方を見ていた。

大家は外へ逃げていった。

大家を追いかけて、腕を掴むと震える声で話し始めた。

以前ここに住んでいた人もこの事が理由で逃げていってしまったらしい。

その人は行方不明で未だに見つかっていないらしい。

そのすぐ後にお祓いをしたんですが・・・

と、言った。

どうやらお祓いの効果はなかったらしい。

その後、あの家にいたくないので、その日に急いで引っ越した。

その後その部屋で以前のようにお祓いが行われたらしい。

そして、今は開かずの部屋になっているらしい。

今はどうなっているかわからないが、

そのアパートは今もひっそりとそこに建っているらしい。

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