中編3
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ニューマイホーム

今から四年前のこと、

高校受験を控えた夏のことです。

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市街地から40分弱、

お店もなく、周囲は

森と田んぼばかり

というような場所に暮らしていた

私たち家族でしたが、

わたしの通学(高校になってから)

母の通勤、祖母の通院を考えて、

市街地に引越すことになりました。

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引越しの話が出て程なくして

祖母は亡くなってしまい、

結局、マンションが決まり、

もとの家を売るときには、

わたしたちは2人家族になっていました。

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マンションは新築で、

天井も高く、眺めもよく、

わたしも母もとても気に入っていました。

しかし、

引越しの前日。

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わたしは悪夢をみたのです。

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まだ家具の揃わない新居へ、

うきうきしながら足を踏み入れる

わたしと母。

時刻は22時ごろでした。

母は「やっぱりいいね、ここ!」

と、嬉しそうなのに対し、

わたしは廊下で立ち止まっています。

白いワンピースに、長い黒髪を垂らした女性が目の前にたたずんでいたのです。

その女性はわたしをずっと睨みつけていて、

母には見えていないようでした。

そして一瞬、

その女性が くすっと笑ったかと思うと、女性は母に背中から抱きついて、母もろとも消えてしまったのです。

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この悪夢から目覚めたわたしは、

途端に引越しが嫌になりました。

しかし、引越しは決まったこと。

今更子供のように駄々をこねるわけにもいかず、引越しは完了してしまいました。

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そして一日目の夜、

息苦しさをおぼえ目を覚まします。

足も手も動かず、胸が押しつぶされるように苦しい.......金縛りです。

わたしのベッドは部屋の角にあったのですが、その対角となる角から視線を感じました。

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じわじわ冷たい汗が

吹き出し、金縛りを解こうと

必死になるものの、

体はぴくりとも動きません。

恐怖故か、対角から目を離す事さえも

できません。

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どうしよう、何かいる...!

叫ぼうにも声が出ず

ほとんどパニックになっていました。

すると、対角の辺りにぼんやりと

徐々に影が集まり、人の形を成します。

ああ、あの人だ...

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昨晩の夢を思い出しました。

見えるのは影だけなのに、

何故か確信を持って、

夢の中の女性がそこにいたと

言えました。

女性はただこちらを

見ています。

見ている事が見えるわけでは無いけれど、睨まれている感覚が何故かあったのです。

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気がついたら朝になっていました。

母に心配をかけたく無かったので、

この事は誰にも言わずにいましたが、

そんな夜が一週間続きました。

わたしは受験生でもあったので、

流石に若干のノイローゼ気味に

なっていました。

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もう限界だ...

明日はお母さんに相談しよう。

そう思って布団に入った夜、

わたしは対角に背を向けた状態で

金縛りにあい、目を覚ましました。

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あれ、いつもと違う...

金縛りが一瞬解け、

対角をみてみたものの、女性はいません。

わたしは再び対角に背を向け

眠りにつこうとしました。

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あ...あ....あ

すぐ背後からしわがれた声が

聞こえてきました。

そして首元に冷たい冷気を

感じ、わたしは恐る恐る

後ろを振り返ります.....

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shake

ああああああああああ!

あの女性でした。

ベッドの淵に両手を置き、

顔をのぞかせ、

ものすごい形相でこちらを睨みながら

かすれた声で叫ぶ女性。

わたしはすぐに

気を失ってしまいました。

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翌日、わたしが

部屋で怖い事があった。

とだけ母に告げると、

母はわたしの部屋の隅に

塩を持って置きました。

その日から、あの女性の姿や気配を

見る事はありませんでした。

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あの女性が何をしたかったのか

誰だったのか、

それは全くわからないままです。

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祖母の死、悪夢とが何かの伏線かと思いきや、まさかの実話ですか!
無難に考えて前にその部屋に住んでいた人の霊ですかね〜

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