長編12
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廃墟気狂

僕はいつも友人二人と夜になるとバイクを走らせたり、公園で酒を飲んだりして遊んでいる、そこらへんにいるいたってフツーの大学生です

ただ、今年の夏に少しかわった体験をしてしまった、、、そのことを今から書きたい

その日も特にする事はなく、みんなバイト終わり夜七時くらいに溜まり場のコンビニに集まった

メンバーは僕(隼人)、健二、奈々の地元の友達だ

「おっ隼人お疲れ〜来るの遅かったじゃん」

「健二と違って真面目にバイトしてるからなぁ」

「お疲れ隼人!ビールにする?それともテキーラ?それとも、、、わ、た、し??なんちゃって」

この子は奈々、僕の彼女!にいつかしようと思ってる子だ!つまり片思い中のただの友達だ

「あれ?奈々もしかしてもう飲んでる??何だよお前らちょっとぐらい待ってろよ〜」

「悪い悪い、なんせ暑くてさ!隼人の分もビール買っといたから飲もうぜ!」

健二は大の酒好きだ、まぁ僕も人の事は言えないけど、、、

その日はコンビニの駐車場で二時間程酒を飲みながら騒いだ

「なぁ隼人、この近所にある廃墟知ってるか?病院の裏にあるやつ」

「あの雰囲気がやばいヤツ?」

「そうそう、それ!今からあそこに肝試ししに行かね??隼人が来る前に奈々と話してたんだよ、夏のイベントを楽しもうって」

「え?でもあそこはマジでヤバイだろ?」

「何々?隼人ビビってるの??大丈夫!私がいるから」

「俺もいる!」

好きな女の手前ビビってるのがばれたくなくて断れなかった

「わかったよ!じゃあもう一本ビール飲んでからな!」

「オッケー!じゃあ俺懐中電灯買ってくるな!」

健二は本当に行動が早い、ご丁寧に懐中電灯を三つ買ってきてくれた

もう行くしかない

それから三十分程コンビニの駐車場でビールを飲んでから僕たちは廃墟に向かった

廃墟は総合病院の裏にあり、僕が知る限り十年近く廃墟のままだ

廃墟は三階だてのコンクリートビルで窓という窓が全て割れていて、ヤンキー達の落書きがそこら中にある、正直一人では絶対に入りたくない、近づきたくもない、、、

「ついたついた!さぁ君達!この懐中電灯を使いたまえ!」

酔った健二が僕と奈々に懐中電灯を渡してくれた、懐中電灯の明かりで入口を照らす

奥が全く見えない、、、雰囲気だけでもうお腹いっぱいだ

「健二ぃホントに入るんだな?」

「ここまで来たんだから当たり前だろ!」

「隼人怖いの?良かったら手繋いでてあげようか?」

あぁ奈々は本当に優しい、本当なら廃墟ではなく奈々と夜景を見に行きたい

「じゃあお言葉に甘えて」

「イテッ」

奈々の手を掴もうとしたら健二にド突かれた

「冗談だよ!よし、、入ろう!偉大な初めの一歩は健二に譲るよ」

玄関らしき自動ドアも見事に割れている

僕らは健二を先頭に中に入った

中は物凄く暗い、気のせいか獣の臭いがする

恐らくネズミか野良猫でも居るのだろう

バリバリ

僕らはガラスを踏みながらとりあえず前に進んだ

「で、健二入ったはいいけどどうすんの?」

「そうだな、、とりあえず三階に行こう!そこに俺らが来た記念に落書きでも残して帰ろうぜ」

「それいいね!いい思いでになりそう」

「じゃあとりあえず階段を探そうか」

ビルの中は思ったより広かった

まず入ってすぐに大きな部屋があり机と椅子が散乱していた、恐らく元々は事務所として使われていたんだろう

僕は近くのドアを開けてみた

「ギィィィィ」

「何だよ奈々!変な効果音付けるなよ!」

「へへ、雰囲気出るかと思って」

ドアの向こうの部屋も似た様な感じで散乱していた

「よし、ドンドン進もうぜ」

部屋を抜けるとキッチンがあった

従業員達の休憩スペースだったんだろう

「きゃっ」

「どうした奈々!大丈夫か?」

「うん、隼人大丈夫、今あそこの隅で何か動いてた様に見えて」

僕は懐中電灯で奈々が指差した方を照らして見た

何もいない、、、よかった、、、

「何もいないよ、奈々も少しビビってるんじゃない?」

僕は軽く冷やかしてみた

「うん、、実は少しだけ、、何かさっきから変な音も聞こえるし、、」

「音?何もしないよ」

ビルの中は言うまでもなく静まり返っていて何も聞こえない、あまりにも静か過ぎて耳が痛いぐらいだ

「気のせいかな、、、うんありがとう」

「おい、早く来いよお前等!」

健二は僕らがモタモタしてる間にだいぶ先へ行ってしまっていた

僕らが健二に追いついた時、健二は階段の前にいた

「どうした?何かあったのか?」

「いや、何も、、二階に行こうか」

階段は横幅も広く学校の階段みたいだった

二階について僕らはため息をついた、三階に上がる階段が机や椅子、棚などでまるで侵入を拒む様にせき止められていたからだ

正直僕は三階に行かなくてすむとホッとした

「何だよ、これじゃあ三階にいけねぇじゃん!」

健二が毒付いた

「しょうがないよ健二!どうする?引き返すか?」

「三階は諦めて二階探索しようぜ!で、プランは変更して二階の奥の部屋に落書きしよう」

二階は一階よりも獣臭が凄かった、本当に猫なのか?野良犬がいたりしたら襲われるかもしれないなど考えていたら置いてかれそうになった

「ほら、隼人行くよ!」

ズズズ

「隼人今何か聞こえなかった?」

「いや別に」

通路の左右にドアがあり個室が沢山ある

二階はどうやら会議室や個人用のデスクが設けられていたようだ

そうこうしている間に僕らは突き当たりの部屋についた

僕は懐中電灯でドアを照らしてみた、部屋のドアには社長室と書いてあった

「社長室だってよ!もしかしたら金目の物とか残ってるんじゃねえか」

「絶対何も残ってないよ〜」

健二はドアノブに手をやって力一杯ドアノブを回しているがドアは開かない

「何だよ鍵かかってやがる!」

「じゃあとりあえずここに落書きして記念写真写メって帰ろうか」

「うん、そうしようよ」

「わかったわかった!じゃあ名前でも書くか!」

健二は僕等三人の名前をドアに書いた

「よし!じゃあ写メ撮るからドアの前に並んでくれ」

僕等は健二の携帯で記念写真をとった

よし!これでこのビルから出れる!僕等は社長室を背に階段に向かって歩こうとした、その時

ギィィィィ

「何だよ奈々!もう雰囲気は十分あるからそういうの辞めろよ」

「え?今の私じゃないよ、私何も言ってないよ」

「え?じゃあ今のは、、、」

僕等はゆっくり振り向いた

社長室のドアが開いている!!

「なんで?」

奈々が気味悪そうに呟いた

「嘘だろ?鍵かかってたぞ!!」

「ねぇ隼人なんだかこの建物おかしくない?私さっきからずっと変な音が聞こえてるの!二階に来てから音も少しづつ大きくなってるし!もしかして私達以外にも誰かいるんじゃない?」

ゴク、、僕は唾を飲み込んだ

確かにこのビルは誰でも簡単に侵入できるし他に誰かが居てもおかしくない!

ズズ ズ ズ

「また聞こえた!ドンドン近づいてきてるみたい!早くこの建物から出ようよ!」

「奈々少し落ち着いて!俺には何もきこえないよ?健二は?」

「俺も聞こえないな、、、それよりどうする隼人、、入るか?」

健二も少し震えてるようだ、、正直怖い、、もし中に誰か潜んでいて、ワザと鍵を開けたとしたら、、でもこっちは三人いる、、一人は女の子だが相手が一人ならなんとかなる、、

「健二!ビビってるならやめてもいいけど、僕は入ってみたい!!」

「俺もだ!もし誰かいたとしても俺に任せろ!」

健二も同じ事を考えていたようだ、そしてこういう時は健二は頼りになる!

健二は開きかけのドアを力強く開いた!

部屋の中に人の気配はない!懐中電灯の明かりだと奥の方が良く見えない

「隼人、やっぱり誰もいないぞ」

「健二!まだ奥が見えないよ、気をつけて!奈々大丈夫か?」

、、、返事がない、、、

「奈、、」

言いかけて言葉が詰まった!さっきまで後ろにいた奈々がいない!!

背筋に緊張が走る、、気持ち悪い汗が全身から滲み出る、、、

「おい健二!奈々がいな、、」

僕が話し終える前に健二が遮った

「隼人!静かにしろ!」

僕は健二の様子がおかしい事にやっと気づいた!

「隼人、、音が聞こえないか、、、足音の様な、、、どんどん近づいてきている!」

耳をすましてみたが僕には何も聞こえない

「健二!聞こえないよ!その音もしかして奈々じゃないか?奈々がいないんだ!」

「奈々じゃない、、奈々じゃないんだ!音は上から聞こえるんだ!この真上から!!」

なんだって!?僕は腰が抜けそうになった!上から足音がする?だって三階にいく階段は塞がれてたじゃないか!誰がいるっていうんだ!

僕は天井に目をやってみた、、なんだ?天井にマンホールぐらいのサイズのシミがある、、何なんだよ、、水漏れでもしてるのか、、

コツコツ コツ コツ ズズズ

「隼人!やばい!ヤバイぞ!音が真上で止まった!誰かが俺らの真上にいる!」

「だから何も聞こえな、、」

ピタ

その時僕の頬に何かが当たった、、手で触って見る、、嗅いだ事のある臭い、、血だ!!

僕はもう意味がわからなくて気が狂いそうだ

「健二!?」

「シッ!隼人動くな、、声も出すな、、」

健二は小さな声で僕に囁いた

時間はわからないが二分ぐらいだろうか、僕等はその場でじっと静かに耐えた

コツ コツコツ コツコツコツ ズズ

「行ったか、、音が遠ざかっていったな!隼人大丈夫か?隼人それ血じゃないのか!?」

僕は声が出なくて頷いた

「大丈夫か?なんで天井に血が、、アイツ上で何やってるんだ、、」

「うん、なんとか、、ところで僕には何も聞こえなかったけど上に誰かいたのか?」

「あぁ、、足音と何かを引きずる音が聞こえた、間違いなく誰かいるな!たぶん俺等の存在にも気付いてるはずだ!気味悪いし早く退散した方がいいな!」

「わかった!でも先に奈々を探さないと、、」

「隼人?健二?」

奈々が社長室に入ってきた

「奈々!どこに行ってたんだ!心配したんだぞ!」

「ごめんなさい、私怖くて手前の部屋に隠れてたの、、その、、音、、足音が近づいて来てたから、、」

どうやら僕以外にはハッキリ聞こえてた様だ

こんな廃墟のビルに一体誰がなんの目的で、、考えただけでも気持ち悪い、、

「奈々!俺にもその足音は聞こえた!誰かが三階にいる!奈々も合流したことだし早くこのビルを出よう!」

「そうだな健二!急ごう」

僕等が階段に向かって走ろうとしたその時、階段の方から物凄い音が響いた!まるで物を投げ飛ばしてる様な音、、階段を塞いでた机や棚に違いない!三階にいたアイツが降りて来たんだ!

「やばい!アイツ降りてきやがった!俺らがここにいることもわかってるはずだ!」

「隼人!健二!私がさっきいた部屋に隠れましょう!」

僕等は慌てて奈々がさっきまで隠れていた部屋に隠れた、その部屋は社長室から三つ目の部屋で階段から社長室の間にある

「いいか、アイツが社長室に行ったらそのすきに階段まで走るんだ!奈々!お前が先に逃げろ!」

「うん」

「わかった」

コツコツ ズズズ コツ ズズズ

聞こえる!確かに足音が聞こえる!そして何かを引きずる音も、、こちらに足音が近づいてきている、、やはり僕等を探しているみたいだ

コツコツ コツ

僕はほんの少し開いたドアの隙間からどんなヤツか見てやろうと目を凝らした

女だ!軽めのパーマがかかった様な髪型で髪の長さは肩ぐらいまで、顔は髪で見えない

ただ信じられない物が目に飛び込んできた

犬だ!それも血だらけの犬!引きずっていた音の正体は犬の死骸だった、もう片方の手には包丁を持っている!アイツは何なんだ!一体何のために犬を殺したんだ、、そして僕の頬についてる血はあの犬の血なのか、、

僕には恐怖よりも怒りが芽生えてきていた

許せない、、でも今は逃げる事が先決だ

アイツは僕等が隠れている部屋を通り過ごし社長室に向かって行った

コツコツ ズズズ ズズズ

「よし、いいな奈々、、振り向かずに外まで走るんだ」

「うん」

「僕等が後ろに必ずいるから大丈夫だよ!」

「うん、、ありがとう」

「行け!」

健二の合図で僕はドアを開けた!

奈々は階段めがけて走り出す!

「さぁ隼人も!」

僕も駆けた!鼓動が早くなる!あと少しあと少しで階段だ!奈々はもう階段を降りようとしている

ギィァァァ!!

後ろで奇声が聞こえた!ダメだ振り向いたらダメだ!ヤツは追って来てるのか?もし追いつかれたら、、、

「隼人!前だけ見て走れ!」

健二の声で我に帰る、そうだ健二を信じて走るしかない!僕よりも健二の方が怖いんだ!

ギィァァァ!ァァァァァァ!!

僕は階段を飛び降り一階に降りた!

キッチンを通り過ぎ、事務所の部屋では机や何かにぶつかりながらもやっとの思いで外に出た!

まだだまだ止まったらダメだ!奈々もまだ目の前を走っている!健二は?ちゃんと後ろにいるのか?

ゼェゼェゼェゼェ

確認したくても声が出ない

結局僕と奈々は近くのコンビニに着くまで走り続けた

「健二は?」

奈々が尋ねるが僕にはわからない、呼吸ができない、苦しい、、

二分ぐらいして健二がやって来た

「健二!ぶじだったか!」

「あぁあの野郎包丁投げてきやがった!少し腕を切っただけだ」

そう言う健二の左腕は血に染まっている

「とりあえず私の家に行こう、こっから一番近いし!」

「そうだな」

「まだいるかもしれないし急ごう」

奈々は今年の春から一人暮らしをしている、本当ならこんな理由ではなく、ちゃんとした用事でこの家に来たかった

僕等は健二の腕を治療し疲れていたのかそのまま眠ってしまっていた

目が覚めると健二はいなかった、奈々に聞くと病院に行ったらしい

「昨日は怖かったな」

「うん、隼人ごめんね、、私達が肝試ししようなんて言ったから、、」

「運が悪かったんだよ運が、奈々達のせいじゃないよ」

僕も疲れていたのでそのまま家に帰る事にした

その後二、三ヶ月は変わった事もなく僕も忘れかけてきた矢先に健二から電話がかかってきた

「隼人、あの廃墟の事覚えてるか?」

「当たり前だろ」

「そうだよな、まだ三ヶ月しかたってないもんな、、最近妙な噂を聞いたんで伝えとこうと思ってな電話したんだ、、最近どうやら変な女が街中をウロウロしているらしくてさ、ブツブツ呟きながら何かを探してるらしいんだ」

僕はその冒頭だけであの日の恐怖を思い出した

「で、その女をこの前俺の先輩が見かけたらしく後ろから近づいて観察してみたらしいんだよ、、その女何呟いてたと思う?それが実は呟いてんの俺等の名前なんだよ!隼人、健二、奈々、、ゆる、、さ、ない、、ってずっと呟いてるらしいんだ」

僕は久しぶりにあの感覚になった、、そう背筋が凍る感覚、、あいつは僕等を探している!名前もばれている!

「名前がバレたのは社長室に書いた落書きを見たと思うんだけど、幸い俺等の顔はヤツもしらないからバレる事はないはず、、なんだ」

「健二?」

「そう知らないはずなんだ、、、」

「どうしたんだ健二?それなら安心じゃないか」

「あぁ、ただの思い過ごしならいいんだが、、実は今日その女と街でたまたま会ったんだ、、最初は気づかなかったんだけど、視線を感じて振り向いたら反対車線からずっと俺を見てる女が居たんだ、、間違いなくあの女だった、、アイツ、、目があった瞬間笑いやがったんだ!」

「ちょっとまて健二!僕等は顔を知ってるけど、アイツは僕等を後ろ姿しか見てないはずだろ!?」

「俺もそう思ってただの偶然かと思ったんだけど、、帰ってからよく考えたんだ、、おかしな事があった点に、、」

実は僕もウスウス気付いてた、、頼む健二!言わないでくれ

「隼人、、あの社長室、、、一体誰が鍵開けたんだ、、あの時確かに鍵はかかっていた!つまりあの部屋にはやっぱり誰かいたんだ!そいつが俺等の顔をアイツに伝えてたとしたら、、」

僕の頭の中でも答えは出ていた、、最悪だ、、

「この事は僕から奈々に話しておくよ、、奈々も、、社長室には一応入ってたからね、、」

「わかった、、何かあったら連絡してくれ!あまり一人でウロつくなよ」

今の僕の気分は最悪だ、、一番好きな女性を今から悲しませないといけない、、電話をかける気力がない、、これから奈々に電話しようと思う、これからどうなるのか、何か起こった時のためにここに記録を残しておきます

長くなったけど読んでくれてありがとう

気が重いです

また続き書けたら書きます、、

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こんな話大好き!

面白ろかったです!(^^)!