中編2
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狼少女……?

浩輔君は深夜のドライブが好きだ。その日もアパートに遊びに来ていた数人の友人らとドライブに出掛けた。気分が高揚していたためか、今日は思い切って遠出してみようということになり、皆もそれに承知した。

行き先は特に決めていなかったが、雑談を交わしながらドライブしていたため、いつしか人気のない道を走っていた。辺りは建物もなく、膝丈ほども伸びた雑草が左右に生い茂る寂しい道だったという。

時計を確認すると、既に午前2時。そろそろ帰ろうかと思った矢先、浩輔君は道端にしゃがんでいる人影を見つけた。

「おい、誰かいるぞ」

車を停め、車内から人影を確かめる。雑談に花を咲かせていた仲間達もピタリと口を閉じ、こぞって窓の外に注目した。

車のヘッドライトが映し出したのは、白い肌をした女性ーーーいや、まだ華奢な少女の後ろ姿だった。道端にしゃがみ込み、必死に手を動かしている。

「は、裸だ!あの子、裸だよ。服着てねーぞ!」

仲間の1人が興奮した声を上げる。なるほど、確かにその少女は衣服の類は全く身に付けてはいなかった。下着さえも付けておらず、文字通り「生まれたまま」の姿である。

その少女は車の来訪に気付いたらしく、パッとこちらを振り返った。ライトが眩しいのだろう、目を細めている。

色白で可愛らしい顔をしているようだったが、何故か口の周りが泥だらけだった。

「何だ、あの子…。どうしてこんな所に」

「暴漢に襲われて、服を根こそぎかっさらわれたとか?」

「とにかく、こんな場所に1人きりにしたら可哀想だ。車に乗せてやろうよ」

「そうだな。風邪でも引いたら大変だし」

彼等は心配半分下心半分で少女に声を掛けることにした。しかし、あまり大勢で行くと少女が怯えるかもしれないので、代表して浩輔君が行くことにした。

車から降り、そっと少女に歩み寄る。少女は目を細めたまま、ジッと浩輔君を凝視しーーースンスンと匂いを嗅ぐような仕草をした。

「どうしたの、こんな所で。大丈夫?」

出来るだけ警戒させないように、やんわりとした口調で問い掛ける。しかし少女は何の反応も見せない。どころか、裸体を恥じらう様子もない。

何か変だな…。そう思い、よくよく少女の顔を見る。可愛らしい顔は口の周りにこびりついた泥で台無しだ。

「ん!?」

それは泥ではなかった。赤茶色っぽいそれは、どう見ても血だった。

浩輔君が思わず息を呑むと、少女は「うおおぅ」と低い声で唸り、四つん這いになって走り去っていった。それも凄いスピードで。

少女がしゃがみ込んでいた場所には、野良犬の死骸が転がっていた。野良犬は腹の中の臓器がゴッソリなくなっていたという。

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死ん様。コメントありがとうございます。

死ん様のコメントは、いつも私を楽しませて下さる(笑)。コメントに死ん様の名前を見つけると、思わず口元が緩みます(笑)。

ユーモアに富んだコメントを数多く頂き、とても嬉しく思います。励みになります。

私はどちらかというと堅物で人見知りな人間でして。死ん様のような、ユーモア溢れる、人の心を和ませて下さる方に心底憧れます。

いつもいつも、本当にありがとうございます。

ぴ~にゃ様。コメントありがとうございます。

貴重なご意見、感謝致します。
ぴ~にゃ様の仰る通り、フィクションの話であったにしても「リアルさ」は欲しいところですよね。

リアルだからこそ、ゾッとする。
リアルであるから、怖いと感じる。

未熟者でして、申し訳ありません。改善に努めていきますので、温かい目で見守って頂けたらと思います。
また何かありましたら、お手数かと存じますが、お知らせ下さい。

これが20代の女性なら
自分は下心九分九厘だな

動物の内臓食べたなら寄生虫はどうしたのか?とか、今の時勢で野良犬がいるのか?とか引っかかってしまい今一つ物語に入り込めませんでした…

偉そうで申し訳ありませんが、フィクションの中にもリアル欲しいな…と思います
そうすればもっと入り込んで楽しめると思います

ホント偉そうですいません

ngt kazu様。コメントありがとうございます。

狼少女といえば、アマラとカマラが有名ですよね。
ただ、このアマラとカマラの生い立ちや記録に関しては不審な点も多く、狼に育てられたのではなく、単に自閉症の少女だという説もあります。

そもそも、雑食性の人間と肉食性の狼では母乳の栄養価にかなり偏りがあり、人間の赤ん坊は狼の母乳では育たないのだとか。

リアルだったらマジ怖いな。
何者なんだ、一体。