中編6
  • 表示切替
  • 使い方

幻夢アリスの戯れ(前半)

1それは美しい女だった。

見るものを幻惑するその姿に私は心奪われた。

そう、私はその女にあいたいがために禁を破った。

2血を捧ごう。

私のこの血を。

地面には魔方陣。

その中央に は蝋燭が揺らめいている。

「我が名を捧ぐ。血を持って我を裁け。古きいにしえより我の前に集え」

呪文を唱える。

ビキ、ビキ。

空間が音をたて振動する。

その向こうに望んだものがあった。

3「醜悪ね。全く美しくないわ」

幻夢アリスの目の前には一枚の写真。

その写真には一体の死体。

目は飛び出し舌は抜かれている。

手足は潰され原型をとどめてない。

頭は潰され脳みそが飛び出している。

被害者は修東高校一年生木嶋晃。

「幻夢様どうしたものでしょうか?」

一人の少女は黒髪をなびかせる美しき立ち姿。

暗条光先輩だ。

「ア、リ、スと呼べと言っているでしょう。光」

幻夢アリスはそう言い目を瞑る。

「ごめんなさい。アリス。でも事態はいっこくを争います」

「わかっているわ。封印は破られた。誰の仕業か分からないけど。全く、面倒なことを」

幻夢アリスは髪を弄りながらぼやく。

4逃げなきゃ。

あいつがくる。

あいつがくる。

人間の面をした化け物。

逃げなきゃ。

あいつがくる。

あと少しで校門だ。

逃げれる。

俺は恐怖と疲労で上手く動かない足にむちをうち、走り続ける。

あと50メートル。

後ろを振り向く。

やつはいない。

いける。

あと20メートル。

走れ。

足がガタガタ震える。

構っていられるか。

はやく、一秒でも早く。

あと5メートル。

いける。

ビギっ。

体が動かない。

「美人から逃げるなんて。馬鹿な子」

俺は見た。

死体の血を吸う女の姿を。

みてしまった。

ビキっ。

腕がねじれていく。

うわっ。

激痛がはしる。

腕はネジ切れ地面に落ちる。

「ぐあ」

足が動かない。

「ふふ。可愛い子。死になさい」

女が指をびしんとこちらに向ける。

瞬間胸に激痛がはしった。

俺はその場に倒れこんだ。

意識が薄れながら最後に見た光景は薄ら笑いを浮かべる女の姿だった。

5私暗条光は久しぶりに彼に再開した。

だが、喜んでばかりもいられない。

最上級妖怪エステルの復活。

また、たちの悪いものを。

さて、簡単な説明を

妖怪には魔力量や能力の強さでランクわけされている。

最下層は弱きもの。

力が弱い弱小妖怪がここにはいる。

次は中級妖怪。

異獣ケルもここにはいる。

人間が扱えるのもここまで。

次が上級妖怪。

強力な力をもった妖怪がはいる。

次が超上級妖怪

異界におもに生息し滅多に人前にあらわれない。

最後にして最強。

最上級妖怪。

魔力量や能力が極めて高い危険な妖怪がはいる。

さて、説明は以上だ。

これから私と彼と幻夢アリス様で彼女白石夏目のもとを訪れることになった。

ピンポーン。

は~いと元気な声が聞こえ扉が開かれる。

あらわれたのは短めの髪が清潔な印象を与える素朴な少女白石夏目だ。

「お久しぶりです。光さん。会いたかったです。皆さんも上がってください」

夏目の部屋に通された。

学生にしては質素な部屋。

本棚には漫画と小説。

くまのぬいぐるみが数体。

清潔感溢れる部屋だ。

「私の左目独眼でしたっけ?これが必要なんですよね?」

「そうよ。あなたには異界の扉を開いてもらうわ」

幻夢様、いえ、アリスは緊張した様子でいった。

「異界の扉?」

夏目は理解できてないようなので私が説明する。

「厄介な妖怪がよみがえったの。それを再び封印しないといけない。そのために異界にいく必要があるの」

夏目は目をパチクチさせこういった。

「わかりました。できる限り頑張ります」

6臥薪峠にやってきた。

風水的にはここが扉を開くのに一番適してる。

「じゃあ夏目。目を閉じて扉を頭に思い浮かべるの。いい?」

夏目は目を閉じた。

夏目のまわりに霊気が集まり始めた。

「いまよ。目をあけて」

夏目は目を開いた。

瞬間左目がまわりの霊気を取り込みはじめた。

夏目の前に扉が徐々に出来上がっていく。

赤色の扉が出現した。

「あなたはここにいて扉を維持していて」

夏目は頷き私たちは扉に入った。

7赤い月が出ていた。

異界にきた証拠だ。

私たちは森の中を歩きはじめた。

クォン。

獣の鳴き声が響いた。

すると目の前に鹿のような生き物があらわれた。

麒麟。

最上級妖怪で特殊聖壁という鉄壁の防御を誇る強力な妖怪だ。

性格は温厚なので人間に危害を加えることはない。

「エステルの封印が解かれたらしいな。まいったな」

麒麟はそう言いひと鳴きした。

「臥竜はどこ?」

アリスがそう言い前に出た。

「あそこだ」

そこには全身黒色の竜がいた。

臥竜はこちらに気づき威嚇してくる。

エステル封印に必要なもの。

それは最上級妖怪臥竜の牙だ。

「人間がなにしにきた?そこにいるのはアリスか?相変わらずだな」

「エステルが目覚めた。あなたの牙が必要なの」

アリスはそう言い右手にエネルギーを集めはじめる。

「はは。エステルの馬鹿がか。まあいい。退屈してた所だ。欲しければうばってみるがいい」

そう言い臥竜は翼をバタバタいわせ飛びだった。

「エルス、マル、クエル」

アリスは呪文を唱え右手から光の剣を作り出し大きく跳躍し臥竜に飛びかかった。

「ふん。馬鹿め。見え見えだよ」

臥竜はアリスの攻撃をかわし翼でアリスを打撃。

「パ、チャク、クイナ」

私は呪文を唱える。

「ふん。私も舐められたものだ。こんな低級な呪文」

臥竜には減速程度の効果しかない。

低級な妖怪なら一撃で仕留められるのだが。

「暗条先輩。連携呪文いきますよ。お嬢様早く」

アリスは光の剣を弓に変化させる。

「デス」

「チュクナ」

私と彼は同時に呪文を唱える。

「うん?体が動かん」

瞬間アリスから弓が放たれる。

弓はお腹を直撃。

瞬時にアリスは弓を槍に変化させた。

「舐めおって」

臥竜の牙が光を放ちエネルギーを集めはじめた。

瞬間臥竜に飛びかかったアリスは光に弾き飛ばされた。

「うわ」

岩におもいっきり叩きつけられた。

臥竜の能力絶対破壊だ。

アリスでなければ肉片すら残さず消し飛ばされただろう。

アリスは槍を杖がわりに立ち上がった。

「ふん。流石だな。神以外ならこれを耐えたものは麒麟とお前だけだな」

「ふん。こんなの痛くも痒くもないわ」

明らかに平気ではなさそうに槍を構えた。

「都島、光頼んだわ」

彼と私は目で合図し呪文を唱えた。

「デス、クール、キズ、ブレイク」

「デ、チャイナ、ヘイピング、クワウ」

アリスの前に障壁を作り出す。

「こんな安っぽい壁一瞬で消してくれるわ」

牙がひかりエネルギーを集めはじめ放射。

障壁は一瞬で吹き飛ばされるがそこにアリスはいない。

「なに?」

驚愕した様子の臥竜。

「ここよ」

次の瞬間上からあらわれたアリスの槍が牙に食い込み砕けた。

その砕けた牙を手にアリスは地面におりた。

「ふん。私の負けだ。持っていけ」

どうやら勝てたようだ。

「帰りましょう。夏目が待ってるわ」

だが、そう言った瞬間ガシンと大きな音が響く。

扉が消えていく。

夏目になにかあったのか?

「これは」

「ふん。エステルの仕業だな。私が元の世界への穴を開けてやる」

臥竜の牙にひかりが集まり放射され空間に大穴があいた。

「穴は私が塞いでおく。いけ」

麒麟が吠えた。

私たちは慌てて穴を潜った。

帰った私が最初に見たもの。

それは血を大量に流し倒れている夏目。

腕を組んだ男と薄ら笑いを浮かべる女エステルがそこにいた。

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
5054
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

ナツさん

読んでくださり感謝です。

嬉しいお言葉ありがとうございます。

本当に嬉しいです。

龍悟さん

読んでくださり感謝です。

世界観を誉めていただきありがとうございます。

後半はまだ先になりますがよろしくお願い致します。

黒崎さん
読んでくださり感謝します。

ありがとうございます。

続きも早く書けるよう頑張ります。

ムムムッ、
続きが気になります!

しかし、いつ読んでも引き込まれてしまいます(^^)

月夢改さんの世界観が好きです。
後半も楽しみにしております!

幻想的で面白い。