マッサージ。【姉さんシリーズ】

中編3
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マッサージ。【姉さんシリーズ】

俺には4つ年上の姉がいる。最近、怪異絡みの事件が発生し、それによるアクシデントで、髪型をロングからショートへと変貌させた姉さんだ。これは好み云々の話だが、俺としてはショートヘアの姉さんの方が可愛いと思う。本人も「軽くなったし、髪の毛が早く乾くので助かる」と、まんざらでもないらしい。

そんな姉さんは、かなりのブラコンである。ブラザーコンプレックス、略してブラコンだ。

話が一旦逸れてしまうが、俺は国民的アニメともいえる某有名アニメに出てくるヒロインがお気に入りである。彼女もまたショートヘアで、青い髪の持ち主である。そのアニメのDVDを見ながら「やっぱり可愛いよなぁ、○○」と独り言を言ったら、姉さんはその日の内に美容院に行き、髪を青く染めてきた。あれにはマジでビビッた。

だって……俺、その時「1人」で観てたんだよ?姉さんは2階の自室でお昼寝してた筈なんだけど……これって偶然なのか?もしかしたら盗聴器でも仕込まれているのだろうか。深く考えたら怖いから考えないけどさ。

さて、無駄話はこれくらいにして。そろそろ本題に入らせて貰う。いつもながら、ありきたりで、それこそどこにでも転がっているような小話だけれどーーー御清聴願いたいものだ。

時は遡ること2日前。その日は体育で長距離走をやったもんだから、ヘトヘトに疲れ切っていた。恥ずかしい話だが、俺には持久力があまりない。50メートルも走らされれば、あっという間に息が上がってしまう。それが400メートルともなれば……冗談抜きで死にかけた。

めちゃくちゃ疲れたし、足も痛い。体も怠い。家に帰るなり、制服姿のまま、ドテッとベットに倒れ込んだ。そのまま、ウトウトしてしまったらしい。とはいえ、完全に寝ているわけではなく、意識は朧気ながらちゃんとあった。

キィ……。部屋のドアが開く音がした。目は瞑っていたので、誰だとはハッキリ断言出来ないが、恐らく姉さんだと思った。俺の部屋をノックもなしに入ってくるのは姉さん以外に考えられない。

『…、何か用?』

言葉には出さないが、僅かに顔を上げる。目は瞑ったままだ。開ける気力は既にない。すると、サッサッサッと足音が近付いてきた。そしてギシリとベットを軋ませ、上に上がってきた。

何、と尋ねる間もなく。姉さんはうつ伏せで寝ている俺の腰に跨がり、マッサージをしてきた。首筋から始まり、肩、肩甲骨、背骨……グリグリと適度な強さで揉まれ、これが結構気持ちいい。疲れた体にはあうってつけのマッサージだ。

「姉さん、マッサージ上手だねー。知らなかった」

思わず感嘆の声を上げたが、返事はない。いつもなら、もっとお喋りしてくれるのに、この時は終始無言だった。今思えば、この時に変だと気付いておくべきだったかもしれない。しかし、あまりにマッサージが気持ち良くて、夢心地だったのだ。

続いて腰の辺りを揉んで貰っていると、また部屋のドアがバタンと開いた。そこには風呂上がりらしく、桜色に上気した頬をした姉さんがTシャツにショーツという出で立ちで立っていた。

「風呂空いたぞ。入れ」

「……え?」

ピキンと固まる。ちょっと待て。何だって姉さんがそこに立ってるんだ。姉さんがそこにいるってことは、俺に跨がってマッサージしてくれてるのってーーー誰?

恐る恐る振り返る。すると、天井から2本の長い腕が伸びてきていて、俺の腰を揉んでいるのだった。

「ッ、ぎょえええええええぇーっ!!」

ベットから転がり落ち、ベットの脚で後頭部を思いっ切りぶつけた。あまりの痛さに頭を押さえてうずくまっていると、姉さんがニヤニヤしながら俺の前に立った。

「また何か出たのか?お前もよく怪異に遭遇するねぇ」

……思わず涙が出る。安全地帯と思っていた自分の部屋で、まさかこんなことが起きるとは。これじゃ怖くて眠れないじゃないかよ。俺はこう見えても、かなりのビビリでチキンだというのに。

姉さんは、そんな俺の心中を察したように、右手の親指で右隣を差した。

「何なら、私の部屋で寝るか?一緒なら怖くねーだろ?」

その提案に、俺がどういう答えを出したのかはーーー秘密にしておこう。

Concrete
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怖話様。この度は本当にご迷惑、そしてお手数をお掛け致しました。

新アカウントのほうも、削除して頂いて大丈夫です。何から何までお世話して頂き、本当に助かりました。

これからはアカウント更新の際はくれぐれも気をつけます。

返信

> 言葉遊びの弟子。

旧アカウントの方に話・コメント・既読等全て統合しました。
旧アカウントの方にいつものメールアドレスでログインできるようになっております。

しばらくして問題が無ければ新アカウントの方、削除させていただければと思います。

返信

怖話様。色々とお手数、ご足労をお掛けしまして、大変申し訳ありません。

メールを指定受信出来るよう、操作したつもりだったのですが、駄目でしたね(泣)。本当に頭が上がりません。いつもご丁寧な説明、ありがとうございます。色々と配慮して頂き、とても助かっております。

またしてもお手数なのですが、新アカウントと旧アカウントを1つにして頂けるなら、是非ともお願いしたく思います。

宜しくお願い致します。いつもありがとうございます。

返信

> 言葉遊びの弟子。

お手数おかけしています。
おそらくスマホのキャリアメールでPCからのメールを拒否する設定になっているのだと思います。
直接こちらに書かせていただきます。

コメント欄で書かせて頂いた通り、旧アカウントの方を復活させていただきました。

旧)http://kowabana.jp/users/2635
新)http://kowabana.jp/users/3978

同じメールアドレスは存在できないようになっているため、旧アカウントの方のアドレスはメールアドレスの先頭に1を追加したものにしてあります。

■例

旧)1test@example.com
新)test@example.com

もしご希望であれば新アカウントの方の2つあるコメントを旧アカウントに移動して
から新アカウントを削除することも可能です。

怖話では怖い話を投稿してくださる方を大切にしたいと考えております。
今後とも怖話をお楽しみいただければ幸いです。

返信

> 言葉遊びの弟子。

iが入った新しいアカウントに設定されているメールアドレスにお送りしましたが、こちらも有効なアドレスでないようです。

もし問題無ければ info@kowabana.jp までメールいただければそれに返信する形で返信致します。

返信

怖話様。アカウントの復帰、ありがとうございます。

メールアドレスですが、iが抜けておりました。申し訳ありません。お手数ですが、宜しくお願い致します。

またもし送れないようでありましたら、ご一報下さい。本当に申し訳ありません。

返信

> 言葉遊びの弟子。

旧アカウントを復帰致しました。
それに際して、詳細をご登録のメールアドレス(新しいアカウントの方です)にメールをお送りしたのですが、戻ってきてしまいました。

有効なメールアドレスかどうかご確認おねがいできますでしょうか。

返信

斧落様、返信ありがとうございます。
本気の退会でなくてホっとしましたが、今度は投稿者様の体調が心配。

くれぐれもご自愛の程を、、、

返信

怖話様。ご提案、ありがとうございます。

それが可能でしたら、是非ともお願い致します。
良かった、出来ないものだと思っておりました。

感謝致します。

返信

> 言葉遊びの弟子。

ご迷惑でなければ間違って退会してしまったアカウントの復活+新アカウントでの投稿との合体が可能ですが、如何でしょうか。

返信

お久しぶりです。言葉遊びの弟子。です。

コメント頂きました皆様、どうもご心配お掛け致しました。

お恥ずかしい話なのですが……本当に私の愚かしい凡ミスなのですが、どうか弁解させて下さいませ。

実はアカウントを更新しようと思って操作していましたら、うっかり削除ボタンを押してしまったんです。あっ、と思った時には既に退会扱いでした。慌ててアカウントを取り戻し、皆様にお知らせしようと思ったのですが、突然の体調不良に見舞われてしまい……現在、点滴中です(泣)。

私の尊敬している著名な作家様をはじめ、色々とご心配して下さった方々。本当に申し訳ありません。著名な作家様にも読者の方にも大変ご迷惑お掛け致しました。

本来であれば、コメントして下さった方お一人お一人にお返事したいところでありますが、何分体調不良ということもありまして、まとめてお返事とさせて頂きます。

体調が戻り次第、また活動を続けさせて頂きたく存じます。温かいコメント、思わず涙が出ました。こんな私でも受け入れて頂け、本当に嬉しく思います。

本当にありがとうこざいます。

返信

そうすかー。よかった

返信

>修行者様

作者様は間違えて退会
されてしまったようです。

でもまた、再登録なされて
いましたよ。

返信

ちょ・・・え?退会?再登録?

一晩でなにがあったんですか?

返信

すみません、再登録なされていたのですね。

良かった、これでまた作者様の
お話を読むことができるのですね。

これからも応援させてください。

返信

退会なされたのですか、残念です。

姉さんシリーズ、とても面白かったです。

またいつか、戻ってこられるのを
心待ちにしております。

返信

あら(´;ω;`)
退会しちゃったの(´;ω;`)?

更新もゆっくりでいいし、
僕らの声を無理に吸い上げようとしなくていいし、
鳴海シリーズも続き読みたいし、
というか結構過去作品もみていたのです・・・
ボタン押し間違え?

返信

謎の腕俺の部屋にも来てよー笑

そしてついに姉さんが…!?

まぁそれはそれとして毎回連載お疲れ様です
いつも楽しみにしてます!
次回作もお待ちしています。

返信

しょーま様。コメントありがとうございます。

こんなお姉様で宜しいですか(笑)。始終、こんな調子だと思いますよ(笑)。

でも、私としても、御影さんはこれまでにないキャラクターなので、個人的には好きですね。破天荒で荒ぶってますけど、根はそこまで悪い人ではない……と、信じたい(笑)。

返信

来道様。コメントありがとうございます。

コメントを読み、吹き出しました(笑)。少しドキドキして照れちゃいました(笑)。

夜伽編とか……怖い(笑)。御影さん、絶対何かを仕掛けてきますよ。ドSですもん、あの人(笑)。

ついでに言うなら、鴎介君はドMっぽいですね(笑)。

返信