中編6
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水子

私がトラウマになってる話です。

小学1年生のとき、夜中の2時くらいに目が覚めた。

内容までは覚えてないけど、怖い夢を見た後で汗びっしょりだった。

こんな時間に起きたのは初めてだし、怖い夢を見たこともあって、自分の家のはずなのにいつもと空気が違う気がする...

私は六つ離れたお兄ちゃんと同じ部屋で寝ていて、廊下を挟んだ先の部屋にお父さんとお母さんが寝ていた。

お兄ちゃんを起こそうかと思ったんだけど、怒られるのが嫌で我慢した。

ふと部屋のドアに目をやると、半開きの状態で、少し隙間が空いているのが見えて、寝起きで目が慣れていないのか、真っ暗でその先を見ることは出来ない。

最初は気にしないようにしてたんだけど、どうしてもその隙間が怖くて、足でドアを蹴って閉めようと体を少し下にずらした。

ドアに足が届くくらいの場所まで下がり、そっちを見ないように足を伸ばしたとき、ドアをかすって隙間から足が外に出てしまった。

その時、何かが足に触れた感触がして、慌てて足を引っ込めた

今のは何...?

考えてもわからない

そこには何もないはずなのに...

私はドアを閉めるのを諦め、体を元の位置に戻すと、頭まで布団をかぶり息を潜めた。

暫く布団に潜ってたんだけど、10分もするとさすがに息苦しくなり、顔をそっと外に出した。

恐る恐るドアの方を見ると、さっきより廊下の先がよく見える。

少し目が慣れてきたんだろうか。

このままだと隙間が気になって寝れないと思った私は、気を取り直し、また体を下にずらした。

そして、今度はドアをちゃんと目で確認しながら足を伸ばしたとき、隙間から青白い小さい手が出てきて私の足を掴もうとした。

私は余りの恐怖に大声をだし、お兄ちゃんを叩き起こした。

兄「は?何だよ!こんな時間に!」

私は今あったことを話し、電気を付け、お兄ちゃんに助けを求めたたら、お兄ちゃんは渋々ドアを開け、廊下の方を確かめに行った。

兄「何もいないぞ...」

その言葉を聞き、私も恐る恐る廊下を確認しに行ったんだけど、そこには何もいなかった...

仕方なく、今度はドアをしっかり閉めて電気を消し寝ることにしたんだけど、あんな事があった後に簡単に寝れるはずもなく、布団に潜って暫く震えていた。

すると急に、ガチャっと言う音がして、部屋の温度が少し冷たくなった

「え?今もしかしてドアが空いた?」

確かに音が聞こえたけど、怖くて確認なんてできるはずもない

私は枕元に置いてあるお兄ちゃんの携帯を手に取り、布団の中で灯りを付けた

すると兄がいきなり喋り出した

兄「何見てんだよ...」

私「ごめん。灯りがないと怖いからちょっとかして」

自分の携帯を勝手に見られて怒ってるのかと思ったんだけど、兄は怖ろしい事を言い出した。

兄「違うよ、ドアの隙間。さっきからずっと見てるんだ」

その言葉を聞いた時、私は怖くてお兄ちゃんの布団に潜り込んだ。

私「何なの!誰かいるの?」

兄「うん、ドアの外にいるよ。お前は見ない方がいい」

暫くお兄ちゃんにくっ付いて震えていると、ドアが開く音と同時に、ペタ、ペタ...と誰かが這ってくる様な音が聞こえてきた

自分の心臓の音が耳に響いて、ジワっと汗が出てくるのがわかる

ペタ、ペタ...

どんどんその音は近づいてくる...

そしてとうとう、私の顔のすぐ近くまできて止まった

目を瞑っているけど、何となくそれが、私の顔を覗き込んでるのがわかる

もう恐怖で声を出すこともできず、お兄ちゃんの脇腹をギュッと掴んだ

するとそれは、ヌルッとした小さな手で、私の顔をペタペタと触り始めた。

思いっきり目を閉じて、見ない様に見ない様に我慢したんだけど、次の瞬間、髪の毛を引っ張られて、私は思わず目を開けてしまった。

そこには、産まれたばかりの赤ちゃんみたいな一つ目の顔があって、私の顔を覗き込んでいた

恐怖で声も出せず固まっていると、向こうの部屋から確かにお母さんの声で

「ゆみちゃん...ゆみちゃん」

そう言っているのが聞こえた

その声に反応したのか、またペタ、ペタ...と這う音がして、それはお母さん達の寝室の方へ消えて行った...

訳がわからず、もう半泣き状態で震えていると、お兄ちゃんが言った

兄「後はお母さんに任せよう」

お兄ちゃんにくっついたまま、結局その日は一睡も出来ないまま朝を迎えた

朝、私たちを起こすためお母さんが部屋にきた

私はお母さんに昨日の事を問いただした

私「お母さん!昨日起きてたよね?あれは一体何なの?お母さん知ってるの?」

お母さんは暫く黙ったあとこう言った。

母「あの子はね、あなたのお姉ちゃんだよ」

私は訳がわからず呆然としていると、お母さんはそのまま向こうの部屋に行ってしまった...

結局昨日の事を聞き出せないまま、また今日も寝る時間になった。

昨日の事もあり、今度は初めからドアをしっかり閉め、万全の状態で布団に入った。

どんどん時間が経ち、やがてお兄ちゃんのイビキの音だけが部屋中に響いていた

時計を見ると、もう午前1時を回っている...

暫くは眠れずにゴロゴロしてたんだけど、昨日寝てなかった事もあって、気が付いたら眠りに落ちていた。

夢の中で、私は水の中にいた。

その中にプカプカと浮かび、何だか凄く心地いい...

ここがどこなのかわからないけど、何か凄い懐かしい感じがして落ち着く夢だった

すると急にその水が紫色に濁り始め、今まで心地良かったはずなのに、体が溶ける様に熱い...!

助けて...助けて...!

心の中で何度も叫び、その勢いで目が覚めた

また、昨日と同じ様に汗をびっしょりかいている...

あれ?思い出した...

私、昨日もこの夢で目が覚めたんだ...

余りにも昨日と同じ展開に、私は慌ててドアの方を確認した

開いてる...

確かにドアを閉めたのを確認してから眠ったはずなのに、昨日と全く同じ様に隙間が開いていた。

お兄ちゃんを見るとグッスリ眠っている

昨日と同じ様に布団を頭まで被り息を潜めていると...

ペタ、ペタ...

あの音が聞こえてきた...

ただ、昨日と違うのは、今日は金縛りみたいになっていて、体を動かす事が出来ない

ペタ、ペタ...

音はまたどんどん近づいてくる

「やばい...!どうしよう...体が動かない...」

次の瞬間、お腹が急に重たくなった

それは私の体の上に乗り、どんどん上に上がってくる...

「どうしよう...!どうしよう!」

どんなに体を動かそうとしても、動かす事が出来ない...

もう少しで顔の所まで上がって来ると言う所で、私は思わず叫んだ!

「お母さん助けて!」

次の瞬間ダダダっ!と廊下を走る音がして部屋の電気が付いた

走ってきたのはお父さんだった

「どうした?!」

お父さんがそう言うと、スッと体が軽くなり、金縛りも解けていた

もう何が何だかわからないけど、結局その日は何もなく気付いたら朝になっていた。

それから何年かが過ぎ、私が理解出来る年齢になったとき、お父さんから知らされた。

私が産まれる2年前、お父さんとお母さんは2人目の赤ちゃんを授かった。

次は絶対に女の子がいいって話をしていて、もし女の子だったらゆみって名付けようって話をしていたらしい。

でも、妊娠14週目の時、お医者さんから耳を疑いたくなるような事を告げられた。

胎児が女の子だとわかったと同時に、深刻な奇形児である事が判明し、もし産まれたとしてもすぐに亡くなってしまうだろうと言う話だった。

お母さんは、泣く泣くその子を堕胎したと言う。

それからすぐ、お母さんは堕したはずの娘が現れると言い出し、いないはずの娘の服やおもちゃを買う様になった。

最初、お父さんは堕胎したショックからそんな事をしているのだと思ってたらしいんだけど、ある日2人で撮ったはずの写真に、紫色をした赤ん坊が写っていたらしい。

お父さんにはその写真でしか見る事は出来なかったらしいんだけど、夜中に赤ん坊の泣き声がしたり、急に足を誰かに掴まれたりする事が度々あって、本当にゆみちゃんがいるんだって思う様になった

それから私が産まれ、暫くは何事もなく過ごしていたらしいんだけど、私の世話が忙しく、ゆみちゃんの事を忘れそうになりかけたときにまた現れる様になったと言う。

私が最初にゆみちゃんを見たとき、私に対して

「何であなただけ育ててもらってるの?

何で私だけこんな思いしないといけないの?」

そんな風に思っていた様に感じて仕方なかった...

お父さんとお母さんは、ちゃんと水子供養もしたし、心配いらないと言っているけど、未だにゆみちゃんが私の所に現れる事を、両親に話していない。

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なんともいえない怖さですね…

ふ、ふくざつ。。。
母にとったら我が子は我が子。