短編2
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ロボットの中

music:1

あれは、僕が小学生低学年の頃です。

よくお母さんの買い物に付き合わされていました。

お母さんの買い物は主に駅前にある百貨店。

僕はお母さんが買い物をしている間、暇なのでよく行く場所があった。

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そこは、百貨店の屋上にある子供の遊び場。

パンダやクマなどの乗り物、○○すくい、小さな観覧車や機関車、そして、ロボットの乗り物。

広くて沢山あったのを覚えている。

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僕はお母さんにお金を貰っていたにもかかわらず、貯金の為に子供達が遊ぶ光景だけを見ていた。

ませていたと言うより、貯金が楽しかっただけ。

人間観察も好きだったので、それが僕には合っていた。

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ある日、いつものようにベンチに座って同い年の子供達を見ていると、隣に見知らぬ婆さんが座ってきた。

「僕は遊ばないのかい?」

婆さんの優しい声が聞こえた。

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僕は、親に何度も知らない人と関わってはいけないと言われていたのですが、

「見てる方が楽しい」

そう言ってしまいました。

「そうかいな。ワシの孫はあそこで遊んどるさかい、一緒に遊んだってくれへんかな?」

婆さんはそう言って、ロボットの乗り物を指さしました。

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ロボットの乗り物は、僕が唯一お金をいれて乗った事がある乗り物で、とても楽しかったのもあり、ロボットに向かって走り出しました。

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music:3

しかし、ロボットの中を見ると誰もいません。

不思議に思った僕は、婆さんが座っていたベンチを見ました。

婆さんは、ロボットの中に向かって優しく笑っています。

「ばあさん、誰もいないよ!」

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婆さんは笑顔のまま僕の方に顔を向けました。

それと同時に、ロボットの中から異様な臭いがしました。

ロボットの中を改めて見ると、汚物がまとわりついたドールがあったのです。

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music:6

婆さんはいつの間にか僕の目の前にいて、ロボットの中に手をいれ、ドールを取り出したと思いきや、大声で笑いながら元気にスキップしてドールを大きな舌で舐めまくっているのです。

吐き気と恐怖で、走って近くにいた誰かのお母さんに声をかけた所で意識を失いました。

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music:4

目が覚めたのは翌日の朝。

自宅の布団の中でした。

それ以来、僕はロボットとドールと婆さん、そして百貨店が怖くてたまりません。

現在は、あの件もあってか百貨店の屋上は閉鎖されてしまい、二度と行く事は出来ません。

あれは何だったのでしょうか。

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